転職クエスト
登場キャラクターの名前の変更をしました。
8/21名前の修正忘れを修正しました。ご指摘ありがとうございます!
早朝何時もの待ち合わせ場所へと急ぎ、前日と同じく早めに到着したセヴンは、女神像への挨拶を済ませた後神殿の中へと進み、新規スキルを授かる為に礼拝堂にてお祈りを開始した。
《どぉ~も~ヘラちゃんだよぉ》
(おはようございます!って女神様の世界でも朝になるのかな?)
《こっちは朝昼晩の感覚は無いけどぉ、どこかの業界みたいにぃ、適当にとりあえずおはよございますで良いんじゃないのかなぁ~?》
(はぁ…そんなもんなんすかね)
《それより凄いじゃないのぉ、レベルの上がり方半端じゃないわよぉ?あの子をあんな狩り方する子初めてみたわぁ。やっぱ良いわねぇセヴン君!》
(あざっすっ!今日は転職クエスト終わらせてみるっす!)
《あははははっ、その意気よぉ!もっともっと楽しませて頂戴!それじゃぁ今日もご褒美あげなきゃねぇ》
●スキルリスト
・ダークボール(闇)
・ウィンドウォーク(風)
・ポイズンミスト(闇)
・ウィンドカッター(風)
・ダークボルテックス(闇)
・ロアー(闇)
・ダークプリズン(闇)
・カームヒール(風)
・シャドーバインド(闇)
・チックタック(闇)
・?????(new)
・?????(new)
・?????(new)
【称号:[?????]を手に入れた】
(あれ?ヘラ様なんか表示されていないんですけども?)
《ウフフフフッ、今回も色々とご褒美をあげたんだけどねぇ、今はまだ使っちゃだぁ~め~。ちゃんとサモナーになる事ができたら、使わせてあ・げ・る》
(何か凄い事がおこりそうっすね…)
《私も色々と決めたからねぇ、調整も済んだ事だしぃ、あとはセヴン君の頑張り次第よぉ》
(分かりました!それじゃあ頑張って来ます!)
不穏な言葉を告げ、不穏なスキルを授けられたセヴンは、今まで色々と恩恵を受けている為、そこまで酷い事は起こらないであろうと深くは考える事を止め、神殿入口にて待つバニアの元へと足早に向かった。
「おはようございますセヴン君」
「おはようバニー、それじゃあ早速南東にある庵へ向かってみようか」
新たな装備を身に着けた2人の冒険者は新たな高みへと向かう為、クエストへと出発するのであった。
ここはダークエルフの国アビスの街から南東へと進んだ森の中にある道。道と言っても長い間誰も通る事が無かった様で、既に獣道となんら変わりが無く、わずかに人が通る事が出来るくらいの険しく木木の茂った場所を進んで行く。
「なんかすごい辺境な場所だなぁ、バニー大丈夫か?」
「はい、種族特性と言う物なのでしょうけど、木々が私に触れない様に少し寄ってくれている感じがします」
「おおぉ、凄いな。流石は森に愛された種族とも言われるだけはあるなぁ。しかしこんな所に住んでるなんてサモナーはやっぱボッチが多いんだなぁ」
道なき道を進んで行くと、森が開けて小さな広場にぽつんと庵が建っていた。どうやら目的の場所に辿り着いた様だ。全て自分で建てた物なのかどこかいびつな所もありつつ、趣きも感じられる木造の庵の入口の戸には、木槌と木の板が引っかけられており、木槌を手に取りその板をコンコンと叩くと良い音が辺りに響いた。
「ん?誰じゃこんな所に。迷子にでもなったのかの?」
しばらくしてゆっくりと戸が開き、中から高齢のダークエルフが出て来た。こんな所で一人で暮らしているにしては少々危険な年齢と外見。寿命の長い耳長族であったとしても、そろそろお迎えが来そうなほどの姿であった。
「あ、すみません転職クエストの為、冒険者ギルドから紹介されてやって参りました」
そう伝え、持って来た羊皮紙の巻物を手渡す。
「おうそうかそうか、随分久しぶりの事じゃの。まあ、とりあえず狭い所じゃが中へ入りなさい」
中へと案内され、入ってみると、思っていたほど狭くもなく、一人で暮らすには若干広いくらいの広さで、中も綺麗に整頓清掃されていた。そしてそこには、老人のダークエルフ以外にも一人の女性の影があった。
女性は肌が黒く一見ダークエルフに見えるのだが、耳は長くなく目の周りは白い化粧をしており、向日葵を模ったカチューシャをしており、見た事の無い様なアニマル柄で際どい装いをしている。そして客人が来た事を知った女性は口を開く。
「あ~ゾマッチお客さん?マジ久しぶりじゃね~?」
「おぉサドルちゃん、久々の転職クエストを受けに来たお客さんじゃよ」
「え~マジ~?超レアなんですけど~、サモナー目指すなんてマジウケる~」
なぜかケラケラと指を指しながら笑われるセヴン達。そして当たり前の疑問を老人に投げかける。
「あの~すみません、こちらの方はどなたでしょうか?」
「ああ、この娘はワシの使い魔のサドルちゃんじゃ、どうじゃ?マジかわいいじゃろ?」
((えぇえぇ~~))
老人の返答に声を出さず驚愕するセヴン達。
「そしてワシはこの羊皮紙の巻物の一番最初に名前が書かれておるゾマッチ、あ、ゴホンゴホンッ…ゾマじゃ」
「あ………………セヴンです」
「バニアと申します」
「してクエストの事は多少聞いておるとは思うのじゃが、ワシ等引退したサモナーを訪ねて、その各個人個人の召喚せし存在を己の目で見て周る事で、自分の召喚する者を心の中に構築して行くと言う物じゃな。全員の所を周った後、召喚の儀を執り行い架空の存在を現出させる事が出来たのならば、クエスト達成、お主も晴れてサモナーとなれるのじゃ」
「はい、話しは冒険者ギルドから聞いております。そしてそちらのサドルさんがゾマさんの呼び出した存在と言う事でしょうか?」
「ってゆ~か~?サドルはゾマッチの何なわけ~?言ったよねゾマッチ、サドルは俺の嫁!って~」
自分の事を使い魔だと言われた事に腹を立てたのか何なのか解らないが、何やら鞭の様な物を奥から持ち出して来るサドル。
「いやいやいや、サドルちゃん、今は接客中なんじゃよ?それにじゃ、サドルちゃんはワシの嫁みたいな物じゃが、今はクエストの関係でそのあたりはっきりとしとかんとじゃな?」
「嫁みたいな物!?ちょっとマジムカつく~、アンタ達ちょい外でといてよ!」
いきなり庵から外へと追い出されるセヴン達は意味が全く分からず、お互いの顔を見合わせて釈然としない表情を浮かべる。そこへ中から悲鳴の様な声と何かが激しく打たれる音が聞こえて来る。
スパーーーーーンッ!スパーーーーーンッ!
「ぐおぉぉぉおおおおぉっ!あああぁぁぁぁぁぁっ!あひぃぃぃいいいっ!」
「誰が物だって~?」
バシーーーーーンッ!バシーーーーーンッ!
「あああああぁぁぁあっ!ゴメンよサドルちゃぁん!ぐおぉぉおおおおっ!」
パシパシパシーーーーーンッ!スパパパーーーーーンッ!
しばらくその声と激しい音が聞こえた後、静になったと思った時庵の扉が開かれ、中からホカホカと湯気を帯びたゾマが恍惚の表情を浮かべながら出て来た。
「ハァハァハァ…すまんかったの、コレを持って早く次の所へ行くんじゃ。次はここから更に東に向かった所にある洞窟に住んでおるターリロの所へ向かうんじゃ」
羊皮紙の巻物のゾマの名前には上から線が引かれており、その下には指印が押されていた。それを確認し、一言ゾマに放つ。
「元気だな爺さん!あんまり弾けすぎてポックリいくなよっ!!」
「お幸せに」
2人はさっきまでの出来事が無かったかの様に足早にその場を離れるのであった。
ちょっとやりすぎたかな?でもノリノリで書いてます。
ご意見ご感想お待ちしております!