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中間管理職のおっさん、一万八千年後の未来へ。  作者: youli
第二章:転生から沖縄まで
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■7-1:アキバシティ

 朝起きて、宿をチェックアウト。

 どうやら住民カードは共通で使えるので、インゴットを半分だけ換金してカードにチャージする。

 昨日は疲れ果てて町を見る余裕も無かったもんな。

 アサクシティよりもだいぶ栄えている町だ。見ているだけでワクワクする。

 通りに出て町長を呼んでみたところ、小さな幼女が飛んできた。

 何を言ってるんだと思うかもしれないが、大丈夫。俺にも分からん。


「ここには町長はいないよー!代わりに私達がお話聞きます!」


 若干の媚を浮かべながら結構饒舌に喋る幼女。

 混乱しながらも話を聞くと、アキバシティは一人の町長ではなく、1023体の妖精と1体の妖精長で運営しており、こっちは分裂……もとい同時に存在するわけではなく、あっちこっちに別々の固体が現れるのだ。

 妖精というか、一種のアンドロイドのようなものなのだとか。

 まぁ面倒だから妖精と呼ぼう。

 アンドロイドって口に出したら睨まれてしまったからな。


 名前を聞くとミクと名乗った。ロットナンバー39番だから。

 安直だが、数字を覚えやすい名前はとても重要なのだとか。

 何でだろうか。理由を聞いてみる。

 妖精は一人ひとりに個性があり、住民にとってお気に入りの個体も居たりする。

 4年に1度の祭りの時期になると、妖精長を含めた1024体の妖精に対して総選挙が行われ、見事人気投票で1位を獲得した妖精が、次の期間の妖精長になるのだとか。

 選挙の時はマークシートで妖精の番号を書くので、数字に結びつけた名前を呼称する事で投票率をあげるらしい。

 確かに45番でナツミとか言われても45番の数字は出てこないな。723番だ。

 ミクだから39番。確かにすぐ出てくる。

 よく考えたもんだ。

 語呂合わせ出来ない妖精はどうしているのか気になるが、話が長くなりそうなので聞くのをやめた。


 と言うか聞いていて頭が痛くなってきた。

 誰だよアサクシティの町長をクレイジーって言った奴は。こっちのほうがクレイジーだ。

 21世紀に48人だったのに201世紀には1024人だ。だから日本人は頭おかしいって言われるんだよ。反省しろ。

 この妖精も透けるのかと思ったら、何と触る事が出来た。


「お触りはダメですっ!」


 そして怒られた。

 それもそうだな。イエスロリータ、ノータッチだ。

 しかしおさわりて、そういう店もあるんだろうか。いつか新宿に行ってみたいものだ。

 こっちだと、シンジュシティと言うんだとか。


 せっかく来たんだ。東京に行く前に観光をしようという話になったので、まずは食事に。

 他の誰が何と言おうと、太郎次郎三郎系のラーメンが人気を博そうと、ちょっとオシャレなレストランが顔を利かせ始めようと、俺が秋葉原に行くときは必ずここに行く。

 そう、ソビエト軍隊格闘術の名前を持つ牛丼屋だ。システマじゃないぞ。

 今もまだあるんだろうか。


 ……無かった。と言うか見つけられなかった。

 ミクに聞いても知らないと言う。

 どうも俺の知ってる秋葉原から大きく町のつくりが変わったようで、広場から十字に延びる道路があり、それぞれの道路の両側が1階建てか2階建ての店で埋め尽くされている。

 食糧からバイオチップ、各種モジュールから特殊建材まで、本当にいろいろ売ってる。

 広場だってバスケットコートなどではない。本当にただの広場だ。

 噴水だってある。


 町の人に聞いても知らないという返事しかなかったので、本当に無くなったんだろう。

 さすがにどんな老舗も2万年近い時の流れには勝てないよな。

 最悪自炊か。タチアナが持ち歩いているカバンにはいくつかの調味料と乾燥ザザムシの佃煮が入っている。

 それは最後の手段にしよう。


「ヒデキ、いいにおいがする」


 確かにおいしそうな香りがする。

 鼻をひくつかせながら匂いの元を辿ると、ジュウジュウ音を立てている屋台にたどり着いた。

 何か串に刺されて焼いてる。

 かば焼きかな?何度か醤油らしい茶色い液体を塗りながらさらに焼いている。

 そのたびに香ばしい香りがあたりを包み、俺の腹も抗議の声を上げる。


「美味そうじゃないか、二つくれないか」

「あいよー1本90円なー」

「カードで良いか?」


 まぁ屋台の焼き鳥よりは高いが、大きさは倍以上違うのでお得と言えばお得かな。


「はいよー2本なー」


 そのまま手渡しか。

 タチアナと食べよう。


 旨味が強いな。醤油がしみ込んでるし、焦がし醤油と強火であぶった表面がパリパリして楽しい食感になっている。

 癖になりそうだ。

 いい気になって店主に聞く。


「うまいなこれ。何の肉だ」

「これ、カミキリムシだよ。幼虫さ。」


 オーウ。

 油断してた。

 そういう世界だったわ。

 最近タンパク質は大豆と培養肉しか食べてなかったから油断した。


 不思議と吐き気はしなかった。恐らく調理前の姿を知らないからだろう。

 食事の見た目って重要なんだなぁ、と実感。

 おなかは、いっぱいになった。


 歴史博物館に来た。

 この手の博物館はやたらデカい。

 昔からある建物は大きくて、最近の建物は小さいから、恐らく遺跡の一部だろう。

 屋上に立つボウリングのピンのようなオブジェは見覚えあるな。

 中に入ると高さ20mほどはある大きな筐体が通路の端々に鎮座している。うんうん、当時のゲームは神格化されて石像のように大きなものが残されたんだな。アメリカでも大統領のデカい顔が崖に彫られているから理解できる。

 懐かしいゲームの姿にうっとり。

 7鍵盤だけじゃなくて5鍵盤も残っている!

 9個のボタンのゲームもあるし、ドラム型洗濯機と揶揄されたゲームもある。

 市場に出て一瞬で消えた、赤青黄色の6つのパネルで足を使うゲームや、マラカスやタンバリンを使った体感ゲームもある!

 ここだけ20世紀だ!

 博物館ともなれば、何でもそろっているもんだな。

 しかし、どれもこれもサイズが大きい。

 どうせならプレイしたいではないか。

 そしてあれは……おおっ!4つのパネルを踏む音ゲー!

 しかも初代の黒筐体!大型液晶の新型も良いけど、ノスタルジー溢れる初代を残すとは、この博物館は分かっている。隣には兄弟機の6つのパネルのタイプもある!

 よく作りこまれているなぁ。

 そうそう、このシールなんて本物そっくり……と言うか、コレ本物?


「あ……」




 汗が引いた。

 気づいた。

 気づいてしまったのだ。

 いやな予感はしていた。浅草から秋葉原までは約3km。人間なら1時間も歩けば着くはずだ。そこまで丸一日掛かった事。

 記録媒体は生前の時代でもせいぜい2,3cmの大きさだったが、卒業式の賞状を入れる筒くらいあった事。

 俺の身長は171ミリ。遠い未来ではお金の単位がクレジットになっていたりってSF小説では良くある話だから、単位の改定があったと勝手に思っていたが、今も使えるお金は円だし、もし単位がそのままだとすると。

 そしてこのハリボテだと思っていたゲーム機が本物だとすると……・


 人類、小さくなっちゃった。

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