45.試練を超えて
「う~ん、勝ったのに素直に喜べません。兄さんにトラウマを思い出させられたせいです。もっと別の言葉はなかったんですか?」
「仕方がないだろ、咄嗟にこれが思い浮かんだんだから。強くなって俺が何か言う必要がなくなるように勝ってくれ」
「うぐぅ」
何て声出してんだ……こいつの恥ずかしがる基準が本当にわからない……。
『全試練のクリアを確認。報酬はこちらです』
「あ、経験値とお金が入りました。すごい数値……レイン戦の時と同じくらいですね」
「あの時も連戦で最後にまとめて入ったからな、当然か……ん?」
消えるはずの天狗面さんが消えずに残っている。だが面は壊れたようで素顔が見えた。想像よりも童顔だ。
衣服はボロボロで色々危ない。俺、警告されないだろうな?
「あれ、これは意識が戻るまで待つとまた話ができるというパタ―ンですか?」
「どうだろう、ただスクショの為の時間かもしれないな」
一部のボスは倒した後記念写真などの為に消えるまで少し時間がかかる場合がある。巨大な奴や勝利の難しい奴とか。
しかし女性の場合は大抵消えていたはず……あっ、もしかして女性(妹)のソロプレイだから規制が緩いのか?そんな話聞いたことないけど……。
「なんだか記録に残しておきたい姿ですね。写真か動画撮ったらダメでしょうか、兄さんにやれと言われたことにして」
「やめてやれ、いや絶対にやめろ!!なんで俺を巻き込むんだよ!?お前なら同性でギリギリセーフでも俺は完全にアウトだろ!」
「安心してください、その時は全力で弁護しますから!」
「全力なんていいから本当のことを言って!?」
こいつは俺を破滅させたいのか!?
「……一矢報いてやろうと気絶した振りして倫理コードに引っかけようとしたけど、無駄のようね」
「とんでもない計画暴露しやがった!そんな方法で報いようとするなよ!俺は関係ないだろう!?」
「あら、あの意味がよくわからない声援さえなければ勝てていたのだから、正当な恨みよ」
倒れていた天狗面―――いや女忍者か?―――が普通に起き上がった。服装まで元に戻っている。
本当に俺をはめる為に!?なんて恐ろしい!
「では、試練を超えた証として報酬の奥義が書かれた巻物を……いや、倫理については冗談よ?あなた達の会話に乗っかっただけだから、そんなに怯えなくても……」
「兄さんは女性不信ですから、気にしないで下さい」
「……凄い信頼関係なのね」
どこが!?今の会話と視覚情報からどうしてそんな答えがでるの!?
まさか遠慮がないからか!?親しき仲にも礼儀ありという言葉があるんだぞ!




