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友達をゲットしましたよ。


 ゲームでは奏悟と李紅が恋人同士だったなんて、目の前の広がる光景を見たら十割バグかなって言うと思う。

 結局、抗議は視線だけに留めた奏悟が、食べる場所はここで良いよねというので私の前の席の机を借りて四人で食べることにした。すでにクラスメイトに一部始終をみられたのだからコソコソする必要もないだろう。

 あれからクラスメイト達からの私への認識は、羨ましい奴から関わったら氷華家に消されるヤベー奴に変わったので誰も近付こうとはしない。

 ふっ……いいさ、私にはまだ他クラスの子と友人になれる可能性があるんだから……!

 誰に対してかわからない言い訳をしつつ昼食を食べる。

 席は私から見て左に奏悟、右に李紅、正面に眞紘となったのだが、左右の二人はバチバチと目から光線を出しそうな表情で食べているし、ハラハラと見守る私に対して眞紘は気にしていないのか美味しそうにお菓子を食べている。

 そう、彼女のご飯はなんとお菓子だったのだ。栄養不足にならないかと突っ込みたかったが、本人が幸せそうなら口を挟む必要もないだろう。……本当に危なくなったら李紅が止めるだろうし。と、まぁ、カオスな空間でいただく昼食は味がしないー……なんてことなく、普通に美味しかった。時間があったからと作ってくれた柚月さんに感謝。

 もぐもぐと食べていると李紅が手を止めてこちらを見た。

 「そういえば、午後の授業は体育がありましたわね。杏香さん、一緒に行きましょう」

 「あー……そっかぁ。体育だったね。うん、一緒に行こう」

 すっかり存在を忘れていた授業を思い出して、私はうんうんと頷いた。更衣室前までは奏悟も一緒だろうけど、同じクラスなのだから仕方ない。二人共それをわかっているので特にいがみあわなかった。

 「ご飯食べた後の体育って嫌だよねぇ。走るとお腹の横が痛くなっちゃう」

 眞紘がげんなりしたように言うと、李紅も頷いて同意した。

 「今日の体育は何だったかしら。あまり激しいものでなければいいのだけど」

 「そうだねぇ」

 「そうだわ、もしペアを組むことになったら一緒にやりましょう」

 そう言って李紅が期待に満ちた瞳でこちらを見てくる。視界の左端ではドス黒いオーラを滲み出している者がいるが、李紅は気にも留めずニコニコ笑っていた。

 メ、メンタルが強い……。

 「いいなぁ、杏香ちゃん。私も李紅さまとペア組みたぁい」

 「貴女、柔軟体操組むと容赦なく押してくるじゃないの、嫌よ」

 「えぇん、ひどーい。李紅さまを想ってやってるのにぃ〜」

 「あはは……」

 決して良い雰囲気とは言えないが特に争いが起きることなく昼休みは終わり、教室に戻る眞紘を見送って私達は体操服一式を持って更衣室へと向かったのだった。

 

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