0004 初めての解放戦争・序
十数人の騎士団が農村で食料を略奪をしている。食糧庫の扉が破壊され、中から袋が取り出されてる。
掲げている旗の紋章は先程の死体の片方と同じ。対して農村に掲げられている旗は、騎士団とは異なるもの。つまり、この村を支配している領主は領民を守り切れていないということ。
労働者階級が汗水流して創り上げた「成果」を支配階級が「窃盗」している。それは、世界が違っても起こっている。
初めて聞く言語のはずなのに、懇願する農民の言葉が理解できた。
「どうか、これ以上の食料は持って行かないで下さい。もう秋までの分が無いのです」
そう言われた騎士は剣を抜き農民に切りかかった。騎士はまるで異常者を見る目でその農民を見た。作物を作るだけの機械が壊れて異常音を出しているとでも言わんばかりに。
社会主義者として、一切の迷い無く農民を守る為に銃を撃つ。使い手の体が変わっても銃の威力は変わらない。轟音と共に一発で騎士を鎧ごと撃ち抜いた。
続いて他の騎士全員を撃つ。事を終えた狙撃手を農民たちは、略奪から助けてもらった感謝と未知の存在への不安が入り混じった表情をしている。