用語集①
シルヴェスタ大陸:土地
雄大なる霊峰の活動によって生まれたとされている大陸。
三つの大国――王都ラルファダ、中央共和国ヴェントリオ、砂漠の国メルディゴ、そして貴族や王族が支配する八つの小国からなる。
その由来ゆえ、他の大陸と地続きではなく、東西南北を海に、南は熱帯の大砂漠に囲まれているため、炎と海の大地とも呼ばれるこの場所では、人間・耳長・獣人などの様々な亜人が流れ着き、独自の文化を成していた。
大陸全土にはシルヴェスタの民にとって欠かすことのできない霊力を繋ぐ管――霊脈が張り巡らされており、霊石の採掘量も豊富であるため、基本的に霊力不足に陥ったことはない。
魔大陸:土地
前王の時代に魔導に魅入られ、堕した者たちが作り出した大陸。
地図上で見ればシルヴェスタと隣接しているが、まるで道を塞ぐかのように海流の流れが激しいため、武装船や転移魔法陣などの手段でしか行くことができない。
大地にはドス黒く汚染された血管めいた霊脈が張り巡らされ、空には凄まじいまでの霊力によって紫色に輝く雲が浮いており、霊力に慣れていない普通の存在ではわずかに足を踏み入れるだけで卒倒しかねないほどの霊力が変換された魔力が渦巻いている。
情報筋によれば、その表面でさえも地底に眠る何かを封じるための蓋でしかないらしいが……
霊力:エネルギー
物体を流動する気の流れ。
これを己の意思で流動させることができる魔導という力の系譜を持つ耳長・獣人は操るのが上手く、それを持たない人間は慣れないと操るのが難しい。
しかし、それをハンデとしなかった人間は、霊力を物体に流し込む活用法を見い出し、以後数百年に渡って機械などの動力源として使われることになる。
傭兵:職業
貴族や国に雇われ、戦闘行為を行う者の総称。
――と、思われがちであるが、ひとえに傭兵と言っても、その活動は多岐に渡る。
貴族や王族が主な依頼先であるのは確かだが、遺跡や洞窟の発掘作業や、極めて重要な物資の輸送、身辺警護など、幅広い分野で活動している者も総称して、傭兵と呼ばれているのである。
傭兵免許:身分証
その傭兵の活動を保証しているのが、様々な試験を乗り越えて傭兵になった者に必ず手渡される、傭兵免許である。
これがなくば、傭兵という職業で行う仕事を受けることはできず、これを持たずに傭兵としての仕事を行い、それが発覚した場合、絶対に歯向かってはならないとされる無国家の武装集団――異端審問官の査察を受け、ほぼ間違いなく再起不能になるまで痛めつけられる。
異端審問官は世間のあらゆる所に隠れているため、どう足掻こうと見つかるのが落ちである。
傭兵としての仕事を重ねていくと、昇級試験を受けられるようになる。
級が上がればさらに高額の仕事も舞い込んできたり、企業・貴族・国などどこかしらの専属で仕事が受けられるようになったりするため、よっぽどの事情持ちではない大抵の者は昇級試験を受ける。
七つの級に分かれており、上位の物になればなるほど依頼内容と金額に容赦がなくなっていく。
帝王級(最上位。人の領域には存在しない)
天地無級(二番目。おおかた百年程度しか生きられない人の身の限界)
崩滅級(三番目。傭兵として成熟の領域)
鉄刃級(四番目。苛烈な傭兵の仕事に慣れてきた段階)
無級(五番目。これからがんばろう!)
大体の傭兵は、崩滅級の段階で貴族や国に雇われたりすることが多い。
前王の時代:時代
シフル(ジルフリート)が活躍する本編より、およそ千年前から五百年前までまだシルヴェスタという名すらない大陸で続いていた、霊力、それを変換した魔力という武器を手に入れたばかりの人間・亜人たちの戦争が行われていた時代。
数多の王が乱立し、また別の王に倒されるといった、大陸全土に覇を唱える王が雨後の筍のように常に生え続けた時代ということから、後の世では前王の時代と呼ばれることになる。
五百年間にも渡るその争いをついに制し、大陸平定を成し遂げたのが、後にラルファダ王国を築くことになる、嵐と雷の王・グンナファルとその仲間たちであった。