29.あっさり判明
「ああ、これは【試練のほら貝】ですね。手で擦りながら何回か吹くと別の場所に飛ばされますので、そこで与えられる試練をクリアすると何かもらえますよ……もぐもぐ……こ、これが中トロ!?この身と油のバランスはもはや奇跡!」
中トロに感動しているエルフ―――ファーレインのおかげであっさり使い方が判明した。擦りながら何回か吹くなんて、言われないと絶対にやらなかったな、ランプじゃあるまいし……御馳走した価値はあったか。
「試練の内容や報酬まではわかりませんが、簡単ではないことは確実ですね。慎重に挑む事をお勧めしますよ……もぐもぐ……こ、この鉄火巻は!?ワサビが効いていておいしいですね!」
俺の仕掛けたワサビ多め鉄火巻をうまそうに食べるエルフ―――ファーレインが忠告してくれる……もっと多くすれば良かったか、我ながら甘い。
「ゴホッ、兄さん、ワサビ多めに注文したでしょう!?仮想世界とはいえ、食べ物で遊ぶのはどうなんですか!?」
「遊びじゃない、食べ物の恨みだ!」
妹―――諸悪の根源が何か文句を言っているな。ファーレインは問題なかったんだから問題ない!
「ごちそうさまでした。それで、これからどうするんですか?」
マグロセットを一通り食べた後、ファーレインが質問してきた……金額は予算内だ、良かった。
「またどこかで依頼を受けようと思います。今度は冒険者ギルド以外で受けてみたいですね」
「なるほど……ではエルフの依頼を受けてみませんか?私から受付できますので」
「そんなことまでできるとは……本当に特殊なエルフだな」
断罪者で挑戦者で受付もか。一人でこんなに権限のあるNPCも珍しい。
「構いませんが、レインが自分でクリアできるのでは?あなたがクリアできない内容なら私にも難しいですよ」
その通り……あれ?名前略称で呼んでいいのか?……問題なさそうだ。
「いえ、私が自分でやることはできない規則なのです。信用できない人に任せることはできませんが、あなた達なら実力、性格共に問題ないでしょう。二回も御馳走になりましたし」
「信頼してくれるのはありがたいが、奢られただけで依頼を任せていいのか?」
「もちろんそれだけが理由ではありませんが、食べ物の贈答や差し入れなどは、良好な関係を築くのに非常に有効な手段ですよ」
おお~、妹と一緒に感心してしまった。一理ある。これからも食事に誘うことにしよう。
「では、こちらから好きなのを選んでください。わからないことや確認したいことがあったら選ぶ前に聞いてくださいね」
ファーレインが出した依頼書を確認する…………珍しいのもあるが、できないのはなさそうだな。何を受けるのかは妹に一任しよう。




