新しい世界との接点(しばらく先に投稿予定)
いつ登場させるか、迷っていますが、直近の話の終着点を書きながら、次の世界との邂逅を書いております。
意味が分からない部分が出ると思いますが、どこかで、この話のリメイクを挟むと思います。
今、リアル仕事が忙しい+友人と一緒にオンラインゲームする時間で、執筆が進んでいません。
後半部分は、大変申し訳ありません。
世界は一つではなく、いくつも分岐して交わることなく存在していた。
それは空想で描かれる『平行世界』という概念、似た物理法則や、過去のある時点まで同じ歴史を辿るが、どこかで分岐を果たした可能性の世界。
それは未来、あるいは人類が辿るであろう必然の物語。およそ五千年前の『地球』で、その人類は惑星の生態系を壊滅に追い込んだ。
一つの星を壊すには、高度に発達した科学だったり、それに近い文明が必要だが、その『平行世界』では既に、宇宙へ自由に進出する技術を手に入れていた。
「現在の船体速度、超光速で安定中。テラフォーミングが完了したと思われる『地球』への到達は、およそ二時間後です」
人類は五千年かけ、宇宙で移住可能な惑星を探索した。だが、宇宙は果てしなく続くのに、人類が生存可能な惑星を探すのは、数千年かけても不可能だった。
天の川銀河と同じような条件を持つ銀河系を探索しても、地球と同じような惑星は無く、時には地球の環境を模倣しようとしても、天文学的な資源と人員を費やしてなお達成できずにいた。
その過程で、人類は増えすぎた。
およそ八百億人が宇宙で暮らし、資源が取れる惑星を何個も潰しながら、最終的に数億の『宇宙船』を生み出した。
――超光速移動。
SF作品で登場する『ワープ航行』により、人類は光よりも早く移動し、宇宙が広がる速度に追いつこうとした。
「艦長、ついに全人類の悲願を達成する時が来るのですね」
「浮かれるな。もう疑似体験でしか『地球』を知らぬ我ら人類が、母星の土を踏みしめたとして、また悲劇を繰り返す始まりの日であったと、後世で言われぬように気を引き締めよ」
五千年前、二億人ほどに減った人類は、地球を離れる時、地球が未来に再生するよう、まだ実験段階であった惑星改造技術を自動で行う機械を設置した。
荒廃した大地を再生し、ずれた地軸と、正常な公転軌道から外れた地球を元に戻し、周囲に拡散してしまった『水』を回収、あるいは生成することで、環境を元に戻す試みをしていた。
「五千年を長いと思うか、短いと思うかは、人それぞれ。惑星が出来る過程を考えれば、その時間は一瞬のような感覚だが、人類が犯した罪を清算するには、長すぎる時間とも言える。それに……この艦でさえ五十億人の乗員がいるのに、全人類を母星に住まわせるのは不可能に近く、戦争が途絶えて数百年が経ったが、土地を巡って人類はまた、争いを始める可能性もある」
宇宙航行は、人類に生存の道を示したが、同時に耐え忍ぶことの重要性と大変さを教えた。
宇宙船の中は、人工の重力場を発生させ、気圧などの条件を地球に近く設定しているが、宇宙に出て五千年の間に、人類はいくつかの機能を失った。
拡張現実や仮想現実を使い、人類らしく生きる術を幼少期に身に着けるが、嗅覚だったり、限られた食料ばかりを食べていたせいで、味覚の一部を喪失した。
しかし、医療や科学は発展を続け、肉体や脳にマイクロマシンを埋め込む事で、人間らしさを失うことなく、認知能力の向上や、健康状態を維持することに成功していた。
「到着まで、長く感じますね……」
望遠鏡ですら認識できない距離から、何代にも渡って命を繋ぎながら、宇宙船で旅をした。
その果てが、母なる惑星である事に、感慨を覚える乗員も多かった。
「……」
突然、それは起きた。
「……!?」
大きな音で、危険を知らせるブザーが響く。
――警告:レッドラインが観測されました。レッドラインが観測されました。ナンバー21、亜空間ブラックホールと推定
――警告:回避:レッドライからの離脱を試みます:不可:回避:不可
――最終通告:生存予測プログラムにより、最適の行動を自動で選択します
艦長と呼ばれる者の元に、宇宙船に搭載された人工知能による、状況報告が送られてくる。
「馬鹿な……亜空間ブラックホールだと? そんなの、空想の存在じゃなかったのか!?」
宇宙船が、超光速航行をする場合、数千光年先に偵察ビーコンを送り、常時、進路の監視を行う。
その過程で、光学的に観測が不可能なブラックホールや、時空の乱れが発生した場合、宇宙船が回避行動を取れるよう、超光速通信により偵察ビーコンと情報のやり取りを行う。
だが、そのプロセスで発見できるはずの事態が、今回に限っては手遅れな段階に達していた。
「地球の座標で……現在時刻に発生した亜空間ブラックホール……?」
先行で進路に到達したビーコンは、先刻まで良好なデータを送信し続けていた。
それでも気付けない異常が、艦長には常識として備わっていたが、本来は起こり得ない事だとされていた。まず、宇宙における異常事態は、気の遠くなるような時間をかけて、徐々に状態が変化していく為、接触したら偵察ビーコンで必ず気付けるという前提で、超光速移動を行っていた。
実はそこに落とし穴があり、超光速航行における宇宙船内の時間は、およそ一万倍に引き延ばされる。つまり、一秒が三時間。現実時間で一秒しかない状態で宇宙船を止める事は不可能に近く、超光速移動中は、通常の空間ではない亜空間と呼ばれる領域を飛行する。
その為、今回のケースみたいに短時間で、亜空間内にブラックホールが発生した場合、船は止める手段がないまま、その中心へ一直線に進み続ける事になる。
「まずい……」
――警告:レッドラインへ接触。戦術探査ビーコンをブラックホール内に射出。
――調査結果:ワームホールの存在を検知。
――データ解析中:
――最終結果:近似宇宙域の存在を確認
――生存予測プロセス:近似宇宙惑星『地球』の安全周回軌道へ突入
(近似宇宙?)
宇宙船には、コックピットのような場所があり、そこには何十人もの意思決定をする人間がいて、その意思決定を元に人工知能が間に入りながら、宇宙船が操縦される。
この警告メッセージは、その全員が聞いている。
警告にも種類があり、乗員のみならず宇宙船全てが危険にさらされる場合、人工知能と艦長の承認のみで、全てが実行される。
「行くしかないか」
手元には、人工知能が示した最適解の承認待ちホログラムが現れる。
艦長の思考は、脳内のマイクロマシンの補助を受け、通常の百倍のスピードで行われていた。
――プロセス承認を確認
――ブラックホール最終到達点への超光速移動:開始
ブラックホールによって通常よりも引き延ばされた亜空間内で、超光速移動を行うのは理論的には可能とされていた。
しかし、理論上は可能でも、ブラックホールの重力が加わった状態で速度が加速させられた場合、人類がまだ知らない、超々光速環境下で起きる未知の物理法則に遭遇する可能性があった。
「ぐっ……」
完全な『慣性制御』が実現された宇宙船で、仮に攻撃を受けても大破するまで衝撃を感じない船体が、重力の乱れと、物理法則の乱れによって、振動として宇宙船内を激しく揺らす。
ブラックホール中心の重力と、光速を超える推進力が合わさって、人類未踏の速度まで船は加速する。
――船員のコールドスリープを実行。
異常な速度によって、人間が生存可能な環境から、大きく外れてしまう。その為、船の機能により、船員の保護が行われる。
コールドスリープを実行し、生存可能な状態になるまで、全ての船員は冷凍される。
三つの世界が交差する世界に、新たな人類が訪れる。
この先の物語は、宿り木たる『世界』を破壊する、人類の『愚かさ』が繋ぐ物語。
過去に、未来に、現在に。
途中から意識しているのですが、基本的に「人類が最終的には惑星を壊す」という歴史を辿るような空想をしています。
あと、もしかしたら、気付いている人もいる可能性はありますが、海外Sfドラマ(名前は伏せますが)の大ファンで、それに影響を受けている部分も、作品内で登場しています。