防御専門
俺達はダンジョンでの出来事をアルトに報告し、揃ってブレイブペックルのステータスをペックルカウンターで確認する。
「絆くん達が帰還した際に出てきたブレイブペックルなんだけどね。恐ろしい程の性能を宿しているのは確かだね」
「そうだな」
まず入手したばかりの技能Lv1の状態で他のペックルよりも総合的に高い。
サンタペックルみたいな器用貧乏ではなく、何をさせても卒なくこなせるほどに基礎水準が総じて高めなのだ。
勇者だからって事かもしれない。
まあRPG的に古くから勇者と言えば万能型だよな。
「ブレイブペックルにはいろんな物を与えられるペン。その度に少しずつ強くなって行くペン!」
「何?」
「アイテムを渡す毎に少しずつステータスが強化されるタイプのNPCって事か……」
「ただ、ブレイブペックルは守り専門で攻撃は出来ないペン! 十分に注意するペン」
サンタペックルはブレイブペックルに関しての説明を続ける様だ。
纏めると、ペックルの中でも特別なペックルで、基礎性能が総じて高め。
しかもここから成長するし、アイテム……道具や素材を渡す毎にステータスが更に伸びる。
「確かに、ブレイブペックルには専用の指示が出せるようだね……とは言っても代表である絆くんの命令を優先する様だけど」
「ペックルカウンターから指示は出せるんだろ?」
ブレイブペックルのステータスを再確認。
……特殊技能に薬剤、料理、細工、付与、指揮補正と言うをデフォルトで所持しているみたいだ。
他のペックルとは大きく異なるのはわかるな。
「まあね。とりあえず……指揮辺りをさせてみるとしようか」
ペックルカウンターでブレイブペックルを指揮をさせるように指示させる。
すると……全ペックルのステータスが5割ほど上昇した。
「……凄いね。全個体に作業経験値の増加のバフまで掛っているよ」
「滅茶苦茶優秀なんじゃないか」
「そう……だね。不自然な程に何でも出来るペックルだ。ダンジョンのクリア報酬では無いのだったか」
「ああ、主を釣りあげた時に手に入れた鍵で開けた扉の先に居た」
「となるとその難易度に合わせた報酬か……開拓が進んで良いね」
「俺の釣りのお陰だな」
無駄に自己主張しておく。
じゃないと俺って割と役立たずだし。
「間違ってはいないと思います」
「そこは謙虚にするべきだよ、お兄ちゃん」
「だからダンジョン探索を手伝ったんじゃないか」
「そう言えばボスは復活したのかい?」
「ドラゴンゾンビを倒して素材をゲットしたぜ! 俺の解体で!」
ここまで行くと自分でもちょっとウザイ感じが漂ってきたな。
まあ気にしない。
「前線組に売りつけたらどれだけ高額になる事やら……とは思うけど、とりあえずロミナくんへ持って行ったらどうだい?」
「もち!」
そんな訳でアルトと別れてロミナの方へと行く。
ドラゴンゾンビの素材を持ち帰るとロミナも満足する様子で受け取ってくれた。
「中々良い素材を持ってきてくれるね。今度は……確か紡くんの装備で良かったのだったか」
「そうそう。この装備で行けばもっとダンジョンでの戦いが楽になると思うんだ」
「わかった。じゃあ試しに作ってみよう。古代魚素材よりは楽なはずだ」
で、ロミナは持ちこんだ素材で紡に装備を作ってくれた。
黒光りする不思議な防具が出来上がる。
さっそく紡が着こんで俺達の前でポーズを取る。
「わー凄い! 前の防具よりもガッチガチだよ!」
「そりゃあ良かったな」
スカートのあるデザインの鎧だ。
割とデザインは凝っているんじゃないだろうか?
「洒落たカスタマイズをしても良かったのだけど、もう少し素材が必要でね。実用優先に最小限の素材で作ってあるよ」
「了解ーお兄ちゃん。また素材を手に入れに行こうね」
「わかったわかった」
まあ……少しは経験値と言うか戦闘の熟練度をあげておきたいし、悪い話じゃないか。
とは言え……釣りが恋しくなってきたな。
「今度は失敗しなかったので何より」
「その事だけど、絆くんが持ってきたオレイカル鉱石なんだが……鋳造の難易度が随分と高くて驚くよ」
「絆さんは常に先に行ってますね」
硝子がそう囁く。
そのつもりはないんだがな……とは言え、空き缶商法を思い出すので否定も出来ないか。
「上手い事鋳造は出来たけど、その先はまだ難しい。腐竜素材で随分と経験値を稼げそうだから持ってきてくれると助かるよ」
困った時のロミナさん。
もはや俺達専属の職人っぽくなって来てる……島から出た後も当たり前の様にタダで武具を作ってもらうとかさせそうで怖い。
親しき仲にも礼儀あり。
これからも仲良くやっていく為に色々と考えないといけないな。
「紡、硝子……ダンジョンで得た金銭をしっかりと報酬で払うんだぞ。当然の様にロミナに作ってもらっていたら前線組と同じになってしまうからな」
「……そうですね。いつまでもロミナさんの善意に甘え過ぎてはいけませんね」
「わかってるよ。お兄ちゃん」
「こっちは良い素材を提供してもらって、頼んでいる側だと言うのに……」
これはけじめだ。
甘え過ぎては今後の生活にも関わってくる。
俺も今度、島で一番美味しい魚のクエをロミナへ提供しよう。
割と普段から振舞ってるけど。
「報酬はもらっているさ。難易度の高い素材を貰って良い感じに熟練度を稼げているからね。まあ……相手を尊重する気持ちは受け取っておこう」
「話は戻って、オレイカル鉱石とスターファイア原石、そして古代魚系の素材での武具製造は難しいって所だっけ?」
「そうだ。少なくともまだ私の腕が足りないと言う話だね」
「大丈夫だよ。今の所ダンジョンのモンスター相手に遅れは取って無いもん」
硝子と紡はな。
俺も下級エンシェントドレスのお陰でどうにか出来ているし……。
「今度はしぇりるの番か、防具辺りはあっても損じゃないだろ?」
「……そう」
まあ、しぇりるは職人でもあるから少しずつ手伝ってもらえればいいんだけど……なんて思っていると腐竜の頭骨と骨、そして翼膜の端材に目を向けている。
「船の素材に欲しい?」
「……うん」
「じゃあ休憩したらまた取りに行くか」
「おー!」
とは言っても、後一回くらいで俺はまたスローライフに戻りたいけどさ。
そんな訳で俺達は装備を整えてまたもダンジョンに挑戦して行った訳だ。
ま、ここまで来ると作業なので、ドラゴンゾンビをまた倒して戻ってきたで終わらせよう。
合間にダンジョン内で掘削をして建築用の素材をゲットした。
今回はレアドロップは無かったっけ。
しぇりるも程々にLvが上がり、紡はガンガンLvが上昇しているっぽい。
次に手に入ったドラゴンゾンビ素材はしぇりるが受け取り、残りの素材でしぇりるの装備を作った。
ああ、素材が噛みあわない物でロミナの鍛冶道具を新調したらしい。
連続でインスタントダンジョンに潜ったので疲れた俺は、その後ダンジョン行きを辞退し、島での釣りと狩猟……泳ぎ技能の向上に努めた。
アルトの話じゃブレイブペックルを入手したお陰でペックル達が効率よく動いてくれているそうだ。
「よーし!」
大鯰の釣竿のお陰でクエも簡単に釣れる様になった。
しかもロミナがドラゴンゾンビの牙から釣り針を作ってくれたおかげで強度も補完されたし……難点は時々、毒が魚に着く事かな……夜に使うとボーンフィッシュが釣れる。
この釣針の使用はやめるべきだろうか。
狩猟としてトラップマスタリーを取った。
最初はモンスター専用の落とし穴を作成する物だったけど、何度か狩猟エリアで使用していると技能Lvを上げる事が出来た。
翌日はしぇりると一緒に素潜りで貝探しをした。
あさり汁を地底湖で作って食べたと話したらみんなも食べたいと言うので、しぇりるが貝も採れるだろうと海で採取する。
釣りばかりだけじゃダメだって硝子が言っていたし、特化するよりも良いのかな?
なんと、カルミラ島ではアワビが採取出来た。
バーベキューをしてみんなで食べてみた。
身がコリコリしてて絶品だった!
うん! 良い感じ!




