教室に潜むシルエット
すでに夏ですね
最近は家に引きこもりんですw
シーンを区切るため、この話は短めです。ご了承ください。
下駄箱で靴を履き替えて教室へ向かう。
大理石でできた廊下、その上に両端金の刺繍が施された緋色のカーペットが敷かれている。
まるでどこかのお城の様なアンティーク調であしらわれた華やかな内装。
少し歩くと大きく開けた場所に出る。所謂、大広間と呼ばれる場所。
天井には割れないガラスで出来ているシャンデリアが数個付いて、手前には左右に螺旋階段で二階へ、踊り場を通って中央階段を登ると三階へ行けるようになっている。
一年生は一階、二年生は二階、三年生は三階で、音楽室や理科室などの移動教科室は全て三階にある。
行き慣れない階段を登って二年生の教室フロアへ。
2ーCと書かれた札を確認し……緊張と、どうしようもなくやる気の無い気持ちのまま教室のドアの前。中からは楽しそうに騒ぐ声が聞こえる。
「おっはよー!!今日からよろしくぅ!!」
理沙はバーンと勢いよくドアを開け、教室にいるこれから一年間過ごすクラスメイトに挨拶をする。
その後ろ横に私がいるけど……あれだけ騒がしかった教室が一気に静まり返り、全員の視線が全て私と理沙に集まる。
「…………」
沈黙がしばらく続き、それぞれ怯えたように顔を見合わせている。
あぁ、やっぱり……こうなるんだ。
「あれ……?おっかしいなー、これで最初の掴みは完璧だと思ったのに」
しょんぼりしながらも沈黙を破ったのは理沙だった。
凍りついた空気はその一言で徐々に溶けていったようだった。
「あ……う、うん、よろしくね、本田さんと……望月さん」
「そ、そういえば俺、本田と初めて同クラになったんだぜ!仲良くしようぜ!!も、望月もさ……!!」
再びわいわい騒がしくなり始めた教室内。
理沙
でも少なからずはともかく、私の事をよく思ってない人はいる。
悪口に限ってよく聞こえてしまうものなのだろう、教室の隅の方にいるクラスメイトは消えろとか、死ねばいいのにとか、人生詰んだとかそういう言葉が耳に刺さってくる。
辛いけど聞き流してないことにしてる。
反応してしまうと化け物たちも黙ってないし、大きな騒動を起こして大問題、なんて事はもっと嫌だから。
でも、この時はまだ気づいていなかった。
本当にこの時に言っていた人にキツく言っておけばよかった。
まさか、それを実行できるぐらいに私のことが嫌いで犯罪を恐れない人がいたなんて。
「死ね、望月華淋。」
広い教室……一番後ろのカーテン裏にいたそのシルエットの人は、春の風に揺らされたカーテンの隙間から不敵な笑みが見え隠れしていた。
閲覧ありがとうございました。
コメントや評価、ぜひ残していってください