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中間管理職のおっさん、一万八千年後の未来へ。  作者: youli
第六章:戦いのおはなし
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■25-2 敵とはいったい

 翌日、フィグとの会談をした。

 評議会は俺の考えを全面的に支持。


 人類とメルクリオンの友好条約を結ぶ流れとなった。

 地球には実質的な統治者がいないため、俺が代わりに調印することとなった。

 いいのかなあ勝手に決めて、と少し考えた。俺はただ月に一番乗りしただけだぞ

 第一陛下はいかがするんだろうか。敬語がおかしい。何て言えばいいんだ。

 象徴だからダメか?今もそうなんだろうか。

 でもまあ悪いことじゃないし、気にしないことにしよう。最初にテーブルについた者が全てを決めるのだ。


 フィグが新しい槍で飛んできて、ゲートを持って行った。セレスと火星と水星に設置してくれるそうだ。

 彼なら適切な場所に配置してくれるだろう。

 お土産に太陽の魔石を何粒かプレゼントしたら喜んでいる。


 月の兵装施設も見学しに行った。

 たくさんのロボットアームが、人型ロボットや戦闘機を組み立てていた。

 まだ艤装がすんでいないが、見るからにでかくて、そしてかっこいい。


 宇宙空間で人型はナンセンスと言うかもしれないが、操縦するのはあくまでアキバの人たちだ。

 ゲームと同じように操縦できないと調子が狂うので人型にしているだけだ。

 彼らが操縦できないものを用意するつもりはないし、これから操縦のために新しいゲームを作るなんてそれこそ本末転倒だ。

 しかしゲームの中にしか出てこない機体が本当に作られていくのを見ると、感慨深いものがあるな。


 電源系統も木星から火星・月を経由して得られるエネルギーを同期する仕様だ。要はリモートバッテリーだな。俺が提出したロボットの設計図の動力炉スペースが丸々空いた。

 EPR通信が途切れたときのために、人工知能の搭載も忘れていない。

 とは言え、やはり人間の、いやゲーマーのカンに勝る戦闘コンピューターは無いだろうな。


 俺がアキバでプレイして以来、ゲーマーの成長が著しいと聞いている。

 寝食を忘れてプレイする人も現れており、今ではもう俺のハイスコアも多くのゲームでどんどん塗り替えられているそうだ。

 もう、俺じゃ勝てないだろうな。


 水星側に渡した武装についてもきちんとゲームを再現できている。

 ビームの剣やライフル、空中を飛びまわるファン……子機もバッチリだ。

 全体的に黒と紫のカラーリングになっているのはもうしょうがないだろう。

 白が良いと言うみんなには諦めてもらう。



 数週間はあっという間に過ぎていく。

 まだまだやれることがいっぱいあると思うが、敵は待ってくれない。

 まぁ、まだ敵と決まったわけじゃないんだが。


 1ヵ月半の時が過ぎた。

 謎の敵はついに木星圏まで到達した。

 やはり侵略者だったようで、木星のバリアに攻撃をしてきたようだ。

 もちろん影響は全く無いが、月の機能が停止しないかとても心配だった。


 同日、アキバの地球防衛ゲーム大会が始まった。

 開会式の光景を映像で見たが、ミクのテンションが高くなりすぎてちょっと気持ち悪かったな。


 俺はフィグと一緒に月で観戦している。

 戦争が始まったと言う実感はまるで無い。まるで映画を見ているような気分だった。

 小惑星帯が主戦場だ。セレスに配備していた沢山のロボが一斉に出撃する光景は壮観の一言に尽きる。


 敵の構成もこちらと大体同じようなもので、人型ロボットのようなものや、戦闘機が数多く展開されていた。

 中には戦艦らしいものもあり、敵の戦艦が撃破されるたびに、地球側では大きな盛り上がりを見せていた。


 まぁ祭りみたいなもんだしな。命がかかってなければこんなもんだ。


「ティコ、どう見る?」

「そうね、構成としてはおそらく先遣隊だと思うけれど、問題なく戦えてると思うわ」

「同意見だ。つまり、本隊がいるってことだよな。彼らが来る前に先遣隊を全滅させる位のことをしておかないと、とてもじゃないけど戦えない」

「そうよね……ヒデキさん、体調は大丈夫?ずっと寝てないんでしょう?」

「あぁ、まぁ大丈夫だ。でも、こう忙しいとタバコが吸いたくなるよ」

「ここは禁煙ですからね」

「言って見ただけだ。生まれ変わってからは吸ってない」




 戦いは1ヶ月続いた。

 アキバの皆も疲れているはずなのによくやる。途中でこっちの機体が無力化されて動かなくなり、敵に拿捕されて連れていかれたこともあるが、特に捕虜の交換といったようなこともしていないようだった。

 ミクと通信をとって、アキバの実際に戦っている状況を中継してもらった。


 俺の目に飛び込んできた光景は、ベッドに横たわるたくさんの人々と、神経接続された機械。

 人々はぶつぶつ何かを呟いている。


『重ナミアトラアンチ、範サブD8出撃今』

『りょ、軽シトテグスリンリンテトラ、J8合流』

『フォメアロー2-14-5方面』

『りょ』


『3-8-6接敵、G9頼む』

『りょ、VTTF-5秒、4、3、2、1、今』

『あり、クリア、3-8-8行く』

『りょ』


「ミク、こいつらなんて言ってるんだ?」

「私だってわからないですよ!いつの間にか独自言語が発達していたみたいで……」

「ま、まぁ大丈夫そうなら何よりだ。そのまま頑張ってくれと伝えてもらえるか?」

「なんだかそんな空気じゃないですよう、みんな鬼気迫る表情というか、狂気を感じますう」

「ミクが弱気になるなんて珍しいな」

「こっちに来たらそんなこと言えなくなりますよ……」


 社会の闇というか、俺は本当にこういう事をしたかったのかと言う自責の念に駆られる。

 戦争の後、彼らはちゃんと社会復帰できるのだろうか。

 ……未来のゲームと言うのはこういうものなのだろうと自分の中で勝手に結論を出して、これ以上考えないようにした。



 さて、戦いを全部あいつらに任せているだけじゃ指揮官としてはダメだよな。

 相手の回線に割り込みをかけて低周波信号をキャッチしてみた。

 が、何言ってるかわからん。

 言語形態は全く違うようだ。


「俺もちょっと出るわ。ティコ、ここから遠隔操縦できるか?」

「出来るわよ、人型ロボットで良いかしら?」

「たのむ」


 椅子に座って、腕に付いたICソケットに端子を繋げる。

 俺はセレスから出撃する人型ロボットに意識を移した。汎用機だから目立たなくて良い。

 現場での情報収集もやらないとな。

 狙いは戦場から少し離れた場所、きっと何かの情報があるはずだ。


 探し回って3時間。撃墜された戦艦の残骸を発見した。結構大きめだ。

 何か情報は残っていないか……。


 船名を見る。日本語……だな。

 第五微乳派-高身長説丸。



 ?!?!


 こいつら日本人か、いや。







 ホモ・サピエンスか。

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