0024 鍛冶村の現状
長い山道を越えてやっと鍛冶村が見えてきた。
ここの領主の統治領域内の鍛冶は全てここて行われてる。農具の製造修理だけでなく騎士団の武器工房と防具工房も兼ねているので、守る為の櫓や柵や空堀が備えられている。数人の騎士が駐屯しているのも見えた。
鍛冶村の手前で横にもう一本道がある。
「この道はどこに続いている?」
「ふもとの領主が居る町までです」
「鍛冶村が攻撃されたら領主に連絡がいって援軍が来る構造だな。ここを落とす時は領主に情報がいかないようにしなければならない」
これ程の防備であれば隣国が鍛冶村を攻めずに途中の農村で略奪して帰るだけになるのも納得できる。
少しずつ歩いて近づいて行き、鍛冶村に居る人を識別できるくらいの距離で違和感を感じて立ち止まる。農民も立ち止まった。
「同志、どうされました?」
「防備のあちこちが老朽化していて修理されてない。しかも防備の規模に比べて騎士の数が少ないぞ」
数年前の戦闘で損傷したらしき傷から腐敗した形跡もあるのに放置されている。この状態でも弓や槍でここを落とすには数十人は必要だろうが、それでもおかしい。
「ここ数年内にここまで隣国が攻めてきたことはあるか」
「私が知る限りではありません。数年前にドワーフが攻めてきたくらいしか知りません」
少なくとも農村に情報が行く程の戦闘は無いと。
「現状ではわからないから鍛冶村に入って調査しよう。ここで長く立ち止まってると怪しまれる」
再び進んで鍛冶村の門に着いた。斧で攻撃された跡はあるが、矢が刺さった跡は見当たらない。
農民が入る為の手続きを終えたので中に入る。騎士達は俺達には一切警戒せずに隣国や山奥の方向を見ている。
その隙に農民達と一緒に鍛冶村を見て回る。広場の突き当りの一方面からふもとが見えた。その先に小さな町が在り、中央に砦の様なものが建っている。
「同志、あの小さな城がこの辺り一帯を王から任されている領主の館です」
騎士達に背を向け、農民達と共に敵の根城を見る。今はまだ王に仕える諸侯の一人すら打倒できてないが、着実に革命は進んでいる。
「それでは農具修理に行って情報を集めてくれ。俺は工房を見てくる」
二手に分かれて行動開始だ。
工房内を死角からこっそり見る。ここは防具工房であり、全身を覆う板金鎧が鋳造されている。大勢の人間が働かせられており、ドワーフが居た痕跡すら見当たらない。
鋳造工程を見てドワーフが追放された理由が分かった。今の防具工房では一人が鋳造に関わるのは板金鎧の数ある部品の一つだけだった。




