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我が輩はパグである

作者: コータ・ツー

パグ文学とは、パグを題材としたパグり文学。

パグとは、犬を素材とした得体の知れない生物。

そんな日常を古典的な純文学風に纏めました。



我輩はパグである。名前は秘密!

どこで生まれたかも、とんとわかんない。

どこか、ダンボールみたいな場所で

フガフガしていた記憶がある。

我輩はここで初めてオヤツというものを見た。


しかも後で聞くところによるとそれはヒマチーと呼ばれるオヤツの中でももっとも高級な食材であったそうだ。

このヒマチーというものは時々我々が捕まえて、離さないという話のものである。

しかしその時は何という考えもなかったから別段肥るとは思わなかった。


ただかじっている途中に、飼い主から取り上げられ、ウゥゥーした感じがあったばかりである。

股の間で少し落ち着いて飼い主の顔をみたのが、いわゆるオカワリというものを試み始めたであろう。

この時、少し体が重いと思った感じが今でも残っている。


シワをもって装飾されるべきはずの胴回りがタップタプしてまるでボンレスハムだ。

その後犬にもだいぶ逢ったが、こんなシワハムには1度も出会ったことがない。

のみならず、顔の真ん中があまりにもブサカワしている。


顔の真ん中の鼻穴から時々ブシュッブァビッシュと水を吹く。

どうも鼻は短いので実に困った。

これが短頭種という種類であることは最近知った。


非常に腹が減ってきた。

仕方がないので、何でも良いから食べ物のあるところに行こうと決心して、のそのそと台所の周辺をウロウロ回り始めた。

どうも食事の準備らしい。


踏まれそうなのを我慢して無理やり足元に入り込んでみた。台所とは不思議なもので、時折天から食べ物が降ってくることがあるからだ。

もし降ってこなくても、邪魔ッ!とか、しょうがないなーと言って何か渡される時もある。


もし、台所というものがなければ我輩はとうの昔に餓死していたかもしれん。

ただ玉ねぎはダメ!とよく言われたものだ。

この根野菜は食べると具合が悪くなる。気を付けろ。


さて台所に忍び込んだもののこれから先どうすればいいか分からない。

そのうち間違って踏まれるか、パグ握りされるか、飼い主がケージといっている鉄格子の中に入れられるか、分からない。


ウロウロしていても腹は減るので、もう一刻の猶予ができなくなった。

仕方ないので、クゥゥゥンンとか小さい声でワンとか言って見る。

今から考えると、この時既にいろんなオヤツを食べていた気もするが、そんなの関係ない。


ここで我輩は食べ物を見るべき機会に遭遇したのである。

第一にあったのが、カリカリである。

ツブツブの塊を皿に入れて出された。

「待て!」と言われていたが、無視して食べ始めようとしたところ、いきなり首筋を捕まれ、皿を取り上げられた。


「ダ~メ」と言われてヨダレが垂れたのを見られ、呆れられたようだが、「よしというまで我慢して!」と言われた。

しかし食べ物と暑さには、どうしても我慢ができない。

我輩は食べようとしては取り上げられ、食べようとしては取り上げられを、数回繰り返した。


我輩の飼い主は、滅多におあずけする事はない。

散歩から帰るとツイッターなるものに我輩の写真を送っているらしい。

家のものは「そんな暇あったら」と思っているようだが、飼い主は「ネタ考えるのが大変」と愚痴っている。

我輩は時々写真を撮らせないように伏せたり、寝たふりして邪魔をする。


散歩から帰ると、オヤツを要求し、何個かをもらうとなぜか眠くなる。

座っている飼い主の膝の上、股の間、寝そべっている脇などに顎をのせる。ヨダレを垂らす。

これが我輩の毎日繰り返される日課である。


我輩はパグながら1日の大半を寝るか、食べるかする。実に気楽なものだ。

こんなに寝ていても、寝れないことはない。

それでも飼い主に言わせると、食欲だけはキリが無いだそうで、オヤツよこせと吠える毎に、また肥えると不平を鳴らしている。


我輩がこの家に住み込んだ当初はシワがなくツルンとしていた。

どこへ行っても、「これなに?豚?」と呼ばれていた。如何に痩せていたか。

また今日に至っては、なぜかブルドックと間違われ続けている。


できる限りシワを多くして分かりやすい体型にすることを心掛けた。

朝方散歩から帰った時。おもちゃで遊んであげた時。何がなくても、オヤツである。

あながちオヤツの回数が多いと思われるだろうが、別にもらえれば良いのである。 


その後いろいろ経験の上、朝はダイニングテーブルの下、夜は誰かの布団の中、天気のよい昼は日当たりのいい窓際で、寝る事とした。

元来犬というものは、運動好きで落ち着かない性分のものであるが、我輩は至っては1日を食べると寝るかが主な仕事となる。


食べるも与えられたものだけでなく、飼い主が食べてるもの、落ちたもの、散歩から帰ったら、シッコしたら、が食する権利があるものである。

この規約を守らなければ、遠吠えに訴えてもよいくらいの話だ。

飼い主はこの規約が未だにわかってないと見え、我輩が吠えるまですましている。

いくら飼い主だって、そう長くは吠えられることに慣れてはいないだろうから、気永に吠え続けるのがよかろう。


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