28.生還。
前回の出来事: サキュバスから少しエッチな夢をみる攻撃を受けたかもしれない。
アリエス一行はアィーヒ帝国の首都星『アンドール』に到着した。
ついに、ウァーン共和国からの脱出に無事成功したのだ。
首都星にあるエルアルスペイド伯爵の邸宅の中庭にクロマグロ号がまたしても見事な操船で着陸する。
「アリエス……よくぞ無事だったな……」
アリエスの父ノーディス――エルアルスペイド伯爵自ら、アリエスを出迎える。
「お父様、アリエスただいま戻りました」
しばし見つめ合う親子。
「アリエス……!」
「お父様……!」
ひしと抱き合うエルアルスペイド伯爵親子であった。
その姿を見ている、命がけの脱出行をアリエスと共にした老執事ザンドと老騎士グレゴリは、おいおいと涙を流している。
「とても疲れていると思うのだが、どのような旅だったのか詳しく聞かせ欲しい。私の執務室にすぐ来てくれるか」
「もちろんですわ、お父様。すぐに執務室に向かいます。その前に、私をここまで無事に運んでくださった勇敢な船乗りたちにお声をおかけいただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、すまない。もちろんだ」
エルアルスペイド伯爵は、娘の願いに快く応じ、クロマグロ号の面々と一通り握手を交わしていく。
「娘に無事再会できたのも君たちのおかげだ、ありがとう。ありがとう。ありがとう……」
すでに、クロマグロ号の皆とは別れのあいさつを済ませていたアリエスは、そのままエルアルスペイド伯爵の執務室に向かう。
父ノーディスも長旅で疲れているであろう娘を休ませたいところだが、正確な情報をいち早く得たいと考えたのだろう。
娘のアリエスもその考えを汲み取り、記憶が劣化する前にと報告を行っていく――――。
「アリエス……っ」
「お姉さまっ」
「アリーねーさまっ」
「お母様、ミリー、カー君」
父への報告の後、他の家族とやっと会うことが出来たアリエス。
母、妹、弟がアリエスを次々と抱きしめようとする。
アリエスももちろん、抱きしめられるがままとなる。
自らの無事と家族との再会の喜びがじんわりと広がっていく。
そして、久々の家族水入らずの食事を取る。
「お姉さま、初めての『巨竜機人』の実戦のお話を聞かせてください!」
「アリーねーさま、ぼくもききたいです!」
実は、巨大ロボットが巨竜機人ではなく、宇宙最強兵器『竜血人形』であることは、父のノーディスと2人だけの秘密にすることと先ほど決めていた。
ということで、普通の巨竜機人同士の闘い、というていでみやげ話をするアリエス。
「さすがお姉さまです!」
「すごいです!」
12歳の妹ミリエルと8歳の弟カーディスは、目をキラッキラとさせて、大好きな姉の冒険話を夢中になって聞いた。
この2人も生まれながらの吸血鬼族である。
しかし、母のウリムスは元人間族ということもあり、娘の話を聞いて肝を冷やしていたのだった――。
「アリエスは、いったいこれからどうなるのでしょうか?」
心配げに父にたずねる母。
「うむ。まずは、帝国の学校に編入の手続きを取ろう。実戦を経験はしたとはいえ、アリエスはまだ学生の身分なのだからな」
「婚約破棄の件はどうなるのですか」
「それも共和国に確認していこう。シンタロウ殿が婚約破棄を宣言したというが、子ども同士で決めれることではないからな。アリエスは少し休んでから、編入手続きが終わったら首都星の学校に通いなさい」
「はい、分かりましたわ」
「やった! お姉さまと学校に通えるわ!」
「ぼくもいっしょにかよう~」




