入口封鎖
「そう」
「クリアタイムの競争もしてたはずでござるが結果はどうなるでござるか?」
「かなり圧勝じゃないか?」
何せ硝子があっさり弾いて像を破壊させてしまったんだし。
「では確認に早く行くでござる」
「そうね。フフ、クレイ達より私たちが早くクリアしちゃったら面白いわね」
いたずらをしてやったみたいな感じでミリーさんが闇影に答える。
まあ……クリアタイムは相当早いと思う。
そんな訳で砦の外に出るとらるく達が居なかった。
「おや? おかえり、もう帰ってきたのかい?」
ロミナが外で待っていたようだ。
「何か忘れものでもしたのかい?」
「いや、倒してきた」
「ずいぶんと早いね」
「そこは皆さんが来てから話しましょうか、ロミナさん。素材を預けておきますね」
「ああ、わかったよ。確かに倒してきたみたいだね。四天王素材があるね。しかもずいぶんと」
「メモリアルでシークレットだったみたいなんだよ。お兄ちゃん」
「ほう……もしかしたら各地の四天王のメモリアルクエストに絆くんは回ってもらうと良いかもね」
それもどうなんだろう?
「顔文字くんも同様の報酬が得られるかもしれないね」
「領地持ちの特権かー……」
「まあ、周回すればどんなプレイヤーも揃えられる素材であるのだしこの辺りは大きく有利にはならないさ」
で、素材一覧をロミナがチェックしてくれた。
「さすがに武具のドロップはしてないようだね」
「武具もドロップするんだ?」
「別の四天王だと極々稀にね。同様に四天王なら何か落とすだろう」
ちなみにほかのプレイヤーが周回した結果ドロップしたのは大地の鉄球という大きなモーニングスターだったらしい。
そんな代物もドロップするんだな。
俺たちは入手できなかったけどね。
顔文字さん達はメモリアルクエストに挑んでいるようで、しばらくしたら砦から出てきた。
「お? 絆の嬢ちゃんたち、もう終わったのか?」
「なんと、こっちも早くクリアできたと思ったんじゃが島主一行はもうクリアしておったのか」
顔文字さんが入り口で何か確認してる。
あ、クリアタイムとか調べられるのね。
「わらわ達よりずいぶん早いのじゃ。ここまでタイムを縮めるとは驚きじゃ」
「本当……あんた達にはテンプレのパーティー編成って無意味って行動で見せつけてくれるわよねー」
姉さんの呆れとも諦めともとれる言葉を投げかけられてしまった。
別にそこまでじゃないと思うんだけどな。
「そこは……硝子先生が起こした奇跡というか?」
「絆さん。なんでここで私を先生呼びするんですか」
そこは敬意を見せる形で言うのが礼儀って感じじゃない?
「硝子さんが敵の攻撃を受け持って下さいますので案外、バランスは良いですよ? 闇と私も魔法でサポートしますし」
ミリーさんの弁護がありがたいね。
「まあ……確かにバランスはそこそこあるのかもしれないわ」
「何より島主は超火力じゃからな」
「残念、今回俺はそこまで火力を出してません!」
ふふ、これは胸を張って言えるぞ?
だって俺が活躍したわけじゃなくて硝子がやり遂げてくれたんだからね!
「今回は絆さんの言い分を否定できないのが悲しい所でしょうか」
「一体どうやったんじゃ?」
「ダインブルグさんはどうも戦闘で私と相性が良くて弾くのが簡単なんですよ」
「そう? あいつ攻撃重くない? 重たいのは元よりジャストガードするの結構厳しいんだけど」
「はい。正直、何度やっても弾けますね。呼吸が合う形で簡単にできます」
硝子ととことん相性がいいみたいだね。とは俺も感じる。
安定感が果てしなかった。
某格闘ゲームの伝説の戦い、大会中に瀕死の状態で敵のフルコンボをすべてジャストガードしてからのカウンターをするかの如く、硝子はダインブルグの攻撃はすべて弾けるのだろう。
「それで?」
「突進攻撃を弾いたら運よくギミックの像にダインブルグさんが突撃してしまいまして」
「え? アレを?」
「ギミックが分かってやろうとしてもAIが意識的に回避するので上手く行かなかったのじゃ」
「多少安全地帯って程度の場所じゃね? 下手にあそこにとどまると掴み攻撃してきやがるぞ」
あ、一応対策はされてるのか。
「うん。そこに見事に硝子先生が弾きで誘導しちゃってダインブルグも必死によけようとしたけどドーンってね」
「ほー……それは凄いのじゃ。じゃからこんな短い時間でクリアできてしまったんじゃな」
「そういう訳、ちなみにとどめはブレイブペックル」
「防御しかできない奴がどうやったんじゃ?」
「ブレイブペックルの特殊攻撃の追撃が入ってダウン」
いろんな奇跡が重なった瞬間でした。
ってね。
「わー……本気で見たかったぜ」
「絆ちゃんたちは運が極まってるわね」
らるくが悔し気にしてる。
「そもそも隠しギミックなんて情報が出回っていないからね。広めればもっと容易く倒せるようになるのではないかね?」
「意図してやるのは至難の業じゃろうな。AIが避けるのじゃ」
「まあ、破壊じゃなく比較的危険な攻撃が来ない場所ってだけみたいだからね。再現は難しいって事か」
あくまで危険な斧攻撃をさせない為の安全地帯って位置づけだ。
封じるのが目的で破壊による自爆は狙えるものじゃないんだろう。
「何はともあれダインブルグをあっさりと倒したのう」
「そうだね。これで俺とミリーさんも留守番分は取り戻したさ」
「では次は島主が見つけたクエストの方に挑戦しようかのう」
「発見場所はこっちですが……受注場所はどこでしょう?」
ミリーさんが俺と一緒に落ちた場所へと案内してくれるが、そこの穴はふさがっていてヌシもまだ再出現していない。
「この砂地の下にある岩盤を破壊して入り口が開いたんだけど……」
「条件が特殊過ぎる場合は領地内の図書館などで受注できるはずじゃ」
「嬢ちゃんたちの島のクエストもそうだったろ? 幽霊船のクエストとかよ」
「そうだったけど……とりあえず岩盤があるかチェック!」
で、俺は砂に潜るルアーを取り出してキャスティング。
サーっとルアーが砂に潜って行くのでそのままリールを巻いて岩盤辺りを確認してみる。
んー……入り口らしき固い岩盤が無いな。
ちょっとだけ盛り上がってる所のはずなんだけど。
「なくなってる?」
「シークレットクエストじゃからのう」
「絆の嬢ちゃんはすでに攻略済みだからそこからは行けないって事じゃね」
「でしょ。さっさと図書館の方に行くわよ」
「はーい」
って事で俺たちは都市の方に戻って図書館から件のクエストを探して挑戦した。
結果だけ言うとクエスト自体はできたのだけど硝子と闇影の両方共、カースダイノが習得できなかった。
ボスを倒した際に呪いをかけられはしたのだけど硝子は呪詛付与と言う魂魄付与の呪い版みたいな呪いを使うスキルの基礎スキルを習得しただけだった。
闇影も同様だけど闇影の場合はミリーさんから貰った呪術書に記されているのと同じでしかもそこから魔法が派生したらしい。
で、武器が呪われるとかは無かった。
俺だけ武器が呪われてしまった状態だぞ……良いのか?
こうしてクエストを終えた俺たちはその足でプラド砂漠の城へと戻った。




