表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/38

11.おいてけぼり。

前回の出来事: 小惑星の人工物(ドック)に興味を持った。

 宇宙服を着けずに、手袋だけ()めて、宇宙空間に飛び出すアリエス。

 彼女のプラチナブロンドの頭髪がまるで水中にいるかの様に漂う。


 前世、普通に宇宙に憧れていた普通の日本人成人男性の記憶を持つアリエス。

 どうしても、宇宙空間に飛び出す瞬間はいつもワクワクしてしまうのだった。

 例えるなら、誰もいないビーチで海に飛び込むような感覚と言えば良いだろうか。

 高揚感の為か、頬を染めうっとりした様子のアリエス。



(この感覚、いつ味わっても最高です)



 吸血鬼(ヴァンパイア)族の目には、宇宙空間はまったくの暗闇ではなく、魔力の源である魔素の濃さによって、独特な紫色がかった海の様に見えている。


 魔素が濃い場所は、まるで温水の様に温かくもある為、寒さをそれほど感じない。

 それに吸血鬼(ヴァンパイア)族の身体であれば、魔素を水を掻く様にすれば泳ぐ事もできる。

 吸血鬼(ヴァンパイア)族の本領は宇宙でこそ発揮されるといえるのかもしれない。


 とは言え、本当に泳いで移動するのは非効率なので、手に持った宇宙銃――宇宙空間を移動するためのガスの噴射装置――をプシュプシュと撃って移動していく。




「入り口を見つけましたわ」


 思念と音声を相互変換する宇宙通信機は、空気がなくとも通信が可能だ。


「お姫さん、くれぐれも慎重にな」

「了解ですわ」





(どうやって開ければいいのかしら?)



 入り口らしき、一辺がおよそ2(メートル)、正方形状のドアを開けるべく、手袋をはめた手でノックしてみたり擦ってみたり。

 暫くそうしていると、ドアがひとりでに開いた。



(あら、どこかのスイッチが反応したのかしら)


 

 アリエスが躊躇なく入っていくと、そこはエアロック――気圧調整室だった。

 外部と繋ぐドアが閉じ、ゆっくりと空気が満たされていく。


「あ、空気、と重力もありますね。明かりもあります」


 弱いながらも重力も感じられ、アリエスの足が床に着いた。

 非常灯の様なオレンジ色の明かりがいくつか灯っており、視界も良好だ。



「そうか、お姫さん、もう少し、中を探索しながらここにいてくれ」


「はい?」






 突然ドックから離れていく、クロマグロ号。






「え、どうして?」


「……ザっ……あ……で……ザザ―――――」





 雑音を最後に、通信が途絶えてしまう。

 楽しい冒険のつもりが、突然の置いてきぼりとなってしまったアリエス。



  プシャ――――



 途方にくれるアリエスをよそに、エアロック内に空気が満ち、(ドック)施設の内部へと繋がるドアが開いていく。



(わ、私、こんなところに一人とりのこされてしまったというの……?)



 誘導灯がアリエスを中に誘う。








「……ヤットコノ時ガ来タ。待チカネタゾ我ガ主(マイマスター)ヨ――」








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんと、当作品の主役「吸血伯爵令嬢アリエス」がイラスト化! 秋の桜子さん、超絶ありがとうございます!(><*)
アリエス令嬢
▲イラスト制作秋の桜子さん(カスタムキャスト使用だそうです♪)


↓当作品と同じ世界観の最新短編作品『異世界×宇宙モノ』↓
宇宙魔女博士見習いのぼくは奇妙な形の木造船で宇宙の中心に逝ってきます。
応援バナナ

△画像制作:塩谷文庫歌さん

応援バナナ
▲バナー制作秋の桜子さん

↓『恋愛×高校×テロリスト』↓
逃げ足以外は平均より劣る主人公が男を魅せる恋愛アクション短編(の予定)。
白インバナー
▲イラスト作者→管澤捻さん、バナー加工→自分

応援バナナ
△バナー制作秋の桜子さん

応援バナナ
△バナー制作塩谷文庫歌さん

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[一言] 遂にエロボットキターーー!!!!
[一言] いよいよ題名回収でしょうか。
[気になる点] あ…あれ? サキュバスが随分カタコトで(違います
2020/10/21 12:21 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ