52.新しい町と隠しクエスト
「個体名はトリック、と……名前も登録完了です」
「キュー!」
思いがけず仲間ができた。色々試してみたいが、まずは移動しよう。
「よし、新たな仲間も加わったことだし、アスミからもらった隠しクエストの場所に行ってみるか」
「そういえばありましたね。確か別の大陸に行かなければならないとか」
「ああ。船か飛空艇だな。移動している間にトリックの力を確認しよう」
「了解です」
―――その後、飛空艇に乗った俺達は無事に別の大陸に辿り着いた。
「あっさり着いてしまいましたね。こういう時は何か襲撃イベントが起きるのでは?」
「そういうのもあるけど、滅多に起きないぞ。危険なルートでも通らない限りは。あと、一度乗り物イベントを経験すると次からはスキップ可能だから」
「あるあるですね」
ということで、やってきました別の町。今の妹の実力なら通常の敵ならば問題ないはず……あれ、通常の敵との戦闘の方が少ないような……。考えないでおこう。
「この大陸の町は近代的ですね。数階建ての建物が多くあります」
「高層ビルはないけどな」
隠しクエストの発生地点はこの町の中心部か。ここはたしか町長の屋敷か?
「この町で隠しクエストが発生するのですね。早速行きましょう」
「まあ待て、念の為まずはトリックに行ってもらおう」
「キュキュー!」
おお、気合が入っているな。初仕事、無事に成功できるか?
「そのまままっすぐ……そこでストップ。そのまま上昇……停止。素晴らしい、完璧ですよトリック」
「キュー!」
町長の屋敷を上から見下ろせる位置にトリックを移動させた。まさか俺も視界共有の恩恵を受けられるとは……。
あと能力一覧には書かれていなかったが、かなり高い所まで浮くことができるようだ。便利だな。
「ここから見ると特に異常はなさそうですけど……ん?」
「どうした、何かあったか?」
「近くの建物の物陰の所から町長の屋敷を見張っている者がいます」
「どれどれ……あっ、本当だ!あれは、屋敷の護衛ではないよな……」
何かを守りたい、という面構えではないな……戦闘力はそれほどでもなさそうだが。
「では早速倒しますか?」
「いやどんだけ戦いたいんだよ!?ちょっと待て、まずはあの怪しい見張りに近づいて情報を集めよう。トリックを移動させてくれ」
「了解です。ゴー、トリック!」
「キュキュー!」
の、ノリノリだな。そのまま突っ込んで行く。壁はすり抜けられるし、透明になっているので視認もされない。素晴らしい偵察役だ。
もっと情報を入手できればいいが。




