37.滝の下には
『湖の試練をクリアしました。移動します」
風景が変わった。ここで最後の試練が行われるのか。
ゴオオオォォォ!
目の前に巨大な滝が!凄い音と迫力だ!水しぶきがこちらまで飛んでくる。
「見事な滝ですね。昔見た観光地の滝を思い出します」
「ああ、あのでかい滝か。遠くで見て、近くでも見たあれだろう」
どちらから見ても感動したが、確かに良く似ている。
現実の風景を参考にしているのだろう、よくあることだ。
「よくぞここまで辿り着いた、挑戦者達よ」
「!滝の下に誰かいます!」
なんと、あんな所に座っているとは……しかもあの顔は……。
「天狗の面ですか―――あなたが試練の?」
「いかにも。お前たちは―――水の試練からきたのか。海と川を攻略するとは、大した奴よ」
湖の試練は攻略出来て当たり前の扱いか、無理もない。
外見は十代後半から二十歳くらい、服装は……忍び装束か。戦闘スタイルも予想がつく。口調は独特だが…………相当強い、苦戦は必至だな……。
「む?そちらの青年は黒子設定か。つまりお嬢さん一人で儂の相手をすると?」
「はい……役不足でしょうか?」
「いや、安心しただけだ。彼に参戦されると勝ち目がない」
「……勝ち目がない……?」
妹が聞き返す。
何て誤解を招くような言い方を!まるで俺がすごい実力者みたいに勘違いされてしまうではないか!訂正しなければ!
「……そういえば兄さんって―――」
「過大評価だ!勝ち目がないは謙遜が過ぎる!!そうだろう!?」
「ハッハッハッ!集団戦が苦手でな。つい弱気になってしまった、すまん」
ナイスフォロー!こちらの意図を理解してくれたようだ。人工知能とは思えない気遣いだな。
しかし黒子設定だから【鑑定】の類は効かないはず……それにそんな兆候は一切なかった。自身の感覚で把握したのか!?なんて直感だ!
集団戦が苦手、なんて嘘までつかせてしまったな……嘘だよな?




