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妄想のサモナー(召喚士)◆闇の女神に気に入られて◆  作者: 小林寺
まずは召喚士を目指そう
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昇級試験

軽く飯テロ

 半日ほどかけて狩りを続け、逆にモンスターが逃げ出すんじゃないか?と思えるほどの数をアデナとアイテムに変えた頃、本日何度目かのレベルアップの祝福の光が体を包む。

 


●ワイルド・セヴン(16歳)

 [種 族]:ダークエルフ  [クラス]:メイジ

 [レベル]:20(up)      

 [スキル]:ダークボール(闇)ウィンドウォーク(風)ポイズンミスト(闇)ウィンドカッター(風)ダークボルテックス(闇)ロアー(闇)ダークプリズン(闇)

 [称 号]:冒険者ランク1、見られる者、異常快楽者、女神の玩具、幸運



 レベルが20になった所で一息つけ、腰を地面に下ろす。冒険者はレベル20になる事で冒険者ランクを上げる昇格試験を受ける事が出来る。そうしてその試験をクリアし、冒険者ランクを2に上げる事で、初めて駆け出しと言われる事が無くなる。ランクは最高10まであるのだが、現在アズガルドには存在しておらず、その下の9でさえ、生ける伝説と呼ばれる冒険者1名だけである。


 冒険者ランクが2になる事で、駆け出しでは入る事が出来なかったダンジョンや、魔物が徘徊する古代の塔などが入場可能となり、狩りと冒険の幅が広がるのである。

 そんな節目とも言えるレベルに到達した事で、セヴンは街へと帰る事にした。






 通い慣れた冒険者ギルドへと足を運び、昇級試験を受けに行く。

 初めて来た時はあれほど緊張した場所なはずなのに、今ではドコに何があるかまでは解るようになっている。そのまま中を一直線に進み冒険者ギルドの受付カウンターに辿り着く。


「おかえりなさいセヴン君、今日は早いのね。新しい装備も似合ってるじゃない」


「ただいまナッツさん、レベルが20になったから昇級試験を受けに来たよ」


「え?昨日17に上がったばかりじゃない?どんな狩りをしてるのよ…」


「囲んではボフンッ!囲んではボフンッ!っと…」


「相変わらずたまに言ってる意味が解らないんだけど…また無茶をしたのね」


 危機管理能力の低い少年に、また無茶な事をしたのだろうと溜息をつくボンキュッボンなお姉さん。冒険者登録の時から今まで顔を合わせているので、色々とアレやコレな事を知っているのである。石版に手を乗せて表示されたステータスを見て事実を確認する。


「なんか見た事ない称号とレベルに相応しくない強力な魔法が増えてるんだけど……ゴホンッ、とにかくレベルは規定の20を超えているし、昇級試験を受ける資格はしっかりあるわね。それじゃあ手続き諸々が少しあるから、エントランスホールでお昼でも取りながら待ってて、用意できたら声かけるわね」


「そう言えば昼まだだったな、了解ですっ!あ、あとコレもお願いします!」


 相変わらず規格外の事にも得に言及せずドロップアイテムを引き取り、華麗なスルースキルを発動するあたり、すでにベテラン職員の域まで達している。だからこそセヴンにとってはどこか安心し、本当の姉の様に感じるのかもしれない。双丘を弾ませながら奥へと消えて行く姿を確認し、エントランスホールへと移動する。


 ギルドのエントランスホールは食堂兼酒場になっており、常に数人の冒険者がたむろしている。こんな所でさぼってないで外で狩りでもしろと言いたい所ではあるが、彼ら曰く情報交換も歴とした冒険者の義務だそうだ。事実でもあるのだが、あえてそれを言う者は半日以上酒を飲んでる様な者ばかりでもあるが。

 それは置いておき、引退した冒険者の料理長が作る食事は中々美味しく、しかも冒険者に対して割引もあるので懐にも優しい。

 適当な空いているテーブルを見つけ、腰を下ろし、食事を頼む。


「すみません!味噌ラーメン、モヤシとメンマ多め、チャーシュートッピングで、あと半チャーハンに餃子お願いします!」


「あいよっ!」


 厨房から気持ちの良い返事が返ってくる。

 気になる方がいるとは思うが、このアズガルドでは某異世界とほぼ変わらない料理が食べられている。某異世界で採れる食材や調味料、香辛料は、この世界でも十分な数が使われているのである。技術的にまだまだ不可能な事はあるが、某異世界で採れる物がファンタジー世界では採れない道理は無いのである。


 ほどなくして給仕のお姉さんが料理を運んで来てくれる。もちろんこの娘もボンキュッボンだ。

 丼ぶりの中には鼻腔をくすぐる香りの味噌スープにテラテラと油が光るチャーシューが美しい花弁の様に盛り付けられており、その上には大量のメンマとモヤシが乗せられている。脇を固める半チャーハンからもネギと玉ねぎの香ばしい香りにフワフワの卵が絶妙に絡み合っている。ギョーザ見た目がプルプルとした皮にニラたっぷりの餡がうっすらと見え、しっかり焦げ目も付いている。

 ダメだ、少し外に行って来ます。






 1時間ほど待っただろうか、食事を終え結構待たされるなと感じつつ、他の冒険者達の会話に耳を澄ましていると…


「おい、あの坊やの装備なんだ?初めてみるぞ?」


「あれはこの辺りでは滅多に見ないけど、ヒューマン領とかに売っているのか?」


「アイツか、この間[ブラックウィロー]を単独撃破したのは」


「数時間前森で見かけたけど、見た事も無い魔法でゴブ達の掃除してたわよ」


 そんな噂話が聞こえて来て、赤面しながら鼻をスピスピさせていると、奥からナッツさんが2名の男女を引き連れて現れた。男性は昨日会った20歳くらいのお兄さん。女性はこの街では珍しい金髪のロングヘアーをなびかせたエルフである。


「ゴメンゴメン、長く待たせちゃったね。コレ先に渡しておくね」


 そう言って討伐報酬と木札を渡してくれる。


「それから紹介したい人が居るんだけど、いいかな?」


「おうっ!昨日会ったな坊や!俺はシーバス・リーガル、冒険者だ。ランクは2で坊やの先輩みたいなもんだ」


 そう言う性格なのか、またも話しに割り込んで来て先に自己紹介してくる。ダークエルフ特有の端整な顔をしているが、中身は気の良い近所の兄ちゃんって所か。

 そのリーガルと名乗った兄ちゃんの後ろから、少しモジモジとしながらナッツの影からこちらを見ているエルフ。


「そしてこの娘がエルフ族のバニアちゃん。17歳でセヴン君よりお姉さんよ。ほら、バニアちゃんご挨拶して」


 モジモジモジと俯きながらしぶしぶナッツの影から出て挨拶をする。


「アクエリアス・バニアでしゅっ、あっ、でしゅ!デス……」


 派手に噛んで顔を真っ赤にしてナッツの後ろに逃げ込むバニア。

 背はセヴンより少し低い程度で、やはりエルフ族とあって容姿端麗である。

 ダークエルフと違いエルフ族の女性は相対的に胸がまな板…止めろ!首を絞めるな!ゲフンゲフンッだが、大きいのに慣れすぎてるセヴンにとっては、自己主張しすぎないくらいの胸は、別に嫌いではないし、別に無い訳でも無し、お椀が二つ乗ってる程度にはある。


「俺はワイルド・セヴン、ヴは下唇噛んで発音してね!」


 冒険者ギルドのエントランスホールに何か寒い風が吹き込んだ…。



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