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妄想のサモナー(召喚士)◆闇の女神に気に入られて◆  作者: 小林寺
まずは召喚士を目指そう
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昇級試験(4)

「まずいっ!コレは試験外だっ!!2人共俺の後ろに下がれっ!」


 流石の子守役と言った所か、瞬時に判断し愛用のダガーをそれぞれ両手に持ち、戦闘態勢に入り2人の前に飛び出し指示を出すリーガル。


「こいつぁ初めて見るモンスターだ、俺の目から見ても表示は真っ赤な所を見ると、この場所には相応しくない相当レベルの高いやつだぜ!」


 リーガルはレベル28まで上げており、もう少しで冒険者ランクも3に手が届くような冒険者なのだが、彼の目からも眼前のモンスターが危険な存在である事が解る。そもそもこの試練の洞窟には初心者向けの洞窟として、ボスモンスターなど存在しない事が、かなり以前から確認されているのではあるが…。


「前衛は俺が任される!2人は後ろから魔法と弓で牽制しつつサポートにまわってくれ!」


「「了解!」しました!」


 指示を受け、その指示に承諾の意思を表し更に後方に下がる。


「まずは先制攻撃だっ!コレでも喰らいやがれっ!」


【ツイストバニッシュ!!】


 高速で交互に振り抜かれたダガーの軌跡が十字を作り、[アビスナイト]に襲い掛かる。だがしかしその攻撃は手に持った盾によりあっけなく弾かれた。


「まあ、そうなるわなっ!」


 そう言いつつ、[アビスナイト]の後方に素早く回り込みつつ、ダガーに力を込め次の技を発動する。


【バックスタブ!!】


 弓の様に引き絞られた右手から閃光とともにモンスターの背中へ突きが繰り出される。


 ガイィィィィィンッ!!


 激しい衝突音が広場全体に響く。全身の力を込めた強烈な突き攻撃は、むなしくもフルプレートアーマーの背面部にあっけなく弾かれ、その表面に微かな汚れを付ける程度で終わってしまう。

 そして背面から攻撃をしてきた者へ、邪魔な物を振り払うかの様に盾を持った左手を回す[アビスナイト]。


 ゴウゥゥーーッ!ドガッカッ!!


 激しい風きり音の後ただ事じゃない衝撃の音と共に、その背後からリーガルが弾き飛ばされ、洞窟の壁面へと叩き付けられた。


「リーガルの兄ちゃんっ!」


「リーガルさん!」


 同時に安否を気遣う2人の声。しかしその声が聞こえたのか、[アビスナイト]は声がした方向に向き直り、右手のロングソードを引きずりながら2人へと近づく為動き出した。


「俺は良いからお前らは[女神の涙」を持って街へ帰れっ!」


「そんな恰好の良い事言って、俺達の試練なのに俺達が何もしないでこのまま逃げ去るのはおかしいよっ!」


「そうです!私もせめて何か!」


「馬鹿野郎っ!お嬢ちゃんはここで地面にキスをしてどこか解らない神殿で復活なんてしちまったら、今までの苦労が水の泡なんだぞっ!」


 リーガルの言葉に忘れていた事を思い出させられたかの様にお互いを見つめる。そして苦悶の表情を浮かべるバニア。


「馬鹿はそっちだリーガルの兄ちゃん!俺がバニアを守れば良いんだろぅっ!」


【ダークプリズン!!】


 灰色の杖を相手に向け、束縛する魔法を詠唱するセヴン。すると[アビスナイト]の足元に魔法陣が広がり、薄く黒いドームが発生し、[アビスナイト]をその中に閉じ込める。


「ほらみろ!コレで俺らに手は出せないっ!」


 そう言って勝ち誇った顔をするセヴンだが、ある事に気が付く。


『おいっ!なんだコレはっ!』


 ドームの中にはリーガルも一緒に閉じ込められていた……。


「「あっ」」


 ドームに閉じ込められたモンスターは、標的を半身だけ身を起こし驚愕の表情を浮かべるリーガルに戻し、ロングソードを振りかぶり、そのまま勢い良く振り下ろす。


『ばっきゃろぅっ!!』


 ロングソードによって袈裟斬りにされたリーガルは光の粒子となって消えて行った……。


「南無ぅ…」


「セヴン君…どうするんですか?」


 杖を持って居ない手で拝むセヴンを、酷い者を見る様にジトッとした目で見据えながら尋ねる。


「コレは事件だっ!陰謀だっ!俺は悪くないっ!弁護士を呼べっ!!」


 取り繕う様に訳の分からない良い訳をしているが、ジト目の少女の瞳は更に細くなるだけであった。


「うぉしっ!リーガルの兄ちゃんの事は忘れないっ!俺達は強く生きるんだっ!!」


 すでにもう明後日の方向を見ているバニアに、心が耐え切れなくなりつつ、杖をドーム内のモンスターに向け魔法を次々詠唱し始める。


【ポイズンミスト!】【ウィンドカッター!】


 お決まりの魔法を唱える。ウィンドカッターは鎧の表面に浅くない傷跡を残し鎧を削り、ポイズンミストによって毒を付与された[アビスナイト]の鎧の隙間から紫色の泡が数か所立ち上る。

 ドーム外からの攻撃に激しく暴れ出し、ドームの壁をを闇雲に攻撃し始めた[アビスナイト]。だがしかしドームは不変である。


「セヴン君て凄く強いとは思っていたけれど、こんな事もできるんですね」


「う、うぅんっ!凄いよねっ!」


 通常モードに戻ったバニアに対し、居た堪れないながらも返事を返す。


「こちらからは攻撃できるのですね?私も少し手伝わせて下さい」


【ピアシングショット】


 弓を構え矢筒から矢を取り出し番え、十分に引き絞られた矢は激しい光と共にドーム内のモンスターへと放たれ、輝く金色の髪が風になびく様に後ろに撥ねる。やはりエルフ族の少女が弓を使うと絵になるなと言った感じだ。


 ビシューーーーーーーッ!


 放たれた矢は激しい音と光でドーム目がけて一直線……


 ボヨーンッ


 そして弾かれた。あっけなく。どうやらこのダークプリズンで形成されたドームは、作り出したセヴンの攻撃のみ通過する様で、それ以外はことごとく弾く仕様の様だ。


「私…何も出来ないですね」


「ま、まぁ気を落とさないでっ!気持ちだけはありがたく受け取っておくからっ!ねっ?」


 泣きそうになるバニアを見て、自分でもこの魔法の効果をようやく知る。そして気を取り直し更に攻撃を続ける。


 【ウィンドカッター】【ウィンドカッター】【ウィンドカッター】【ウィンドカッター!】


 次々と現れた風の刃は、[アビスナイト]に命中するが、ノーダメージと言う訳では無いが、今一効果が薄く感じられる。このまま魔力が尽きるまで続けても良いかもしれないが、いつこのドームが破壊されたりパチンッと消失するかは本人も把握していない。なのでまだ試してない魔法を唱えてみる。


【ダークボルテックス!】


 [アビスナイト]の足元から黒い炎の様な物が渦巻き状に全身を這い昇る。そしてその渦はドーム全体に広がる大渦となり黒く覆う。そしてまたジワジワと黒い渦が晴れて行くと共にドームがパチンッと音を立てて消え去る。すでにそこにはフルプレートアーマーの姿は無く、残った2人は祝福の光に包まれレベルアップした事を告げる。



●ワイルド・セヴン(16歳)

 [種 族]:ダークエルフ  [クラス]:メイジ

 [レベル]:26(6up)      

 [スキル]:ダークボール(闇)ウィンドウォーク(風)ポイズンミスト(闇)ウィンドカッター(風)ダークボルテックス(闇)ロアー(闇)ダークプリズン(闇)

 [称 号]:冒険者ランク1、見られる者、異常快楽者、女神の玩具、幸運



 ほぼ全部一人で攻撃したセヴンはレベルが6、なにもしていなかったはずのバニアでさえ2上がっていた。それだけの強敵。昔戦った戦友ともよりも、必要経験値が上がっているはずなのにその時よりも跳ね上がるレベルに相当なレベル差だった事がうかがえる。

 それだけの強敵だったのにも関わらず、落とされたドロップアイテムは真っ黒で、良く見ると光の反射で中に星が光っているようにも見える石の付いたピアスが1個。セヴンが一応売却してその資金を分けるかと話しを持ち出した所、バニアは大きく首を振り拒否した事で、既に着けていた素朴なシルバーピアスを外し装着する。特に体には変化が無い様なので気にせず、バニアに声をかける。


「それじゃぁ帰りますか?」


「はい、帰ってリーガルさんとナッツさんに報告しなきゃですね」


「そうだなぁ、兄ちゃんには謝らないとなぁ」


 そして2人は今日旅立って来た街への帰路につくのであった。


真面目な戦闘を期待した方すみませんでした。

少し男前なリーガルに主人公より目立ってると感じてしまったので、退場願いました…。

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