表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妄想のサモナー(召喚士)◆闇の女神に気に入られて◆  作者: 小林寺
まずは召喚士を目指そう
3/31

激闘!?

「ほんぎゃぁぁぁぁぁっ!!赤い赤い赤い赤い赤い赤いっ!!」


 突然襲われた赤ネームに混乱しながら、大急ぎで逃げるセヴン。

 その光景を見ていた冒険者のペアパーティは可哀想な者を見る様にこちらを見ている。


「あぁぁ…手を出しちゃったかぁ」


「アレは私達でも無理よ…南無」


 [ブラックウィロー]待機型ノンアクティブモンスター、[死霊の沼]に生息するモンスターの中で、なぜココに?と言われるくらい飛び抜けたレベルのモンスターである。しかし、待機型ノンアクティブであるが為に、手を出す者は皆無であるが、たまに事故とも言うべき事が起こり、少なくない冒険者達が、一撃で粉砕され神殿送りにされているモンスターである。


「ふぅぅ~なんとか逃げ切れたかぁ」


 凶悪なモンスターから這う這うの体で逃げ出したセヴンは、自身が未だ回復していない事を思い出し、再度その場に座り込んだ。


「アレは無理だろうなぁ…真っ赤っかやったやん。一先ず体力と魔力を回復させて、もう少し弱いモンスターの所で地味に狩りをするかなぁ」


 自分の無謀さを痛感しながら、少し戻った所で狩りを続けようと考える。

 しかし体力も魔力も今は無い。まずは休憩からだ。


 パキパキパキ…


 バキバキバキ…


 バキバキバキバキバキバキバキバキッ!!


 突如後方から轟く木々を粉砕する音。

 そう、ヤツである。

 少し逃げた所で、倒さない限りどこまでも追いかけて来る。本当に触らぬ神に祟り無しである。


「いやぁぁぁぁぁっ!お・い・か・け・てキターーーーーーッ!!」


 すぐさま立ち上がり、また逃げ出そうとするセヴン。しかし、ふとある事に気が付く。


(こ、こいつ…遅い?)


 一撃もらっただけで簡単に転がされるほどの実力を持ったモンスター。しかしながら樹である為。根子を動かしながら移動する速度は、亀の動きのそれよりも少し早い程度である。

 走って逃げるのを止め、ゆっくりと後ろに下がるが、追いつかれる心配は無い様だ。


「もしかして、コレ引き狩りできるんじゃないか?」


 そんな無謀な事を考えるが、普通であるならば逃げるが勝ちのはず。

 しかし冒険者としての生活を楽しみ始めていたセヴンにとっては、無謀な事もある意味美味しいネタでしかない。


「そもそもコツコツと弱い相手に経験を稼いだ所で、全然レベルも上がらないしな。こんな化け物を一人で倒したってのは…おもしろいやんっ!?」


 そう脳内お花畑なセヴンにとっては解釈された様で、すぐさま回復した魔力を杖に込めだす。


【ダークボール】【ダークボール】【ダークボール】【ダークボール】


「それそれガンガンいくぞぉっ!」


【ダークボール】【ダークボール】【ダークボール】【ダークボール】


【ウィンドウォーク】


 最後に、この間覚えた補助魔法エンチャントの足が速くなる魔法を自らにかける。


「後は離れて休憩だっ!」


 すぐさまその場を離れて、ブラックウィローが見える範囲で、また座り込む。

 そして魔力が回復したら、また攻撃魔法をぶち込む。


「はっはっは、持久戦上等!鬼さんこちら!」


 何度も何度も同じ作業を繰り返していく。途中他の冒険者達が、そのあまりにも不可思議な行動を見て、目を見開いて驚いている。しかしソレはセヴンにとってある種ご褒美でしかない。

 この1か月、ずっと一人で狩りを続けて居たセヴンは、流石に人恋しくなって来ており、その感情が他人の注目を浴びる事によって、快楽に変わると言う、おかしな方向に変わって来ていたのだ。


(くっふぅ~俺目立ってる!すっごい見られてる!!今、俺は輝いてる!輝いてるよぉっ!)


 そんな異常快楽に身を委ねながら、休憩の為座り込んでいた場所から立ち上がり、作業を続ける。






 作業開始から約半日。いつの間にか周りにはギャラリーが増えて来ており、離れた所からセヴンの、狩りと言うより作業になったソレを、10数名の冒険者達が観戦している。

 当の本人はギャラリーの視線に快感を覚えながらも、流石に休憩しているとは言え、同じ作業の繰り返しであり、疲労は色濃く顔に出ている。

 気を抜いて一撃でももらえば、100%地面に転がってしまうので、気も抜けない。正直本人もいつまで続くのか、このまま倒せないのではないか?など考えてる。

 しかし、遂に終わりの時は突然やって来る。


【ダークボール】【ダークボール】【ダークボール】


「ダークッ……ふぉぉぉぉぉおおおおおおおおぉぉぉ!?」


 呪文を唱えようとしていた時、目の前の[ブラックウィロー]は動きを止めた。


 バキバキバキバキバキバキッ…


 ズズズゥンッ…


 激しい音を立てながらその場に倒れこむ巨木。遂に倒す事が出来た様だ。

 思えば長時間連れ添った相方とも言えるモンスターは、物言わずその場に光り輝く大きな枝と大きな麻袋を残し消えていった。


「おつかれさん」


 そう言いながらドロップアイテムを回収し、少しモヤモヤする物が胸にあるのを不思議と考えながら、沈黙を続けていたのだが、その後からこみ上げて来る達成感。


ったぞぉぉぉぉおおっ!!」


 大きくドロップアイテムの光る枝を空に掲げ、勝利の雄たけびを上げ、周りで観ていたギャラリーから割れんばかりの拍手が巻き起こる。そんなセヴンに空から光が差して来て、天からも祝福をされ、力が体の奥底から湧いて来る感じである。

 アズガルドでは冒険者がレベルを上げた際、祝福の光に包まれるのである。

 何か絵画を見ているかの様なその姿を見て、うっすら涙を浮かべている冒険者達もいた。



●ワイルド・セヴン(16歳)

 [種 族]:ダークエルフ  [クラス]:メイジ

 [レベル]:17(5up)      

 [スキル]:ダークボール(闇)ウィンドウォーク(風)

 [称 号]:冒険者ランク1、見られる者(new)、異常快楽者(new)


【称号:[見られる者] 称号:[異常快楽者]を手に入れた】



 なんか変な称号ついちゃった…。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ