0006 農村の食料問題
農民に案内されながらこの村のことや周辺の情勢等を聞いた。
今は初夏のようだ。この世界に来てばかりの時より太陽が高く昇り、暑くなってきた。ややジメジメした空気が体にまとわりつく。今すぐにジャージをはためかせて涼を取りたい。
だが今はそれよりも情報が重要だ。
「先ほどは略奪から助けて頂きありがとうございました。おかげで農民全員と収穫物の備蓄全て無事です。これで秋の収穫まで飢えずにすみます」
農民達から感謝の言葉を受ける。みんな無事で良かった。
しかし、気になることがある。本当に食料は足りていないのか。騎士の攻撃で扉が損傷した倉庫の目の前に来た。
中を見ると、領主(農村を守りきれてない)に収穫物を税として納めた後だから倉庫いっぱいに入っていない。そして玄麦(製粉する前の粒の状態の小麦)だから製粉すると表皮等が取り除かれて幾分か減るだろう。転移前は農業もやっていたのでそれくらいは分かる。
とはいえ、農村の家の棟数や農民の人数から察するに、秋までは十分足りてそうである。麦袋が積み上げられており、試しに一つ持ち上げようとした。中が詰まって重いので、地面から浮かすことは出来なかった。
「これだけあれば足りるのでは?」
質問をすると、以外な答えが返ってきた。
「これらの麦は全て水車小屋で製粉するので、足りなくなります」
どういうことだ?
TS娘が物を持ち上げようとしても力が足りなくて出来ないのって良いですね。そして暑さでブカブカな服をはためかせて大きな服から小さな身体が見えるのもよし。作品の評価が高くなっていけば、このシーンの挿絵も入れる予定です。