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地底湖釣り日誌

 釣り生活推定4日目。

 アロワナ等の魚がいる熱帯地方での生活を想像した結果、丸焼きではないかと思い、丸ごと焼いてみる。

 ちゃんちゃらちゃらら~ってノリで上手に焼けるまで挑戦。

 調味料は塩で大雑把に食べてみたのだけど味は良くない。

 やはり思い付き程度ではダメらしい。

 ピラニアも揚げ物向けな印象。

 以前しぇりるが話していた、フィッシュ&チップスが良いのだろうか?

 マカロニ&チーズの方が好きとか言っていたが、食ったことが無いのでわからん。

 せっかくだし、料理スキルも上げておくか。


 釣り生活推定5日目。

 この地底湖、主がいるかと思ったけど、案外引っかからない。

 フナと鯉で適当に料理を繰り返す。

 ペックル達には悪いがアロワナとガーパイクで我慢してもらおう。

 イカとか平然と食べていたし大丈夫だろう。


 釣り生活推定6日目。

 邪道だと思っていた素潜りに挑戦。

 地味に泳ぎの技能が低かったのもあってこの際上げておいて損は無い。

 地底湖故に水温が低い! 泳いでいたら温度低下でダメージが入る。

 キャンプ用品で用意していた焚き火で体温調整。

 こんなシステムまであるのか、しぇりるも結構やるなと思いつつ、釣りに勤しむ。


 釣り生活推定7日目。

 地底湖は小さめの泉みたいなところもある。

 そこに糸を垂らして何が引っかかるか調べる。

 と言うか浅瀬で調べているとあさりを発見!

 さっそく鍋に投入して貝のスープにする。

 他、ザリガニがいた。

 やはり上手く捌けば食べれるのだろうか。


 釣り生活推定8日目。

 うーん……こんな場所に主がいないと言うのは考えられない。

 第一都市の釣り場でもいたんだ。

 ありえるのは何かしらの条件を満たしていないからだろうか?

 後は主のいる場所が限られている?

 池とも繋がっていてナマズがこっちにも出没するとかだったのだろうか?


 そう言えば今気付いたが第二都市の主を釣っていない。

 そのうち釣りに行こうと思う。

 誰かが釣って居たらその限りじゃない。


 釣り生活推定9日目。

 ここに来て、なんで地底湖でサバイバルしているのかと考え始める。

 俺自身も謎だ。

 なんとなく独り言が増えた気がしてきた。

 だが、日数経過が勿体ないと思い、釣り生活を続行する。

 この日は特筆した情報は得られなかった。


 釣り生活推定10日目。

 ボートを使って水深が深い所を探す。

 既に深い所に糸を垂らすのはやっている。

 しかしそれらしい場所は発見できず。

 釣った魚の在庫が3000匹を突破。

 どれくらい釣ったら帰るかな?

 まあ、本格的な装備をしぇりるやロミナに頼んで再度釣り生活するのも良いかもしれない。

 ちなみに調べた結果、外の魚と比べると魚の元素変換効率が悪い。

 きっと長時間滞在出来るからだろうな。


 釣り生活推定11日目。

 地底湖の海底を目で追っていると深い所はある……が、どうにも何かある様な気がする。

 ので、少々寒いけど泳ぎの技能を上げる為に竿を垂らしつつ泳ぎの熟練度を稼ぐ。

 ダンジョン仕様でエネルギーの回復が遅く、変換効率も悪いけど水泳技能を向上させた。

 潜水時間と水中での移動速度が多少上がる。

 ま、釣り人兼漁師になるのも悪くは無い。


 釣り生活推定12日目。

 楽しかった。


 釣り生活推定13日目。

 前日の日誌が小学生の日記三日目位になっていたので反省する。

 水泳技能が向上したので、地底湖探索を再開。

 結果判明したのは隠し穴とばかりの更なる横穴を発見。

 この小さいフロアにどれだけ仕掛けがあるのだろうか?

 しかもその先に鉱脈を発見。

 ドリルで掘削するとスターファイア原石とオレイカル鉱石と言う物が採掘出来た。


 ここで息が続く限り深く地底湖に潜ろうとしたのだけど呼吸限界まで潜っても底は見えず。

 マシンナリーか何かの技能で酸素ボンベ等を入手して探索する場所か?

 素潜り用の主とかさ?

 そうなると管轄外だ。戻ったらしぇりるを連れてくるのも良いかもしれない。

 辺りを確認、苔と言うか、丸い岩みたいなのが太古な雰囲気を匂わせる。

 削り取るとストロマトライトという石が採れた。


 釣り生活推定14日目

 この隠し穴に糸を垂らすとキンメダイが釣れた。

 海の魚だぞ? 地底湖じゃないのか?

 とは思ったけど、よく考えたらここは島なんだよな?

 水も若干塩が混じっているようだ。

 一箇所でこんなにも変化があるのはゲームならではだなぁ。


 釣り生活推定15日目。

 釣り場を変更した事で釣り具を――。


「光のルアーじゃ引っかからないか、今回はキンメダイをそのまま引っかけてと」


 魚を餌に魚を釣るのは割と良くある漁法だ。

 おとりアユとか有名だよな。

 そう言えばアユ釣りとかしてない。

 大陸に戻ったらフライフィッシングとか川釣りもしたいな。

 何だかんだで海釣りばかりだし。

 池で釣るのはそう言った面で面白かったかな?

 まあ、折角の魚を犠牲にするのは程々に、良い鉱石が手に入ったと言う所で妥協しよう。

 なんて思っていたら釣竿が大きくしなった。


「なんだ? またアロワナか?」


 微妙な境目扱いなのか淡水魚と海水魚の両方が釣れる。

 河口扱いでは無いっぽい。何でもありだなこの地底湖は。

 そう思って竿を上げるのだけど、感覚が何か違う。

 なんだ? ナマズ並みに引きが強いのが分かる。


「く……舐められた物だな。あの光のルアー泥棒のナマズに復讐を成功させた俺がこの程度で糸を切られると思うなよ!」


 両手で竿を掴み、モーターリールを起動させて手繰り寄せる。

 あの時よりもさらに手持ちの装備は優秀なんだ。

 大鯰の釣竿の力を舐めるなよ。

 バシンバシンと針と糸に何かしらの攻撃を仕出かしているのが分かる。

 手の感覚から……おそらく主! しかも攻撃も出来るタイプか?

 しぇりるが居れば攻撃して弱らせたり出来るのだろうが、無い物ねだりはしない!

 だが……なんだこの手ごたえ、今までの魚にしては変な手ごたえだ。

 どちらかと言うと巨大イカに近いか?


「はああああ!」


 モーターリールを起動させて糸を高速で巻き取る。

 強靭な糸を断ち切る事が出来ず、主は徐々に引きの強さに巻き取られて行く。

 ふふふふふ……ナマズの時の経験が生きたな。

 ナマズを経験せずにここで釣りをして居たら俺は即座に敗北していただろう。

 そう言った意味でナマズは良いライバルだったぜ。

 アイツが俺を更なる高みへと連れて行ってくれたんだしな。

 等と思いつつ、今までの経験を総動員して竿を上げる。

 すると……思いの外アッサリと俺はその主らしき魚を釣り上げたのだった。

 主の大きな巨体が水面から大きく飛び出した。


「フィッシュー! おおおおおおおおおお!」


 思わず声が出る。

 いや出ずには居られるか。

 生活系ゲームや釣りゲーとかで稀に見るあの魚が釣れたぞ!


「シーラカンスだ!」


 間違いない。

 釣り上がったシーラカンスを確認するとシーラカンス・ラティメリアと書かれていた。

 ともかくシーラカンスなんて釣れるのか!


 コレは大発見だぞ!

 しかも主だ!

 この感動を誰かと分かち合いたい。

 考えてみれば体感時間で15日もダンジョンにいる。

 そろそろ帰るのも良いかもしれない。


 とは言え……主をそのまま仕舞うのは難しいので、スクリーンショットを取っておくか。

 全長は2メートル50センチか。

 確かシーラカンスの全長って1メートルから2メートル程度だからそれよりも大きい。

 主ニシンや大ナマズと比べて小さいのがゲーム独自なのか納得できないけど、我慢するしかない。


「おや?」


 シーラカンスの額にキラキラと光る何かがあるのに気づく。

 なんだ?

 そう思って光る物を確認すると、不思議な感じに引っ付いている鍵だった。

 鍵に触れると効果を失ったのかポロっと落ちる。

 解体無しでのドロップかな?

 鍵を拾って確認。


 古の伝説の鍵


 鍵ねー……何かに使うんだろうけど、差し込む場所に覚えが無い。

 今後、何処かで使う場所でもあるのかな?

 イベントアイテムって奴だろう。


「まあ良いや」


 魚拓をしっかりと取って……俺は早速解体をする事にした。


 古代魚の口、古代魚の頭、古代魚の前ヒレ、古代魚の背びれ、古代魚の胸びれ、古代魚の腹びれ、古代魚しりびれ、古代魚の鱗、古代魚の硬鱗、古代魚の筋肉、古代魚の軟骨、古代魚の心臓、古代魚の目玉。


 とまあ古代魚シリーズで一杯だ。


「さてと、そろそろ帰るか! ぶっちゃけ地底湖、飽きてきたところだったし!」


 キリも良いので帰ろう。

 地底湖に釣りに来るのは三日後くらいにしよう。今度は更に装備を整えてな。

 酸素ボンベとかしぇりるが作れるか相談しなきゃいけないし。

 そんな訳で、シーラカンスの解体を終えた俺はパンパンと手で埃を払ってからランプの灯を消してダンジョンから帰還したのだった。

 ま、これだけ釣れれば良いだろ。 


 これで一日だからな。

 いやー、めちゃくちゃ得した気分だ。

 ペックルの食料問題も一挙に解決だぜ!


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