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インスタントダンジョン

お久しぶりです。


前回までのあらすじ。

開拓をする事になった絆。

間違ってフレンドのロミナを召喚してしまった。

ロミナの助言でダンジョン探索に行かせるペックルを選ぶ事にした。

 ――夢を見た。

 夢の中の俺は勇者になっていて、仲間達と共に大冒険をしている。

 そして釣りをしたり釣りをしたり釣りをしたりしていた。


 ……今と対して変わらないな。

 やがて仲間達と別れ、迷宮で釣りを始め、サバイバルをしている様な……本当、今と変わらない。


 それから月日は流れ、俺は夢の中で仲間達と共に『敵』と戦っていた。

 相当追い込まれている様で、所謂苦戦しているという奴だ。

 ただ、夢の中の俺は運動神経が良い。

 実際はこんな事は出来ないだろうな。


 ん? 仲間達が倒れかけたその時……刀を携えた狸耳の女の子が――


「ハッ……夢か」


 周囲をキョロキョロと眺めるとカルミラ島にある、俺の家のベッドだった。

 変な夢を見たな。

 というか、ゲームの中で夢って見るんだなぁ。

 これって夢の中で夢を見る様なものなんじゃないのか?

 まあ、いいか。


「さて、今日もがんばるか」



 そんな訳で、ロミナの意見を参考に行かせるペックルに戦闘向けじゃない奴を混ぜてみた。

 とりあえずサンタ帽子のペックルを混ぜてみる。

 何でも出来る奴だから卒なくこなすだろう。


「行ってくるペン!」


 そう、戦闘向けのペックル達を引き連れて行くペックルに手を振る。

 そういえば……指揮の熟練度はダンジョンに行かせると増える。

 戦闘の指揮だったんだなー……後は開拓時に微妙に上がる。

 俺の意図を察する意味もあるみたいだ。


 その後、俺は日課にしている釣りをする。

 硝子は狩猟に行ったっけ、ロミナは工房で鍛冶をしてる。

 しぇりるも工房で船作りをしている。

 ただ、しぇりるの話だと船で島から出るのは難しいっぽい。

 増え続けるペックル達の食料を確保するために船での漁を計画中らしい。

 投網漁かな?

 そんなこんなで時間を潰しているとペックル達が帰って来た。


「「「ペーン!」」」


 相変わらずのテンションだ。

 もう驚かされない。


「報告だペン!」


 見つけてきた物を確認する。

 戦闘向けのペックル達の熟練度がそれなりにあるお陰か複数枚の設計図を持ってくる。

 お? ペックルが作る家のバリエーションが増えている。

 しかも何匹か新たにペックルを見つけてきた様だ。

 噴水、柵も作成可能になった。

 畜産に使う牛舎もあるぞ。


「おお」


 形だけの柵だった牧場がやっとらしくなるって事かもしれない。

 やっぱりロミナの言った通りになった。

 行かせるペックルによって発見する物にバリエーションがあるようだ。

 最近じゃあダンジョン探索で見つかる物がマンネリだった故に良い感じ。

 そんな訳でローテーションを組んでペックル達を出撃させ続けた。

 結果。


「新たにインスタンスダンジョンを発見したペン。付いてくるペン」

「はい?」


 サンタ帽子ペックルの報告を聞いて首を傾げる。

 硝子達を連れてペックルの案内に着いて行く。

 するとペックル達が入って行く穴の隣に大きな扉が出来あがっていた。


「みんな入れる様になったペン。力を合わせて攻略して開拓をするペン」

「……これって私達もダンジョンに挑めって事でしょうか」

「たぶん。そうだろうね」

「そう」


 まあ……ペックルが増えてきて、熟練度も上がってきた所為でやる事が大分減って来ているのは事実。

 だからロミナやしぇりるは物作りに集中できた訳だし。

 そもそもこの島で一定の人数が生活している。

 中には硝子の様に戦闘向けなタイプが含まれる可能性もあるだろう。

 ここが一定期間脱出不可、という制限がある以上、そういった連中向けの施設が準備されていたんだろうな。

 ゲーム的な意味で。


「インスタンスダンジョンまで完備されてるとはね」

「どんなダンジョンなんでしたっけ?」


 ロミナが若干呆れていると硝子が質問する。


「わかりやすく言うと、他の人とは競合しないダンジョンという所かな」

「そう……」

「最初に入るメンバーを決めて入ると出るまで同じ編成、ダンジョン内で人とは会わない。オンラインゲームでは割とありがちな仕様だ」

「な、なるほど」

「島にいるのは俺達だけなのに競合相手が前提って何か意味があるのか?」


 存在の意味が疑問なんだが……。

 もしかしたらこの島に大量に人が来る様になるのだろうか?

 まあVRとはいえオンラインゲームなんだから、特定の個人だけがプレイ出来る設備、というのは不公平だ。

 後々何かある可能性は高い。


「とはいえ、インスタンスダンジョンかー……」


 ロミナが腕を組んで俺達の方を見る。

 うん、わかる。

 何を言いたいのかわかる。


「硝子くん以外はあまり戦闘向けなタイプに見えないが、入ってみるかい?」


 まあ……そうだよね。

 俺は釣りと解体担当、しぇりるは泳ぎと船作り、ロミナは鍛冶全般で単純な戦闘が得意なのは硝子しかここにはいない。

 しぇりるが二番目かなー……?

 ロミナに関しては詳しく知らない。

 だけど、スキル構成的に厳しいはず。


「ロミナは戦闘が得意?」

「生憎と武器作りしかしていないから其処まで得意でも無いよ。精々友人と一緒にそれなりにLvを上げたくらいさ」


 そうだよな。

 今まで製造に特化していた訳だし、そうなるよな。


「俺も多少は戦える程度だし……どの程度のダンジョンなのか未知数なのがちょっとな」

「未知のダンジョン……少々興奮する出来事だと思いますよ。皆さん、やってみませんか?」

「そう」


 硝子はともかく、しぇりるがやる気を出している。

 悪い手じゃないとは思うけど、ここって王道から逸れた若干先の狩り場&ダンジョンなんだよね?

 このメンバーで大丈夫なのか?


「すまない。少々忙しくてね、今回は遠慮させていただくよ」


 ロミナが断った。

 この中じゃ割と忙しい方だから、ダンジョンまで同行させる必要は無い。

 役割分担がMMOの醍醐味だからな。

 そこは各々適材適所にやっていくのが一番だ。


「了解、じゃあ挑戦してみようか。出来る事は多いけど少しマンネリだったしな」


 という訳で俺達はパーティーを組んでダンジョン内に潜入する事にした。


   †


 ダンジョン内に入った俺達。

 若干薄暗いけど見えない程じゃない洞窟って感じだ。

 かなり湿っぽい感じがする。

 相変わらず最先端のVR技術は凄いな。


「アレ? 絆さん、いつの間にかランプを持っていますよ?」

「本当だ! いつの間に!?」


 リーダーをしていた俺の手に、いつの間にかランプが握られている。


 道具/開拓地、帰還のランプ

 説明/開拓地のダンジョン専用道具、迷わない様にと授けられるランプ。火を消せばダンジョンから出られる。


「脱出用アイテムって奴みたいだ。火を消すと外に出られるらしい」

「中々便利な道具ですね」

「escape」


 しぇりるの台詞だけど妙にイントネーションが良かったな。

 硝子が先頭でしぇりるが中衛、俺が後衛という陣形だ。


「どんな魔物が飛び出すか興味がありますね」

「まあね。海の魔物よりは強いかもしれない」


 なんて話をしながら歩いて行くと、シトラスジェリーというスライムタイプの魔物の群れが現れた。


「行きます」


 なんか戦闘は凄く久しぶりな気がする。

 そう思いつつ感慨に耽って居たら。

 うお! シトラスジェリーが飛びかかってきた!

 ……うーん?

 ビタッと俺にぶつかったけど、痛くも痒くもない。

 どうやらステータス的に余裕って事かな?

 数分後にはシトラスジェリーの群れを全滅させていた。


「解体はどうしましょうか?」

「やってみる……とは言ってもジェリーの解体なんて意味があるのかな?」


 転がっているジェリーの死骸を持ちあげる。

 クラゲみたいな手触り。

 ……一応アイアンガラスキで解体してみよう。鳥用だけど。

 んー……凄く透明だけど、どうやら内臓があるっぽい。

 ジェリー、スライムみたいな魔物なんて想像で補完しなきゃいけないタイプの魔物だ。

 結果。


 ジェリーミート

 ジェリーの内臓

 ジェリーコア


 の三つに解体出来た。

 後は内臓から……石とかゴミっぽい物が出てくる。苔等もあるみたいだ。

 どちらにしても消化中のゴミって奴だ。

 マメに解体すると良い物とか出そう。


 コアは綺麗だなぁ。

 後でロミナに何か使えないか聞いてみよう。

 錬金術とかのゲームだと生きてるとかの代物が作れそうだ。


「ゼリーを切り分けるとかこんな感じなのかもしれない」


 スライムがクラゲみたいで、地味に難易度が高くて結構失敗した。

 他にも使い道がありそうだ。


ゲームシステムの再現は離れていた期間が長かったので出来ていません。

それを前提によろしくお願いします。

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[一言] 迷宮は脱出不可能だったあれのことかな
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