表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/254

ドラゴンゾンビ

「紡、どうしてお前はそう俺に対して挑戦的なんだ?」

「そりゃあ、これまでの道でお兄ちゃんが外した数からかなー」


 う……確かに、弓矢で援護射撃して、外す事が多かったけどさ……。

 マスタリーがまだ未熟なんだからしょうがないんだ。

 ここに来て半製造タイプの悩みが浮上してきたな。


 しかしドラゴンゾンビか。

 やはり中二感のあるモンスターだったな。

 まあ紡は武器が鎌だし、装備の相性は良さそうだが。


「まあまあ、絆さんとしぇりるさんは危ないから距離を置いて遠くから攻撃をお願いしますね」

「……OK」


 しぇりるもロミナからもらった弓矢に持ち替えている。

 お前もか!


「何だかんだ言って私達でも時間が掛るボスです。なので気を付けてください。下手に被弾すると冗談じゃ済みません」

「わ、わかったよ」


 硝子が大鯰の扇子を持って、呼吸を整える。


「それでは……行きましょう」


 そう言って、重厚な扉に手を掛けて中に入る。

 若干大きな広間の様な場所に出る。

 地下闘技場とでも言うかのような広さのある場所だ。

 そんな場所の真ん中に……虫が群がる何かがある。

 硝子と紡が俺達が前に進まない様に手を広げて制止させ、素早く駆け出す。

 すると虫が群がる何かから黒い煙が出現、虫が羽ばたいて飛んで行ったかと思うと黒い煙が散った黒いドラゴンの死骸に集約して、ドロドロの黒いドラゴンの死骸が起き上がる。


「GAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」


 凄い咆哮に思わず耳をふさぐ。

 迫力が物凄い……コンシューマーゲームだったらPVが入ってるだろ。

 ボスの名前はドラゴンゾンビ。

 どう見ても今の俺達よりも遥かに格上。

 とは言っても、硝子と紡の二人でも倒せた敵らしい。


 大きさは……確かに大きい。

 全長15メートルはある。矢で外す方が難しい大きさだ。

 大丈夫なのか? と思いつつ、弓で遠くから狙撃を繰り返す。


 攻撃パターンが若干見えてくるな。

 頭を大きく上げてからの噛みつき、叩きつけ、ブレス。

 羽を大きく広げたら羽ばたきと瘴気を放出。

 尻尾を何度から振りまわしたら叩きつけと回転攻撃……かな?

 ブレスは遠くにいる俺達に向けても飛ばしてくる様だ。


「は! 乱舞四ノ型・白羽返し!」


 硝子が器用に何度もカウンターの構えを取って往なし、その隙を紡が鎌を振りかぶって攻撃を繰り返す。

 避けるのは難しいって事なんだろう。

 途中途中で紡は回復薬を服用してスタミナを維持……するみたいなんだけど。


「お兄ちゃん! しぇりるさん! 弾幕薄い!」

「弾じゃなくて矢な?」


 などと言いながら指示された通り、出来る限り安全を維持したままペチペチと攻撃を繰り返す。

 繰り返しているんだが……。

 なんだろう、モンスターをハンティングするゲームを紡と奏姉さんとでやらされている時と同じ気分になってきた。

 こう……ドスとかジーとかそれくらいのランクを弱い装備で戦っている様な感覚。


「死の舞踏!」


 紡が波でも使用していたお得意の戦闘技を放つ。

 スキル発動と共に四連続の斬戟が響く。

 バシンバシンと大きなドラゴンゾンビの全身にダメージエフィクトが入ったな。


「GAOOOOOO!」


 あ、ヘイトが紡に向かったみたいで、ドラゴンゾンビが紡の方を向く。

 その隙を突くように今度は硝子が技を放つみたいだ。


「輪舞零ノ型・雪月花」


 硝子の周りに雪が発生し……三日月の背景が映し出されて桜の花が散る。

 すっげー派手なエフィクト! 硝子の見た目や踊っている様な戦い方から凄く映える!

 凄い大技! 派手過ぎてカッコイイと素直に称賛してしまうぞ!

 ドラゴンゾンビの全身にやはり何度もダメージエフィクトが入ってる!


「すげー! 硝子の技カッコイイ!」

「き、絆さん、感心してないで援護射撃をもっとしてくださるとうれしいのですけど」

「あ、そうだった!」


 そんな訳でペチペチと俺としぇりるが後方で何度も矢を放っている訳だけど……。

 10分くらい経過した頃に俺は、ドラゴンゾンビに狙われたので回避してヘイトが減るのを待つ。

 距離があればその分、硝子や紡がボコボコに殴って、ヘイトが戻る。


「なあ、二人とも……これ、いつまで続くんだ?」

「えー……」

「まだ三分の二にも至らないよ、お兄ちゃん。半分まで減るとモードチェンジするもん。何かフィールド展開して周りが青白く光るんだよ。その後は地震攻撃が加わるの。硝子さんのお陰で無力化出来るけどね」


 うえ……まだまだ続くのかよ。

 そう言えば闇影と出会った時に見たボスも地道に殴って倒したっけ。

 というか、どんだけタフなんだ。

 矢に火でも灯して撃ったら燃え上がったりしないかな?

 そう思って矢筒に手を伸ばすと……空振った。


「ゲ! 矢が切れた!」

「しぇりるさんからもらってください!」


 とは言ってもしぇりるとは少し距離がある……しかもしぇりるの矢筒を見ると、俺に渡すと心もとない本数しかない。

 くっそ……もっと戦闘に貢献する手は無いか。

 矢で援護射撃しててもキリがないだろ。


 そりゃあ戦闘が得意な硝子や紡は失敗もせずに戦いを継続できるだろうけど、俺はいつ失敗するか分からない恐怖がある。

 ここって元々もっと大人数で挑むダンジョンなんだよ。

 地道に攻撃して最終的に倒せる硝子と紡が凄いんだって。


 幽霊船みたいな特殊なギミックがある訳じゃないし。

 エネルギーブレイドで一気に仕留めるとかも手だけどさ。

 弓矢での戦いも悪くは無いけど……このまま戦っているとしぇりるの矢も尽きるのは時間の問題だ。


 ……よし!

 俺は釣竿を取り出して光のルアーを装着、スナップを掛けて、ドラゴンゾンビの頭目掛けてルアーをぶつける。


「お兄ちゃん!?」

「絆さん! 何を――」


 バシンと良いエフィクト!

 ドラゴンゾンビがの仰け反った。


「え? あー……お兄ちゃんの使ってる竿って硝子さんの武器と同じく大鯰の素材で作られた物だよね。しかもそれって光のルアーでしょ? アンデッドであるドラゴンゾンビには良いダメージ入るのかも」


 お? ヘイト&ルアー以外で技能が出現したぞ!

 急いで習得!

 そっかー……釣り道具も武器になる事があるんだな。

 まあヘイト&ルアーの段階でわかってはいたけどさ。

 ルアーを投げて当てるのは地味に大変だけど、的が大きいからどうにかなりそうだ!


「ルアーダブルニードル!」


 ガツンとドラゴンゾンビに攻撃が命中したけどエフィクトは無く、引っかかった。

 攻撃スキルじゃない?


「と、とにかく攻撃します!」


 硝子がドラゴンゾンビに向かって技を放つ。

 すると今までよりもさらに強いエフィクトが出て、ルアーの針が抜ける。

 クールタイムが長いな。


「もしかしてそれって……」

「ああ、一回限りダメージを倍化させるスキルかもしれない」


 針が刺さっている間に与えるダメージが増える的な。

 俺は遠距離から釣竿を振るってドラゴンゾンビに攻撃を繰り返す。


 が、フィッシングマスタリーの補正や光のルアーで攻撃力が上がった所為でヘイトが増していて、俺が狙われる頻度が上がる。

 硝子と紡がその隙を付いて今までの若干防御寄りの戦いから攻撃寄りにシフトした猛攻が続く。


 というかこの光のルアー……いろんなところで役立つなー。

 アンデッドに当てると特効なのかーそりゃあそうだよな。

 光属性だもん。


 やがて辺りのフィールドが青白くなり、モードチェンジしたのが分かる。

 ガラガラと地面が揺れて、その度に立っているのが難しくなってきた。

 こりゃあかなり厳しいぞ。

 しかもドラゴンゾンビの奴、羽ばたいて辺り一面に毒のブレスを吐き散らす攻撃をして来ると言うおまけ付き。


「鎮震の剣!」


 硝子が扇子を剣にして地面に突き刺すと……地震が収まり、回避しやすくなった。


「一定時間、地面系の攻撃を無効化出来ます! 今です!」


 ドラゴンゾンビが大技を放ったからか、隙だらけになっている。

 今、攻撃しろって事か。

 本来は地震でこっちも動けない所為で攻撃時間が短いのだけど、対地震装備を持っていた硝子のお陰で余裕と。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ