いざ結果発表!
さて、四人それぞれが勉強し、テスト本番に全力を出してから約二週間。
乙女心が騒いでいた陸とはあれから進展なんてあるはずなく、いつも通り世間話を少しして、帰る時に陸がふらりと来て途中まで送られることが増えた。けれど、それだけだ。手を繋ぐこともなければ、好意を寄せているような仕草もない。
やはり気紛れか、一人が寂しいだけなのだ。
そう思う度に小瑠璃や香白の身体をもみくちゃにした。小瑠璃には文句を言われたが、知らない。私だってなんだか文句を言いたい気分なのだ。
そんなことをしていた二週間、ついにテストの答案用紙が返ってきた。そして、学年ごとの廊下に張り出された成績順位。人集りが散るのを待って、私と奏悟と李紅はその前まで行った。眞紘は移動教室があるから後で見ると言っていたので、彼女の分まで見ようと思う。
さぁ、さぁ、結果発表はいかに。
ドキドキしながら順位を見ていく。一番上、成績優秀者には氷華李紅の名前と共に合計点数五百点と表記されていた。
「満点か。残念だな」
隣の奏悟が恨めしそうに舌打ちする。一方、李紅は当然と言わんばかりに微笑んでいた。
「あらあら、佐藤さんは二位ですか。惜しいですわね、あと三点で全教科満点でしたのに」
「チッ」
私を挟んで火花を飛ばさないでほしい。私は二人の喧嘩を流して、自分の名前を探した。流石にこの紙には最下位までは載っておらず、成績優秀者三十名までしか記載されていない。それでも多い方だが、この紙に名前が載ることはこの学園で優秀と自慢出来るほどのものだそうだ。それだけ全体の点数が高く、上位に入ることが難しいのだ。
自分の名前を探していると、ついに見つけることが出来た。まさかあるとは思わなかったが、成績一位、二位の二人に勉強を教えてもらったのだからあって当然というべきか。二十五位という位置だが努力が報われた気がして嬉しかった。
「お、杏香の名前もあったね」
「おめでとうございます、杏香さん」
私の名前に気付いた二人がおめでとうと拍手をくれる。私は照れながらお礼を言った。
「ありがとう、二人とも。二人が勉強教えてくれたからだよ」
「いいえ、杏香さんの努力故にですわ」
「そうそう。よく頑張ったね」
「えへへ」
何だか恥ずかしくて誤魔化すように再び紙を眺める。順位の最後まで見たが、神崎眞紘の名前は無かった。それに気付いた李紅が頬に手を添える。
「眞紘ったら、まさか赤点じゃありませんわよね」
「頑張って勉強してたけどね」
「答案用紙は既に返されてるし、嬉しそうだったから赤点は無いんじゃないか」
「そうですわね。きっと八十点以上取ったのでしょう。約束通り、ケーキを奢るとしますわ」
そう言って李紅は綺麗な髪を靡かせて教室へと戻っていく。
「俺達も戻ろうか」
「うん」
奏悟に促されて私も教室へと戻る。
振り向き様に紙を一瞥するが、やはり何度見ても白銀陸の名前は載っていなかった。