第四都市ノースフェラト
「正直さ……そこまで四天王が狩られてると新鮮味無いな。ロミナが買い取りとかしてる物資とかで四天王装備とか揃えてもらえそうだし」
「そうだね。急務で挑まないといけないかどうかは怪しい所ではあるね。もちろん全ての四天王を倒す事で何らかのフラグがありそうではあるけど」
うーん……そりゃあ四天王を一人一人倒して行くのも面白くはあるけど既に他のプレイヤーがやり遂げている点で魅力が薄い。
「ぶっちゃけ後回しにしてダンジョンのマグマに釣り竿を垂らしたいな。四天王は何時でも挑めるし」
「絆さんらしいですね」
「確かに絆殿が居れば正面からでも問題無く勝てる気がするでござる」
「そう……」
「それこそ面白ギミックでコメディチックに倒される四天王を見て笑いましょうって感じだねお兄ちゃん」
なんか四天王達が哀れに感じてきた。
「俺は火のクリムレッドをボコしに行きたいぜ? やられっぱなしってのも悔しいしよ」
「そこは行きたい奴でパーティー組んで行けば良いんじゃ無い? なんだかんだ人は居るし攻略はどっちかというと顔文字さん向けだよ」
その辺りの正当な攻略は俺より顔文字さんの方が向いてる。
「わらわも農業で未知の作物の発見をしたい所なんじゃが……」
「ノジャくんじゃないと見つからない四天王作物とかもあるかも知れないね」
「なるほど、畑にダインブルグ素材を植えて見るのも面白そうなのじゃ。クリムレッドかの……ちょっと興味が湧いてきたのじゃ」
あーなんかそういうのありそうではあるね。
勿体ないと思うかも知れないけど素材買い取りが出来る位には俺達は金を持っているのだ。
何よりクエスト報酬でそこそこダインブルグの素材はある。
実験に植えても問題は無い。
「俺の場合、四天王……アクヴォル辺りは釣り上げてみたいかな」
引っかかりそうで引っかからなかったんだよなー。
「絆殿がとんでもない事をぶっ放してるでござるよ」
「確かに釣れそうなボスですね」
「ファンクラブが居る程のボスだけどね。お兄ちゃんのライバル認識されてるよ」
「あー聞こえない」
なんで俺がアクヴォルと人気で勝負しなくちゃ行けないのだ。
「まあ……ファンクラブの人達がお兄ちゃんが開拓中、アクヴォル様は行くの大変だけど何時でも見る事が出来るから尊さはお兄ちゃんだとか言ってたけどね」
「本当そいつら何なの? 俺の何がそんなに萌えるの?」
本気で理解出来ないんだけど。
俺の何処に萌えを見出してるの? あんまり表には出ない釣りオンリーの釣り人を捕まえてさ。
「心当たりが全く無い。歌って踊ってる訳でも無いのに」
「想像が一人歩きして居るのではないかのう? 得てしてファンというのは本人が何かした訳でもないのにそう動くものじゃ。番組の収録で男性と話しただけで嫉妬して妙な予告を出して捕まるものも居るのじゃ」
隠れアイドルオタクの顔文字さんはその辺り詳しいなー。
「ゲームだから美男美女になりやすい所だと強烈な個性ってのは武器になるもんだぜ? 絆の嬢ちゃんはやるときはやるから人気あるのは分かるぜ」
「前にも似たような話をしたような気がする。な? 闇影」
ここは俺のファンクラブよりも各イベントで毎度上位入賞している且つクレイさん達の件の娘だったという事実から闇影をアイドルに担ぎ上げるのがいい気がしてきた。
「闇影ちゃんファンクラブに改名するように勧めよう」
「絆殿のファンクラブで良いでござるよ! カリスマプレイヤー絆ちゃんが今度はプラド草原を開拓したと言うのがタイムリーなニュースなのでござる!」
「いやいや、超々人気プレイヤー闇影ちゃん、アルトのライバルである大商人クレイさんの娘という情報に比べたら俺なんて小さい小さい。ちゃん付けが嫌なら闇影様ファンクラブでもいいぞ?」
「いやいや――」
っと俺と闇影でアイドル枠の譲り合いと言うなのなすりつけ合いを続ける。
「お二人とも嫌なんですね」
「気持ちは痛いほど分かるのじゃ」
顔文字さんが何故か俺と闇影の立場に関して強く理解を示している。
合わせるようにクレイさんとミリーさんが笑ってるような気がするけど……。
「絆の嬢ちゃん達は見てて面白えからファンの気持ちは分かるぜ」
それは分からないぞ俺は。
「硝子は何かお勧めの場所とか無い?」
「そうですねー……あ、ノースフェラトには絆さんにお勧めな点がありますね」
「なに?」
「鮭とブラックバスが釣れます」
ほほう。
「ここがノースフェラトかー」
そんな訳で俺はノースフェラトへとやってきた。
第四都市ノースフェラト、開拓済みではあるけれど道中は森に囲まれた山奥の都市……小さな町って感じの場所だ。
建物はログハウスで、なんて言うか……キャンプ場みたいな雰囲気があるかな?
こう、海外の映画にあるカントリーな田舎って感じの場所のようだ。
おお……湖まである。
住みやすさで言うと島のカルミラ島、草原のプラドとはまた別の良さがあって人気はありそう。
付いてきたメンバーは硝子、紡、姉さん、闇影、顔文字さん、らるくにてりすだ。
闇影の両親とロミナは商売関係での会議というか友人知人との情報交換をするとの話で別行動となった。しぇりるも何かあるそうでカルミラ島に戻ってしまった。
「ノースフェラトへようこそ! チュチュ!」
で、帽子を被ったリスの妖精……リスーカが都市のNPCとして配置されている。
「アレがリスーカかー……」
「そうそう」
「尻尾がくるっとしてて可愛いわねー」
「そうだな!」
てりすの評価にらるくが同意してる。
わかって言ってるのだろうか?
「このノースフェラトから少し移動した川で鮭が釣れるそうです。湖ではブラックバスが釣れるとの話でしかも定期的に釣り大会が開催されるイベントもありますね」
「おー……カルミラ島じゃ釣り大会なんて無いのになー」
ノースフェラトにはそう言ったイベントもあるのか。
「絆さんが居なくなったすぐ後にスズキを対象にした大会をペックルが開催してましたよ?」
「え? そうなの? なんで俺が居なくなった後にそんなイベントが……」
「アップデートで追加された形なのかと。ただ開催には一定人数のエントリーが必要らしいです」
へー……そんなのがあるのか。
「プラドの方では開けるのかのう?」
「水場少ないし対象の魚が分からないな」
スポーツフィッシング向けの魚、居たっけ? プラドの方で。
さてさて、急遽ノースフェラトにやってきた俺達だけど何もプラドのダンジョンでの釣りを無視した訳では無い。
しっかりとマグマでの釣りを行い、ヌシ釣りに挑戦……したんだけどマグマの中から釣れた魚は魔物枠だった。
ラーヴァガンフィッシュと言うマグマを撃ち出す魔物で釣ると同時に少し浮かんで襲って来た。
まあ……倒せない程の敵じゃ無く装備が潤沢だった俺達からすると雑魚で苦も無く倒せた。
戦う事無く釣れたのも居てロミナに土産に持って行ったら固有武器の素材に使えそうって喜ばれた。
他にもクレイさん達もポーションに使える魚だって説明されたっけ。
ヌシはラーヴァガンフィッシュだった。ヒョイッとあっさり過ぎる感じに釣れてしまって確認しないと気づけなかったくらいだ。
釣るための準備が大変故に難易度が軽めに設定してあったのかも知れない。
拍子抜けで虚しかった……ただ、何か他にもいるような気がする。
まだプラド草原のダンジョンに潜って居るプレイヤーは少ないので早い内にもう一度トライして探してみようと思う。
「そんじゃクエスト探してくるぜ! 絆の嬢ちゃんも何か見つけたら連絡してくれよ」
「じゃあねー絆ちゃん、ノジャちゃんー」
ビシ! っとらるくが俺を指さしてから走って行ってしまった。
「らるく達は落ち着きが無いなー」
「隔離されていたのですからしょうがないですよ。絆さんはさっそく釣りに挑戦ですか?」
「そうしたい所だけどまずは地形の把握をしてからが良いかな」
いきなり水場で釣り糸を垂らしてもね。じっくりと釣りをしたい。
千里の道も一歩から。しかも硝子が釣り上げ済みであるヌシとなるとまだリポップしているかも怪しい。
既に攻略済みの釣り場でも鮭とブラックバスとなると興味も湧くと言うものだ。




