33.消える妹
「さて、勝利の報酬は……ん?お金だけ?こういう時は相手の装備が貰えるのでは?」
「おそらく何か保険に入っていたんだろう。定期的に金を払うけどやられた時に装備を失わずに済むようになる」
対象者に非がある場合は適用されないけど、ここは無法地帯。対人戦同意の場所だからな。
ありがたいけど、結構高いんだよ。一度入会するとやめることも難しいし。
「え!?そんなものがあるんですか?私も入った方がいいのでは?」
「お前、装備ないだろう?見た目変えるだけの物は対象外だし」
「……そ、そうでしたね……」
完全に忘れていたな、珍しく羞恥で赤くなっている。装備なしプレイか……本当に稀なプレイヤーだ。
しかしこんな事で恥ずかしがるとは……珍しい光景なのでこっそり記録に残しておこう。カシャ。
「ん?今何か―――」
「そ、そういえば、初の対人戦はどうだった?」
「レインや烏天狗との戦いと同じような感覚でしたので、初めてという気がしませんでしたね。負けそうになったところも同じですが」
勝利はしたが満足はしていないようだ。負けていてもおかしくない内容だったからなぁ……。
「とりあえず、依頼を終わらせよう。今のプレイヤーより強い奴がいないといいけど」
「ボスの戦闘力は未知数ですからね。先制攻撃で決めたいです」
武闘タイプか頭脳タイプか。両方は勘弁してくれよ……。
「あの建物ですね……見張りがいます。プレイヤーではないですが……」
「戦士と魔法使いだな。どちらもかなり強そうだ。結界が張られているから見つからずに進入するのは無理か……」
気弾で仕留められるか?二人同時に相手にするのは厳しいぞ。
「―――少し試してみたいことがあります。いいですか?」
「ああ、任せるよ」
何をするんだ………え?妹の姿が消えていく!これは隠密系のスキルと同じ!?
「どうですか?先程のプレイヤーの技を再現したつもりなんですが」
「驚いた、本当に見えないぞ。相手の技を見ただけで再現するなんて、どこかの人造人間みたいだ」
「世紀末の救世主の方では?」
「あ、そうか。お前人だったか―――ウヒャッ!!おいやめろくすぐるな!?姿が見えないから心構えができなヒイッ!わ、悪かった!許してくれ~アハハハ!!」
「技のテスト中です、協力をお願いします。さて、どれくらいで倒せるでしょうか」
「やられるぅ!?」
妹が俺をくすぐり始めた!適当に暴れてみても離れないぞ、どうなっている!?いやだ、死にたくない~!
「まあ、お仕置きはこれくらいでいいでしょう。これなら見張りの不意をつけそうですね」
「ハァ、ハァ、酷い目にあった……」
気配が消えた。どうやら見張りに近づいていったようだ、うまくいくといいが……。
「グフッ!?」
あ、戦士の方が倒れた!即死か?
「おい、どうし―――」
魔法使いは首が……あ、また目があった、こっちを見ないでくれ!
妹の姿は見えない。まさか、このままボスまで倒すつもりか?
その後、誘拐団のボスをあっさり捕まえた。どうやらあの暗殺者風のプレイヤーがいたからボスが恐れられていたようだ。
捕縛したら黒ずくめのエルフ達が現れたので引き渡した。後はあいつに報告すれば完了だな。




