表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
250/254

寄生虫


「フィーッシュ!」


 ギリギリギリ! っとリールを回す。

 お? 想像よりも引きが強い。

 開拓地だから大して強くないかと思ったけど予想より強めだ。

 プラド草原の方で生ぬるい釣りをしていたことが多かっただけに良い手ごたえ。

 さすがは鮭という事か。


「よーし! ここで見せられなかったスキルを使ってやる!」

「あ、絆さんの新釣りスキルですね」

「おう! 本来は釣りで使うものだ! はあ! 破城槌」


 ガツ! っと引っかかった鮭らしき魚を近くの岩にぶつける。

 確かな手ごたえと共に水面が赤く少し染まり……手ごたえが無くなってしまった。


「……」

「……」


 硝子の沈黙が痛い。


「あの……魚さんの頭がつぶれてしまっているのでは?」

「気絶! 気絶してるから!」


 お願いします! どうか頭がスプラッシュしてないで!

 と、リールを巻いて魚を確認すると……ああ、よかった。気絶してるだけだった。

 鮭が釣れたので本当、よかった!


「フィッシュー!」

「わー」


 硝子がパチパチと拍手してくれる。

 後方でパチパチと大きく聞こえたのは無視だ! 俺のファンクラブメンバー! 集まってくるんじゃない!

 何が面白いんだよ!


「絆ちゃんたちの沈黙、美味しかったでござる」

「さすが絆ちゃん。修行の成果で鮭を一撃でござる」

「破城槌かー……絆ちゃんも覚えたんだな」

「海だと使いづらいからここでこそ光るスキルでござるー」


 まあ……海だとぶつける場所が限られてるから使いづらいってのは分かる。

 引っ掛けた相手を壁にぶつけるってスキルだもんな。

 運用方法を考えないといけない。

 いや、使い方次第じゃないかとは思うけど……。


「これが絆さんの新技なんですね」

「うん。硝子も新しい釣り技あるんだよね? チャージが必要だって言ってたけど……」

「あー……」


 と言った所で硝子の釣竿も大きくしなる。


「……やりましょうか。行きますよ!」


 硝子が魚との攻防を始める。

 俺でも少し歯ごたえのある相手だと思った魚……鮭のようなので抵抗が強い。

 その攻防の最中で硝子の釣竿が光、チャージスキルを行い始める。

 おお……釣りのチャージスキル、良いなー。

 どんなスキルだろ?


「はあ!」


 バシャ! っと硝子が釣竿を引き上げると鮭が水面から飛び出した。


「行きます! 荒縄縛」


 ズン! っと釣り糸が鮭に巻き付いたかと思うと大きく縄のようになって締め上げる。

 ビチビチと水面に叩きつけられた鮭が抵抗をしているけれど、そのまま引き寄せられて釣り上げられてしまった。


「前にも似たスキル持ってなかった?」


 なんか糸で相手を締め上げたのを覚えてる。


「バインドロープですね。はい……系譜として強化スキルになりますね。引っ掛けた相手を縄で束縛するスキルみたいです。普通の糸より拘束効果が高いです」

「なるほど、硝子は本当、糸系のスキルをよく習得するね」

「確かにそうですね。一応、絆さんも使っている一本釣りも覚えましたよ」


 おお、それは何より。破城槌もなんだかんだ地味なスキルだから一本釣りはロマンだ。


「一応チャージスキルなんだっけ?」

「はい。貯めた分だけ糸が太くなって拘束時間が伸びるようです」

「ほー……ボスの拘束とかに役立つのかな?」

「その運用が良いかもしれないです。ふふ、私が足止めして絆さんがとどめに行くんですね」


 今までは逆に硝子が前衛で戦っていたはずなのに俺が前衛で戦うかー……スキルの所為なんだけど色々とスタイルが変わったもんだ。


「何はともあれ鮭ゲット! もっと歯ごたえのある鮭とか居るのかなー。とりあえず解体するね」


 早速鮭を解体する。

 鮭の切り身に骨、皮つき身に、すじこ……やはり素材は豊富になってるなー。

 ただー……。


「そういえば気になった事があるのですが」

「ん?」


 何か硝子は気になることがあるのかな? こういうのって大事だよね。

 経験者故に気づかない、当たり前になってしまっているなんてあるし。


「鮭とサーモンは何が違うのでしょうか? 絆さんは知っていらっしゃいますか?」

「ああ、ゲーム開始前に少し調べたかな、こういう雑学はクレイさんの方が詳しそうだけど俺の知ってる範囲の話をするね」

「はい。野菜は絆さんが詳しいですが、絆さんの調べた知識を聞きたいです」


 うれしい話だね。硝子は人を持ち上げる才能があると思う。


「鮭とサーモンの違い。日本でサーモンというと養殖の鮭の事を言う感じだね」

「養殖なのですか」

「うん。サーモンの寿司とか人気でしょ? でも鮭の寿司があまり聞かないのは寄生虫なんかが関わっていて、生食が大変だったのが理由らしい」

「そうなのですね」

「うん。どうやらディメンションウェーブでも再現されてるみたいで寄生虫ありみたい」


 解体した鮭を確認すると素材の状態では食べることはできない指定が入っている。

 料理スキルで確認すると酢とか熱湯などで処理すると表示されている。


「寄生虫ですか」

「うん。アニサキスとか有名かな? 鮭はそのままでは寄生虫が居て食べるのは難しいんだね。だけどサーモンは養殖で育てるので寄生虫が居ないから調理しやすいって感じ」

「なるほど」

「まあ、闇影やクレイさん達ならもっと詳しく教えてくれるだろうけど、英語とかを交えると鮭はサケ科サケ属でサーモンはトラウトサーモン、ニジマスを指すらしい」

「アメマスの際に闇影さんが仰ってましたね」


 そういえばそうだったね。

 思えば闇影はこの辺り知識として知っていたもんな。


「では鮭を養殖したらサーモンとなるのでしょうか?」

「ありそうだね。確か養殖も出来たはずだから」


 カルミラ島に養殖場を確保してある。あんまり使用はしてなかったけれど安定して鮭を確保する際には使った方が良いだろう。

 鮭は確かに料理の用途が広いからなー……あっても悪くない。

 一応カニ籠を設置するけど鮭クラスはきっと引っかからないだろう。

 ちなみに考察通り、鮭を養殖するとサーモンになった。

 他にも養殖じゃないと手に入らない魚などもあるそうで、ロミナとクレイさんの知り合いの養殖をやりたいって人に一任して貰う事になった。

 俺の趣味は釣りであって養殖じゃないからね。

 顔文字さんは作物研究もあるのでこの辺りが俺との違いだろう。


「うーん。鮭を釣ってしまった。次の目標を決めないとなー」


 フライフィッシングで鮭は釣ってみたいと思っていた。

 それが叶ってしまったので次の目標を思い浮かべて置こう。


「色々と目標を作るのは大事ですね。絆さんは次は何を釣りたいのですか?」

「そうだなー……鮭関連の次の目標は……あれだね。キングサーモンとか居るなら次はそれを釣りたいかな」

「キングサーモンなんて魚がいらっしゃるのですね」

「うん。日本名は……なんだったかな?」

『マスノスケでござる』

『絆ちゃんの次の目標、キングサーモン』

『我らのサーモンがキングになっちゃうでござる』


 俺のファンクラブの奴ら、黙れ!

 何がキングになっちゃうでござるだ!


「釣れると良いですね」


 硝子は隠ぺい察知のスキルを所持してないのでファンクラブの雑談が聞こえないようだ。

 ここで聞こえてる風にするのはできなくはないけど関わり合いになりたくないので硝子との会話に意識を集中しよう。


「そうだなー今度はどのあたりに生息してるんだろうね」

「色々と探して行くのが楽しい……ですよね?」

「うん」


 いろんな魚が釣れるもんだ。

 で、そこで地道に釣っているとパイクという魚も釣れた。

 他にブリーム……地味に海外っぽい魚が多いかな?

 プラド草原も海外の魚が多かったし、その辺りの縛りというか何かがあるのかなー?

 そこそこ釣って釣りの実績登録を終える。

 地道にいろんな魚を釣って行かないとね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] サケとサーモンの違いについては、ちょっと色々思うところが……。 国立研究開発法人水産研究・教育機構 北海道区水産研究所のHPに色々載っていますが、1980年代に読んだ本に載っていた内容…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ