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1.いきなり不正疑惑
「遅いなあ、どうしたのだろう…」
ここはトライアンドエラー・オンラインというVRMMOの世界、通称トラエラインの町の広場。
妹から、これからログインします、という連絡をもらってからもうすぐ一時間になろうとしている。
「キャラメイクするとは言ってなかったんだけど……」
キャラメイクにこだわる人は作成に数時間かかる人もいるというが、身長と体重は大きく変えると違和感を感じてしまうかもしれないと伝えた時に、妹は容姿をほとんど変えずにプレイしたいと言っていた。VRMMO初プレイなのでチュートリアルは聞いてきます、とも言っていたので、そこで時間がかかっているのだろうか。などと考えていたら
「すみません、兄さん!」
「え!?」
目の前に突然、妹そっくりのアバターが現れて申し訳なさそうに謝罪してきた。あれ、いつのまに近づいてきていたんだ?全く気付かなかったぞ?
困惑している自分に、妹はさらに全く予想しなかった遅刻の理由を伝えてきた。
「実は、運営にチートを疑われまして…」
言葉が出なかった。