11.最後の相手は!?
最後は熊のボスだ。名前はアーマーベア。
攻撃を受けても全く怯まない、異常な耐久力、威力の高い攻撃を連続で繰り出し、離れている相手にはダッシュで近づいてくる厄介な相手である。
ただし狼や猪とは違って単体なので戦いやすくはある。多数を相手にするのはまだ得意じゃなさそうだしな……いや、あれはゴブリンが醜悪だったせいか?
「グオオオオ!?」
「ここ!」
攻撃を誘う、連続攻撃を凌いで反撃、離脱して攻撃を誘う。これの繰り返しで倒す事はできる。
ただし時間は掛かる。反撃しすぎても危険だし離脱のタイミングを間違えたら捕まるし油断はできない。そろそろ………。
「グルルルルル!!」
「む、攻撃が変わりましたか!」
体力が減ってきたので行動パターンが変わった!先程よりも速く激しく動いてくる上に隙が少なくなった。対応できるか!?あ、立ち上がった!
「え、掴み技!?」
「不味い、ベアハッグだ!」
またの名をさば折り、防御不可の投げ技系の攻撃だ!捕まったらそのまま継続ダメージが入り続ける!暴れれば速く解放されるがこちらの力が相当上でないとできない。仲間がいるなら攻撃して助ける事ができるが今はいない。故に捕まったらもう……!
ちなみにアーマーベアはアーマー効果でダメージは受けても怯まないので助ける事ができないようになっている!なんて奴だ!
「ぐううううううう…………!!」
「グ、グマアァァァ!?」
「嘘だろ、抑えてるのか!?」
アーマーベアの前足を両手で必死に掴んでいる!むしろ指が食い込んでないか!?力の差を考えると在り得ない光景だ!
しかし相手も黙ってはいない。大きく口を開けて噛みつき…いや目が真っ赤だ!これは頭を噛み砕く即死攻撃か!?闘気で耐えられるのか!?
ボスが頭を下げてきたその瞬間……!
「ハアッ!!」
「!?」
「どちらも飛んだ!?」
熊が空中に浮いている………!?違う、飛ばされたのか!このボス空中に浮かせられるの!?アーマー効果はどうした!?
妹が放ったこの技はまさか!?格闘ゲームで有名な……!!
「サマーソルトキック……これはかなりのダメージになった筈!」
頭、カウンター、クリティカル、最後に落下ダメージまで入ったな!これはギリギリ倒したか?
予想通りだった。倒れた直後立ち上がったが動く事はできなかった。そして……。
「グ……オ……」
「ふう……ありがとうございました……」
決着が着いた。アーマーベアが消えていく。妹はそれを見て目を閉じて小さく、しかしはっきりと礼をした………。
「おかしいですかね?3体まとめてなんとなく感謝したい気持ちになって……」
「いや、いいんじゃないか?仮想世界の食事でもいただきますやごちそうさまの挨拶をする人は多いし。スポーツでいい勝負をした時のような感覚なんだろう?」
「それと、遊んでくれてありがとうという気持ちですかね……」
妹らしい、そう思うと同時に少しからかいたいという悪戯心が芽生える。
「道中のモンスターには感謝しないのか?一部には大人気だったじゃないか」
「人気って……ゴブリンはちょっと……どこを見られているのかまではっきりわかりましたし………ですが倒した快感は病み付きに…………うううう~!?」
「すまんすまん、そんな事で悩まなくてもいいだろうに…」
「確信犯の癖に何言ってるんですか!全く……」
固いというかなんというか……まあそんな所も含めて自慢の妹だ、口には出さないけどな!
「いや~しかし見事な蹴り技だったな!あんなのできたのか?」
「まさか。見様見真似で初めてやりました。昔兄さんとプレイした格闘ゲームを思い出しまして……これを走馬灯というのですかね……」
「どうなんだろう……っていうかそれ俺がお前にボコボコにされたあの時の話か!?必死に近づく俺を容赦なく返り討ちにして幸せそうに爆笑して!人ってこんなにも幸福な表情ができるんだなぁって幼いながらに悟った記憶があるぞ!!あの状況下でそんな事思い出していたのか!?」
「し、仕方ないじゃないですか勝手に思い出してしまったんですから!そもそもあんなに悔しくて悲しくてどうしようもない表情を見せてくる兄さんが悪いんですよ!!危うくあの歳で目覚めてしまうところだったじゃないですか!?」
「どう見ても覚醒してただろうが!?」
なんて理不尽な奴だ!これでは因縁の宿敵ではないか!?
折角完全勝利を祝おうと…………?
「戦闘終了のメッセージ出てないのか?」
「え?あ、そういえば……これで終わりなんですよね?」
「………」
終わりだ、これで。大量の経験値や報酬が手に入る。レアアイテムの類は運次第だが妹の数値なら期待できるだろう。なのに………。
可能性があるとすれば………何てことだ………条件クリアした!?ここにもいたのか!?
「あれ、誰かいますよ……それにメッセージが出ました……え、何ですかこれ?」
そこにはこう書かれていた。
【挑戦者出現!!】と。




