41.勝利の鍵?
暗殺者との対人戦からコツを掴んだ姿が見えなくなる技、透明化とでも呼ぶか。それを利用して水中から出てきたのか。
「よりにもよって隠密系の技で後ろをとられるなんて……忍者失格ね」
天狗面がいつの間にか水中から上がって水面に立っていた。水上歩行もできたのか。
見た目は平気そうにしているが、ダメージは大きい筈……どちらが有利だ?
「氷の滝を破壊した時に出てきたのかしら?」
「ええ、そうしなければあなたに察知されるのはわかっていましたから。注意が逸れるかどうかは賭けでしたけど」
「……確かに一瞬だけ意識を水中からずらしたけど、あのタイミングで出てくるなんて……勘がいいのか運がいいのか」
「運の数値に自信ありです」
なんだか穏やかに話しているな。妹は寒さで低下した体力を回復させたいから時間稼ぎをしたいのだろうが、気づかれていないのか?……まさか相手も!?
「―――やっと兵糧丸が効いてきたわ。そちらも回復してしまったみたいだけど」
「回復アイテムを使っていたとは……こちらもようやく体の感覚が戻ってきました」
「万全な状態で攻撃を受けていたら危ない所だったわね」
兵糧丸!?いつのまに!即効性はないが継続回復効果と状態異常耐性がいくつかできてしまう。厄介な物を使われてしまった……。
「長引くとそちらが不利なのでは?一定時間が過ぎたら私の勝ちという条件だったはずですが」
「それは問題ないわ。あなたは残り時間を把握できていないから時間切れを狙うなんて真似はしない。そうでしょう?」
何っ!?時間切れが勝利条件のひとつとは戦う前に聞いていたが、まさか妹にはわからないとは……焦ってはいないから本当に余裕があるのだろう。
残り時間がわからないのにタイムアップを狙うのは確かにリスクが大きい。やはり倒すしか――。
「ふふ、確かに私は残り時間を認識できませんが、干渉することはできますよ?」
「「え!?」」
妹が自信満々に言い放った。
天狗面さんと声が重なってしまった――じゃなくて!お前、そんなことできるわけないだろう!?一体どうしたんだ!
「これが―――勝利の鍵です!」
来週の予告みたいなセリフを叫びながら、妹が取り出したのは……残り一枚の【切り札】だった。




