19.フリープレイヤーとは
「説明不足でしたね。プレイヤーマイ様……我々各ギルドの幹部達はあなたにフリープレイヤーという立ち位置を望んでおります」
「フリープレイヤー、ですか……兄さんわかります?」
「いや、初めて聞いた……名前からしてフリーランスの事か?」
フリーランスとは、企業や団体、組織に専従しておらず、仕事に応じて自由に契約する人のことだったはず……あれ、という事は……。
「フリープレイヤーとは、特定の組織に所属せず、全てのクエストを受けるか否か選ぶ事ができる者です。ただし、一度開始したクエストは成功して当然という扱いになり、失敗すれば二度とそのギルドもしくは組織で依頼を受ける事は出来なくなりますので注意して下さい」
(ミスが許されないのは厳しいが……あらゆるギルドのクエストを受ける事ができるようになるとは!)
複数のギルドに登録することもできるが、両立できないギルドも当然あるので、全てのクエストを受けるなんて普通はできない。失敗はできないから慎重に決めないといけないが。
「その……理由を説明して頂けませんか?何故私にそんな役割を任せたいのか……」
妹が冷静に質問した。確かに……強さだけが問題ではない?
「無論です。ギルド同士で取り決めた規則の一つに、どの組織にも所属せずに一定の領域まで至った者に対してはこのように対応すると決められておりまして……適用されたのは今回が初めてですが……その上いまだ発展途上で成長力も有しているのですからこの対応が妥当かと。どうしても冒険者になりたいと思っていたなら本当に申し訳ありません……」
「そ、そこまで焦がれていたわけではありませんので、お気になさらず!」
「そうでしたか……ありがとうございます、というのも少しおかしいですね……」
苦笑している。
本当はそれほど入りたいと思っていませんでした、なんて言われて礼を言うのもなぁ……。
「兄さん、私は承諾してもいいと思うんですが……選択肢はなさそうですけど……」
「まあ、失敗厳禁はプレッシャーだけど、自由にクエスト選べるのは本当に破格だからな、羨ましいくらいだよ。この様子だと落とし穴みたいなルールもないだろうし」
「そうですね……あの、うまく務まるかはわかりませんがそのお話、受けたいと思います」
「おお、そうですか!ありがとうございます!こちらフリープレイヤーの説明書になります。差し上げますので念の為確認してください。質問があればどうぞ」
そんな物まであるのか、どれどれ…………うん、こちらが不利になるような規則はないな。おかしな部分もなさそうだ。
「確認しました、問題ありません」
「ではこちらにサインを……完了しました。最後に注意を。一度に複数のギルドから複数のクエストを受ける時は内容をよく確認して下さい。例えば同一人物の暗殺と護衛を同時に引き受けたらどちらかは確実に失敗してしまいます。またランクによる受注制限もありませんので、自分の判断で可能な任務なのか決めなければなりません」
自由とは自己責任が伴うもの、ということか……まあ妹なら問題ないだろう。
「早速クエストを受けてみたいですね……兄さんの捕獲依頼はあるでしょうか」
「あるわけないだろ!?俺は賞金首にも指名手配にもなっていないぞ!!」
「……では兄さんの護衛で我慢しましょう」
「俺を守るのに忍耐が必要なの!?捕獲したいなんていう奴を雇うわけないだろう!!」
俺を守りつつ自分の手でいつか捕まえるというわけか……どこの刑事だよ……。
いや、待てよ……裏ギルドで一部のプレイヤーに賞金がついているという噂が……。
俺は敵対行動はしていない…よな?
「では私はこれで失礼します。今後のご活躍と正式な形で面会できるのを楽しみにしています」
そういうと代表団の人は消えてしまった。名前もわからなかったけど、会えばわかるのかな?
「では私達も戻りましょう兄さん。どうやらこの部屋は魔法で作られたようでめぼしいものはないですね。その扉を開けるとギルドの入り口に転移するみたいです」
「……そんな説明されていないよな?」
「なんとなくわかるんです。説明はできませんけど」
勘が鋭くなっているのか。隠し事ができなくなるな………特に隠した事ないけど。




