34.依頼の報告と
「ありがとうございました、どうやら最高の形で依頼を解決して頂いたようですね」
宿の一室でファーレインが礼を言う。
依頼を完了した妹が連絡をしたら、この場所を指定されたのだ。拠点のひとつらしい。
「護衛の全滅は可能でも対象の捕獲は難しいと思っていたのですが、力のコントロールは問題ないようですね」
「そんな評価をされていたとは……まるで私が死と破壊をまき散らしているみたいではないですか!」
「間違ってはいないよな?」
敵限定ではあるが。
「護衛達と戦っている間に逃げられると予想していたのですが、うまく不意をつけたのですか?」
「まあ、二人はうまくつけたな。もう一人とはその前に一対一で戦えたし」
「先にあの暗殺者と戦えたのは幸運でしたね、新しい技術も覚えましたよ」
「技術?スキルではなくまた何か特殊なことができるようになったのですか?―――状況と依頼の結果からすると相手に認識されなくなるような技でしょうか」
おお、当たりだ。今の会話でそこまで正確に推察できるとは。
「さすがですね、その通りです。今後も練習を重ねてより精度を高めていきますよ」
「恐ろしい……最終目標は男風呂への潜入ですか」
「しませんよそんなこと!兄さんじゃあるまいし」
「男風呂に潜入してどうしろと!?いや女風呂だってしないけども!」
そもそもそういう行為はできないようになっている。
え、前科があるから知っているんですか、だって!?そんなわけあるか!!
「では、報酬をお渡しします。評価は最高でしたのでまずはこちらを」
「これは、アイテムですか?【世界樹の落ち葉】?」
「!通常の葉ではなく落ち葉の方か……確か効果は……」
【世界樹の葉】の逆だから―――間違って自分や味方に使わないようにしてくれよ……。
「切り札のひとつとして最適でしょう。使う相手に注意してくださいね」
「……確かに、この説明通りなら非常に強力ですね。ありがとうございます」
妹は嬉しそうだ―――俺に使ってみたいという声が聞こえたような……気のせいかな?
「後は情報ですね。お二人にとって有意義な内容ですよ、はいどうぞ」
「ん?メモ用紙か?何々…………暗号か、これ?二桁の数字が三つならんで―――」
「!!」
「な、何だどうした!?」
横から見ていた妹がすごい勢いで用紙を奪った。何で顔真っ赤なんだ?
「―――どういうつもりですか。決闘申請と受け取りますよ?」
「順番はバラバラですから意外にわかりませんよ。すぐに気づいてくれたら面白かったのに、残念です」
「面白くありません、むしろ怖いですよ!プライバシーの侵害もしくはセクハラです!」
「お兄さんなら知っていて当然では?」
「知らなくて当然でしょう!!」
何やら二人でこそこそと話している。一体なんなんだ、あの数字?
「オホン、今のは冗談として、本当はこちらです。【試練のほら貝】の情報になります」
「おお!それは確かに貴重な情報だ。しかし、さっきの数字は何を―――」
「兄さん、あれは冗談ですので意味などありません。今すぐ忘れてください」
「ハイ、ワカリマシタ」
即答させられたよ。恐ろしくて忘れるどころか吹き飛んでしまったぞ……。




