18.まさかの不採用
「ここからは御一人でお願いします、私は入ることはできませんので……それでは失礼します」
「えっ、あの……!」
受付さんは早歩きで行ってしまった。仕事が忙しいんだな、ってそんな訳ないか……
ちなみに俺は前回と同じく黒子設定なので、周りからは妹のソロプレイに見えている。
「兄さん、偉い人の部屋って上の階にあるのでは?地下に続いているんですけど……」
「……何かおかしいな。罠の類ではないと思うんだけど……」
目の前の扉を開けると、地下に続く階段が続いていた。ギルドの構造なんて詳しくないけど、明らかに怪しい……。
「すまん、何があるか全く分からん。止めたい時は止めてもいいぞ?」
「兄さんが謝る事ではありませんよ。それに、私がどうするかなんて良く知っているでしょう?」
「確かに……愚問だったな」
妹がこんな状況で引き返す訳がなかった。躊躇いもなく階段を下りて行く。俺も何があるか楽しみだ。
途中で分かれ道になる事もなく、ひたすら真っ直ぐだった。かなり長いな……地獄に通じているかのようだ……
お、ようやく終点か。これは……。
「あ、扉ですよ、長かったですね……何事もなくて良かったです」
「一応ここギルド内部だから大丈夫……だと思うけど……」
何だか最近予想外の事ばかりで自信無くなってきた……町では基本的に戦闘は発生しないはずだが……
「では開けますね………ここは、書斎?…誰かいます!」
「……よく来てくれました、私は冒険者ギルド代表団の一人……」
(代表団!?ギルドの意志決定機関と言われている……こんな所で会うなんて!)
扉を開けたらそこは書斎で、現れたのは代表団所属を名乗る者だった。見た目は………これは認識阻害か!?男性である事くらいしかわからない!
こんな展開になるとは!このイベントの発生条件は何だ?
「兄さん、代表団とは?それとなんだかうまく認識できないのですが……」
妹は男から目を離さずに聞いてきた……全く油断していないな、頼もしい……。
「代表団は、ギルドの方針や重要な議題を決定する複数の人物から構成された集まりだ。一番偉い人達って事かな……うまく認識できないのは認識阻害の魔法かスキルか……道具の可能性もあるか……その力が働いているようだ」
「……そういう事ですか……厳重な守りだとは思いましたが、納得しました」
「ほう……もしやここに来るまでの通路と扉に気づいたのですか?」
(ん?何の事だ?)
特に何も起きなかったが……。
「あの通路は敵意ある者が通ろうとすればループする仕組みになっていて、扉には別の場所に繋がる仕掛けが施されていましたね?」
「……正解です、スキルも使わずにここまで正確に見抜くとは……」
(全く分からなかったんだけど!?むしろなんで分かった!?)
男が唸る。俺も驚きだ!
いつの間にそんな鑑定みたいな力を!それとも直感か?ファーレインとの戦闘を経験してからまた強くなったようだ。
代表団を名乗る男に、妹が質問する。
「何故私はここに呼ばれたのでしょうか?思い当たる節はありませんが……」
「偉業の証を複数所持していた為です。あなたの場合は……能力認定証明書と防衛成功証の2つですね」
(あれらが偉業の証とやらに分類されるアイテムなのか!?どこにも所属せずに偉業の証を複数所持していることがこのイベントの発生条件か!)
防衛成功証とは、ファーレインに勝利した時に手に入ったアイテムの一つである。説明には挑戦者に勝利した証、というそのまんまの説明しかなかった。
しかしこれからどうなるんだ?まさか……いきなり最高ランクで登録とか!?
「確かに所持していますが……その場合何か問題でも?」
「はい……大変申し訳ないのですが……冒険者ギルドに、いえ他の全てのギルドでもあなたを登録する事ができないのです……」
「ええっ!?何故!?」
まさかの登録拒否!?それに他も全部!?……思わず驚きの声を出してしまった。
それまでのプレイ内容次第で拒否されるという話は聞いた事があるが……ここまで招いてから拒否されるの?発生条件が難しいのにバッドイベント??
無職でもプレイできなくはないけど、色々不便なんだよなぁ……身分証だけでも何とかならないのか?




