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月と虹の導く奇跡

あけましておめでとうございます!←遅い

年末頃から腰をまたやってしまって停止しておりました…

7話、月と虹の導く奇跡お楽しみ下さい。

どれだけ歩いただろうか……一応、道らしき道を通ってはいるけど、山を大きく一周しているように思えて、少し不安になってくる。


「ね、ねぇ……まだなの?」


流石に疲れてきて化け物たちに聞いてみる。


『もう少し、もう少し』

『祭壇までダァ』

『3回、3回〜♪』


祭壇、3回、というワードが気になったが、もう少しらしい。

疲れを振り切って頑張って登って行く。


数分したところで、数m先、茂みの奥に広場のような大きく開けた場所が見えてきた。


ようやくたどり着いたそこは、この月虹山の頂上のようで、心なしか化け物の数が多いような気がした。


「ここが、月虹山の頂…上……?」


そこは頂上というよりも、化け物が言っていたように祭壇と言った方がしっくりくるほどの場所だった。


半径50mほどの円形広場に、まるでストーンヘンジのように直立巨石が環状に12柱並んでいて、その中心にはガラスのように透き通った直立巨石が一枚、佇んでいた。


頂上というのもあって見晴らしはとても良く、綺麗ではあったが、それよりもこの厳かな雰囲気に少し身震いしていた。


『1回目、1回目は、満月』

『真ん中の、石、触って、1回目ダァヨォ』

『1回目〜〜、ターッチ♪』


化け物たちの言う通りに真ん中の透明な石に触りに行ってみる。

目の前に立ってみると、石の中がキラキラ光って見えた。


恐る恐る触れてみると、一瞬ピカッと光ったと思ったら、石自らが鈍い光を放ちだした。


「え、これでいいの……?」


『1回目、成功』

『2回目に行くべぇ』

『3回まで、やるんだよ〜♪』


順番に説明してくれたけど、いまいち分かっていない。

でも要するに、石に3回触らなくてはいけなくて、その1回目はできた。

あと2回触ったら何かが起こるという事はなんとなく察しがついている。


『2回目、こっち』

『こっちのルートダァヨォ』

『2回目は弦月ルート〜♪』


「ちょ、また山道歩くの…!?」


早く早くと化け物たちに急かされ、2回目の山道を歩く。

でも、来た道とは全く違う道というのは、一目瞭然で分かった。


先ほどの道はいかにも森、というような木や花や草がたくさん生い茂った場所だったが、今歩いている場所は川や魚、水辺の植物が多い。


まじまじと自然というものを見た事がなかったからか、川のせせらぎや水に濡れて瑞々しい植物を見て心が癒されている。


魚が水面で跳ねる。それを透かさず見ていた水鳥が川に飛び込み、魚を捉え咥えて飛び去っていく。


まさに弱肉強食の世界を目の当たりにして、生きていく事の重みをじわじわと感じた。


約10分程度歩くと、頂上に戻ってきていた。

1回目よりも、短く早くて楽な道だった。


『2回目、終わり』

『石に、触るダァヨォ』

『あと1回〜♪』


言われるがまま、真ん中の石に触りに行った。

また一瞬光ったと思ったら、先ほどよりも石が明るく光っていた。


『3回目、こっち』

『これで最後ダァ』

『最後は三日月~♪』


3回あるのは分かっていたけど、肩で呼吸しないと辛くなってきていた。


「しんどい……」


流石に体は重く、疲労をかなり感じている。


『もう少しだから、頑張ろ〜♪』


最後だと言うので、力を振り絞って化け物たちについて行くが、最後の山道は岩や崖の多い危険な場所だった。


『この道、一番短い、だから、頑張れ』


足元に十分注意しながら進むけど、よろけて踏み外した所を何度も助けてもらいながら最後の山道を抜けていく。


そして、戻ってきた頃にはすでに21時を過ぎていた。


ふらふらした足取りで真ん中の石に触りに行く。

同様に3回目の光を放ち、さらに石が明るく光ったと思った矢先、ふと気がつく。


辺りにはさっきまでいなかった化け物が何十、何百といて、踊ったり遊んだりしている。

ここの場所自体も光苔のようなポワンとした光が宙にたくさん舞っている。


「え…?何……これ」


何かの絵本や漫画の世界にでも入り込んだような神秘的且つ幻想的で美しい、でも恐ろしい情景に私の瞳と心は奪われていた。


さっきまで案内してくれていた化け物三匹が私の元へ駆け寄ってきた。


『もうすぐ、開かれる』

『七色の光が導くダァヨォ』

『上を見たら、ほら〜♪』


「上……??」


見上げると、そこには見事な満月が雲一つ隠れずに出てきていた。


でも、化け物の一匹が言った、『七色の光が導く』ってどういうことだろう。

七色といえば虹を思い浮かぶけど、太陽光と雨粒がないとできないし。

そもそも夜なんだから、もし出たとしても見にくいと思うんだけど……。


そう思っていた時だった。化け物三匹が口を揃えて言った。


月虹(トゥアル・チャッハ)


「え??」


何語か分からない言葉で聞き返してしまったが、言っている事はすぐに分かった。


満月を中心に輪になった虹が掛かっていて、美しく神々しく輝いていた。


「これは、月虹……?」


月虹。月は太陽光に照らされて輝いている。その月の光と雨粒が反射して虹が出るとそう呼ぶらしいが、滅多に見られる現象ではない。


この山の名前が、月虹山と名付けられた意味がようやく分かった気がした。


そして月虹の放つ光は、目の前にある光っている石へと降りていった。


すると、石なのに水のような波紋を描き出し、石の向こう側に何か別の世界が映っているように見える。


手で触れてみると、大きい波紋が広がりながらすぅっと通り抜けて別次元へ行けてしまいそうになり、怖くなって急いで手を引っ込めたが、化け物たちがこの中へ入れようと引っ張っている。


また、たくさんの様々な化け物たちがこの石を通り抜けて別の場所へ行き来しているのを見て、私をこの中へ連れて行きたかったということに今更ながら恐ろしくなった。


『この中へ、早く』

『一緒に行くダァヨォ』

『未知の世界へごあんな〜い♪』


強引に引かれながらもへっぴり腰で必死に抵抗するけど、ずるずると少しずつ近づく。


「ちょ、ちょっと待って!これは何処へ繋がってるの……!?」


すると、この場にいた化け物たち全員が、口を揃えてこう言った。

















幻想の住処(クノック)


その言葉を最後に、石の向こう側へと吸い込まれるように入ってしまった。

閲覧ありがとうございました。

さて、今回のこの7話で第一章イシキ鬱ツが終わりになります。

ざっくりとまとめていきたいと思います!


第一章実話度→30%


この一章では、主人公華淋の心の闇と何に対しても諦めと絶望しかない心を親友である理沙が変えるというのが醍醐味の章でした。


また、華淋が親に対して反発できないシーンやロマンス小説を読むシーンで考えている事ですが、実際に私がそう考えている事があるという、その部分で30%という数字を使いました。


これからいよいよ二章へ入ってようやくファンタジー感が強く出てきますのでお楽しみ下さい!!

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