22.決戦!(3)
前回の出来事: 花火に見とれてしまった。
「――はっ!?」
我に返ったアリエスの目前に敵が放った先制の魔矢が迫る――――。
「神盾展開して防御っ」
「神盾展開」
巨大ロボットの前に展開された神盾に遮られて、合計3発の魔矢が消滅する。
「向コウノ武器ハ弓ノヨウダナ」
「さすがエルフ。お約束ですわね」
「オ約束……トハドウイウ意味ダ?」
「エルフは古今東西、弓が好きな種族ということですわ」
「フムン……」
「ソレニシテモ、我ガ主、気ヲ引キ締メテクレ。神盾モタダデハナイゾ。『戦闘モード×3』ニ使エルエネルギーガ減ル。今ノ一発デ0.5秒ロスダ」
「申し訳ないですわ、ドラグヌフ。気をつけます」
気を引き締めなおすアリエス。
「『戦闘モード×3』再開」
「是、我ガ主」
~戦闘モード×3 残り89.5秒~
一方、双子男エルフは、『戦闘モード×3』に移行した巨大ロボットの動きと速さに衝撃を受けていた。
双子の男エルフ二人が、交互に魔法詠唱を行う。
「敵は速いな! あれが新型ということか?」
「不恰好な癖に、軌道が捉えられない!」
「小惑星に衝突するのを恐れていないのか」
「補助魔法を使うぞ」
「XXX XXX XXX ファースト」
「XXX XXX XXX クロックアップ」
交互に魔法詠唱を行い、双子エルフの身体速度と精神速度、さらに『巨竜機人』の機体性能も上げる事に成功する。
しかし、敵機体の速さはそれを上回っていると感じる。
悠々とこちらの放つ魔矢を避けて、近づいてくる。
「補助魔法を打っても差があるな」
「先よりはマシだ。これで何とかしてみせよう」
「調査魔法を打ってみよう」
「XXX XXX XXX インフォ」
「XXX XXX XXX クリア」
やはりというべきか、双子エルフの打った調査魔法は弾かれてしまう。
「抗魔法されたな、やはり」
「見ろ、剣を取り出したぞ」
「剣の見た目はショボいな」
「接近戦がお望みか」
伯爵令嬢の機体は、貧弱そうなただ黒一色の剣を手にしている。
「こちらも剣に持ち替えよう」
「補助する」
双子エルフは、弓をマジックボックスに仕舞い、彼らの主武器を取り出す。
実は、『双頭毒蛇』の一番得意な武器は、弓ではなく剣である。
彼らは、これまでも弓が得意だと誤認して、接近戦を挑んできた相手を何機も撃墜してきているし、今後もその心算であった。
「よし、こちらも剣を出すぞ」
「「光学魔法剣!」」
声を合わせて剣を取り出す双子エルフ。
それは、最新の魔法と科学と鍛治技術が融合した結晶である。
「よし、打ち合うぞ」
「頼むぞ、兄貴」
「任せろ、弟」
双子エルフの剣は、アリエスの持つ暗い剣と異なり、白色に輝く光の剣であった――。
~戦闘モード×3 残り15秒~




