28.寿司屋で
「う~ん、おいしいです!サーモンの油がのった切り身にイクラの弾力と味わい、凄い再現力ですね!ごはんとの相性もバッチリ!」
「このあら汁もうまいぞ。これだけ色々と入れているのに調和されたこの深い味わい。同じ海産物だからなのか?」
途中で釣った子持ちはぐれ鮭を料理―――したわけではない。あれは養殖場に持って行った。養殖可能アイテムと資金を出してうまく行けば増やすことができるのだ。はぐれ鮭は成功確率が低いし必要資金も高くなるが、今回は俺も金を出した。はぐれ鮭の養殖なんてこの機会を逃したらもうできないだろうからな、ぜひ成功してほしい。
それから依頼完了の報告と報酬を受け取って、サーモンが食べたいという妹の為に寿司屋に来た。気持ちはわかる。はぐれ鮭、うまそうだったからなぁ……頼んだのは寿司ではなく海鮮親子丼だけど。俺は普通のサーモンとトロと炙り、あら汁を注文した。
しかしサーモンのオレンジ色とイクラの赤が美しい親子丼だ……他の人が食べているとおいしそうに見えるんだよなぁ……妹は特にうまそうに食べるし。
「兄さんのトロサーモン、おいしそうですね……私のイクラ一粒と等価交換しましょう」
「どこが等価だ!?交換じゃなくて搾取だろうが!」
妹も同じように感じていたようだ。しかし交換レートがひどい、交渉は決裂だな……トロサーモンとイクラ、ひとつずつ頼むか。
ありがとうございます、だと?くっ、俺がどちらも自分で食うと思わないのか!?正解だけど!
「そういえば、天狗達に勝った報酬は何だったんだ?」
食べ終わって一息ついた所で尋ねた。レアなものは貰えたのか、気になっていたのだ。
「二つ貰えました。ひとつはお札です。三回まで使えるみたいですね」
「おお、【切り札・参】か!願い事を言ってから使うとお札が音声を認識してそれを叶える為に最適な現象を引き起こすという強力な消費アイテムだぞ!三回も使えるなんて相当レアだ!」
ただし、内容や言い方によっては不発に終わる事もあるので注意が必要だ。
「それは便利ですね。もったいなくて使い所が難しいですけど……」
「お前ラスボスまでアイテム使わないタイプだからなぁ……俺もだけど」
そしてラスボスでも使わないという謎……アイテム引き継ぎとかあるわけでもないのに……。
「もうひとつは、ほら貝……ですかね?説明が出ないんですけど」
「あ~、クエスチョンマークじゃなくて全く出ないんだな?」
「そうです。鑑定品ですか?」
「違う、それは調査品だ」
鑑定品は鑑定の能力で使い方が解明されるが、調査品は自分で調べなければならない。使い方を色々と試したり、人に聞いたり、本を見たり。
適当に使ってみるのは危険だからやめておこう、回数制限があったり壊れたりしたら大変だ。
「つまり、他の人に片っ端から聞いていくか、説明が書いてある書物を見つけるかだな。依頼を出すのも可能だ」
「なかなか大変ですね。それに見合った性能、もしくは効果があると?」
「その通り。倒して手に入れた物だから持っていた本人に聞けば確実だけど」
「偶然の出会いでしたからね、そうなると…………あ!」
何か思いついたようだ。まさかもう一度戦いに行きましょう、なんて言わないよな?
「寿司を好きなだけ御馳走していただけると聞いて飛んできました、ありがとうございます!何かおめでたいことでもあったんですか?」
なるほど、ファーレインに聞いてみるのか。色々と知っていそうだし、いい選択だ…………当然、お前が御馳走するんだよな、テーブルに突っ伏して笑っている妹よ?




