博物館
「ここがプラド草原での実績要素なんですね」
「そうなるかな」
まず俺達が向かったのはミリーさんがお勧めしている化石のコーナーだ。
いろんな恐竜の化石が展示されている。
ちなみにカースダイノキングは討伐した影響なのか化石が展示されてるぞ。
クエスト参加をしたお陰か報酬のコインを俺もそこそこ貰った。
「沢山展示されているでござるな」
「ブラキオサウルスまで展示されてるのよ? 凄いと思わない?」
ミリーさんが闇影に超巨大な化石を指さして聞いている。
まあ……メチャクチャ大きいな。
「こう言った巨大化石って博物館じゃ展示が難しいのよ? 単純にスペース確保が難しいのが大きいわ。天井とかも高くしないと行けないから」
「そうなのでござるな」
「ゲームだからこそ、こんなにも展示出来るって事ね」
まあ……博物館の内側の空間と外側の見た目が合っていないのはゲーム独自の四次元空間な感じだよね。
カルミラ島の水族館もそれだし。
「絆さん達と一緒に掘削して最初に見つけた化石がこのマイアサウラよ。良い母親トカゲという属名になった恐竜で、貴方に家出されて見つけた恐竜だから私……激しく反省したわ」
「……」
それ、自分の娘にも言うのな。
闇影、お前の気持ちは痛い程分かるぞ。
ミリーさん、何故自ら地雷を踏みに行った? 自虐なのか?
勘弁して欲しい。
『絆殿……ゲームの乱数とは恐ろしいでござる。こんな偶然は他者だと笑えるのでござるか?』
闇影のメールが俺に届く。
気付かれない様によく打てたな。
こういう所は今時の子って奴なのかね。
『安心しろ。俺達も気まずい、ミリーさんの一発ギャグだ。どうにかミリーさんを持ち上げろ』
闇影のヘルプに対してできる限りの助言を行う。
「も、もう気にしないで良いでござる。沢山、拙者の願いを叶えようとしてくれてとても嬉しいでござる。さあ、もっと教えてほしいでござる」
「ええ、まだまだ沢山、みんなで見つけたのよ。ふふ、恐竜の化石を見つける人をドラゴンハンターって言うのだけどお母さん、ドラゴンハンターになっちゃおうかしらね?」
「ゲームだと別の職業やスキルみたいでござる」
確かに、ドラゴンを狩る者って意味でドラゴンハンターだけど現実だと化石を探す人の事を言うんだな。
狩猟具のスキル持ちからすると……ってもしかして恐竜人っぽい奴等の化石ってそう言った意味で攻撃対象だったのか?
「そうね。でもお母さんが目指すのは恐竜発掘よ」
「闇影も化石掘りを覚える時が来たな」
ようこそ、化石掘り地獄へ。
魚の化石だとテンションが激しく上がるぞー。
ちなみにこの博物館にある魚の化石は俺が見つけたものだからな。
鮫の化石とか色々とあるぞ。
アンモナイトとかも当然ながらあるからな。
「少しは覚えるでござるが……」
「フフ、無理をしなくて良いわよ。貴方の好きな事をしなさい」
「はい……母上」
良いお母さんなんだろうとは思うけど……闇影、好きだけどちょっと苦手意識も持ってないか?
アレか? 甘えるのが苦手みたいな微妙な関係って奴。
俺達がいなくて困るのってそう言った親と仲良し接待もそれはそれで疲れるって事だったっぽいな。
とりあえずスキンシップをしっかりと取れよ?
ゲームが終わったら手を繋いで思い出話をしながら帰る感じの関係になるのだ。
「太古へと思いを寄せる……それも素敵なものですね」
硝子が化石のコーナーを見ながら聞いてくる。
「魚の化石を寄贈したのが絆さんなんですね」
「ああ、魚の類いはお願いして貰った」
「お兄ちゃん徹底してるね。で、お姉ちゃんは一体何をしてた感じ?」
「草刈りと料理、それとダンジョンでの物資調達、夜の防衛戦担当だったかな」
らるくも似た感じだったな。
一応てりすの手伝いで細工をしてたらしいけど。
「紡、アンタは戦闘だけでしょ」
「正解」
実際紡は島では基本、戦ってばかりだったもんね。
「最近はジャグリングを少し覚えたもん。賑やかにしてるから良いでしょ」
そう言えばここでパーティーした際に紡が宴会芸とばかりに闇影の演奏に合わせて後ろでやってた。
一応やっているんだな。
「俺が呼ばれる前に話してたのやってたんだな」
「もちろん、攻撃にも多少役立つスキルが出たよ。そのうち見せるよ。カマとシナジーあったし」
ほう……そんなスキルが出たのか。
「楽しみにしてるわよ」
「お姉ちゃんもスタンダードな戦闘以外に何かシナジーあるのを覚えようよ。私も覚えたんだし」
「それが分かったら苦労しないわよ。まあ、耐久系から攻撃系に切り替えるように何か覚えるのも良いわね。無難に槍辺りが王道かしら?」
ビッグブレイブペックルからビッグブレイブウサウニーに姉さんがなりそうだ、と内心思ったけどグッと堪える。
前回のディメンションウェーブイベントから考えてやりそうなんだよね。
姉さんの事だからさ。
「思うんだけど博物館って静かに見たい印象があるよね」
「そうだな。団体で来ると賑やかで雰囲気を壊しかねないのは否定しない」
太古の世界に思いを馳せる。って奴。
「ミリーさんからすると雑談は迷惑かな?」
「いいえ、私自身が解説をしながら見ているので楽しいですよ」
なんとも寛容な感じだなー。
クレイさんはそんなミリーさんと闇影を微笑んで見ているんだけどね。
「むしろクレイ、貴方も何か話とかしないのかしら?」
「うーん……生憎とここの博物館で私が話せる事はあまりなくてね。化石はミリー、作物は絆さんに負けてしまうよ」
「いや、作物のコーナーは顔文字さんに解説をしてもらわないと駄目じゃない? どんな作物を作ったのかの体験談とかをさ」
「絆さんの場合、水族館ではそんな解説してませんけど?」
言われてみれば魚を見ておしまいって感じで後は各自だったね。
「何処で釣ったかとか水族館で聞きたい?」
「大体どの辺りで釣ったのかは一緒に冒険してるので分かりますね」
「でしょ? 専門家じゃなくて釣り師なので魚の詳しい生態は分からないのも多いし……」
「じゃあ絆、カブに関する知識を披露してみなさいな」
「え? アブラナ科アブラナ属の越年草、発祥は地中海地域から世界に広まったとかそんな話だったっけな? アブラナ科なので小松菜や白菜と交雑するので注意。根っこの部分を食べると思ってるけど本当の根っこは更に下にあるヒゲの部分」
流れでサッと知識が出てしまった。
覚えている事を適当に言ったが、まるで情報サイトみたいな言い方になってしまった。
「詳しすぎるでござる! 父上に企画で農家になれと言われる理由に納得してしまうでござる!」
「嫌じゃ! 野菜なんて摘みとうない! 農業なんてやりto night!」
「なんでござるかそのボケは!」
闇影のツッコミが激しいなー……姉さんみたいな流しはしないのが実に闇影だ。
こいつの良い所でもある。
「適材適所という言葉があるが……絆くんは釣りより農業の方が向いているのが分かった様な気がする」
ロミナまで何を納得してるんだよ。
「どうよ」
姉さんも胸を張らないでくれない?
「やりto night?」
しぇりるの方は何に首を傾げてるんだよ。
で、闇影が小首を傾げるしぇりるに何かメールを送ったっぽい?
するとしぇりるは納得した様に頷く。
「なるほど、同音ギャグ」
いや、そんな納得されても悲しいからね。
別に渾身のギャグって訳でも無いし。
「どうよ? みんな絆の将来に納得したんじゃない?」
「だから興味が無いって言ってるじゃないか」
「絆さんは多芸ですね」
「いや、多芸って言う程じゃないと思うよ? 昔やったゲームの杵柄って奴だし」
「ここまで謙遜されると嫌みに感じる次元でござるな」
闇影、お前程じゃないと思うぞ?
甘めに見る親の目ってのもあるが、色々と習得してるしお前の実年齢から考えて随分と上にサバを読んでるんだから。




