44.復活の呪文?
「まさか貴重なアイテムを捨てるような真似をしてこちらの焦りを誘うなんて……真・分身を使ってなかったら負けていたわ……」
「……三人に増えるとは予測していませんでした、無念……」
「っ!あなた意識が!?」
あいつ、目を覚ましていたのか!?それなのに倒れたままということは―――。
近づいた瞬間に全力の一撃で一人は倒したのに……せめて三人ではなく二人だったら……。
「うう、顔が汚れて力が出ません」
「え!?そんなことって…………あれ?もしかして冗談?そんなことを言えるなんて、結構余裕があるの?」
いや、逆だ。これは本当にダメみたいだ…………。
「いえ、悔しいですが力を使い果たしたようです。また修行して出直してきます」
「……そう、潔いわね……ではトドメの一撃を」
天狗面が右手を上げる。あれは手刀の構えか。
……油断を誘っているわけではなさそうだし、これで終わりか……。
いつもギリギリで勝ってきたが、今回は……いや、まだだ!手は出せないが口なら出せる。何か応援を!
―――その時、何故か妹が嫌がっていたある出来事が頭に浮かんだ。
当時、本気で怒っていたが……よし、ダメ元だ!
「―――またマッサージするか?」
「イヤァァァ!!」
ゴンッ!!
「うっ……な、何が……」
ドサッ…………。
効果抜群!突然勢いよく起き上がった妹の頭が天狗面に直撃、そのままダウンした。完全に虚を突いたな、ナイスタイミングだ!
というかそんなに嫌なのか、俺にマッサージされるの?いやらしいことなんてしていないんだが……。
「ハァハァ、兄さん!それは封印する約束でしょう!何考えているんですか!」
「いや、大げさだろう、いくらなんでも……老若男女誰にもするなって」
「当然の対応です!中毒症状出たらどうするんですか!?」
「そこまで言う!?」
血相を変えて俺を糾弾する妹。動けないんじゃなかったのか?
マッサージがしたいわけではないが、ここまで拒絶されるのも悲しい。
「まるで俺に変な所触られたように言うのはやめてくれ。誤解を招く」
「むしろそれなら兄さんを粛清して終わりだったんです。それなのに!……本当に危険なんです!やられた私にはわかります!!試しに一般のお店に行ったら普通に気持ち良かったんですから!」
そこまで検証していたのか!?初耳だ……。
ん?今さらっと粛清って……こいつならやりかねんな。
昔、妹が俺をマッサージしてくれたのでお返しに俺もやったらこんな態度になってしまった。
軽く揉んだだけなのに気づいたら意識がなかった。顔隠しながら耳真っ赤にして痙攣していたから驚いたんだよなぁ……。起きてから理不尽に怒られたし。
しかし、うまくいったようだ。俺への警戒がすごいけど。
「こ、こんな終わりって……ガクッ……」
あ、天狗面さんが力尽きた。妹の頭はよほど固かったようだな。




