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4.ようやくスタート、そして

 「暴れてくださいって表現はどうかと思うが、はっきり許可が出て良かったじゃないか」

 「そうですね…使うつもりはありませんでしたけど、独学でトレーニングもしていたのでやはり試してみたい気持ちは大きいです」

 

 トレーニング、その言葉にある光景が思い浮かんだ。


 「もしかして、ヨガや中国拳法はそのためにやっていたのか?」

 「はい、他にも色々試してみましたが、あれらが一番しっくりきましたので」

 「てっきり健康や体型維持の為だと思ってた」

 「そういう効果もあったのは間違いないと思います。激しい運動ではありませんでしたので、スロトレのような負荷があったのでしょうか」


 スロートレーニングとは、軽い負荷でもゆっくり行うことで、筋肉にきつい運動をしていると勘違いさせて、重い負荷をかけたときと同じくらいの効果が得られるトレーニング、だったかな。


 「小さい頃から無意識に使っていましたが、その頃は体の調子を良くする程度でしたので、他の人から見てわかりやすいものではなかったと思います。それに、私にとってはあって当たり前の感覚でしたので、誰かに言うという発想そのものがありませんでした。その頃は特別な力だと思っていませんでしたが、段々と大きくなるにつれて色々と理解してから、誰にも言わない方がいいと思いましたけど」

 「そうだな」


 その判断は正しいと思う。

 

 「見えない力という条件でいくつか候補を考えたんです。魔力とか霊力とか。その中で一番それらしかったのが気だったので勝手にそう思い込んでいました。今度からなんて呼べばいいかなぁ…」

 「これまで通り気でもいいと思うけど。じゃあお前のアバターネームからとってマイパワーで」

 「却下です」


 傑作だと思ったのに。

 

 「最初に会った時突然現れたように見えたけど、それも?」

 「急いでいたので使ったのですが……問題ありましたか?」

 「いや、敏捷が高いように見えるだけで疑われる事はないよ。浮いてる人もいるくらいだし」


 ログインした直後なら不自然かもしれないけどそこまで見ている人もまずいないし、見ても極振りの人程度にしか思われないだろう。


 「しかし、ずいぶん詳しく話してくれたな。話聞くとは言ったけどいきなりこんなにしゃべるとは思わなかったよ」

 「兄さんなら安心ですしもういいかなって。開き直って話したら止まらなくなりました。てへっ」

 「似合わないからやめろ」

 「ひどい!」


 予想外の出来事だったが、結果オーライかな。お詫びの特典や証明書も頂いたようだし。


 「そういえば、特典って何をもらったんだ?」

 「えーと、あ、これですね。見えますか?」

 「どれどれ」


 一番安い消費アイテムとお金か、まあこんなものだろう。内容は予想通りだった。ただ、アイテムの数と金額は予想以上だった。これ、桁間違えてないよな?


 「これなら買い物する必要はないかな。よし、じゃあ町の外へ行くか」

 「ようやくですね。パーティを組めばいいんですか?」

 「そう。それとレベル差があって経験値入らなくなるから、黒子設定にして一緒にいくよ」

 「黒子設定?」


 黒子設定とは、文字通りいるばすなのにいないものとして扱われる存在になる、ということである。


 「話すことはできるから、好きなようにプレイして質問があれば聞いてくれ」

 「わかりました。よろしくお願いします」

 「おう」


 こうして妹の冒険は始まった。







 「ガハハハハ、新人が一人で町の外に出てくるとは、馬鹿な奴よ!」

 「え?」

 「あ」


 いきなりレアイベント発生しちゃった!

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