再会記念
「絆ちゃんはね……」
「そうじゃな……枯れた仙人じゃからな」
てりすと顔文字さんが何か黄昏れて頷いてるけど、おかしい事は言ってないじゃないか。
「姉妹以外の全てのリアルを子供部屋おじさんという前提で相手をしておるのじゃぞ」
「こ、子供部屋おじさんじゃないでござる!」
闇影が突っ込んで来た。
本当、お前はツッコミキャラが様になってきたな。
「子供部屋おじさんとは?」
硝子の方は小首を傾げている。
純粋で真面目な君で居て欲しいね。
「子供部屋おじさんって言うのはだね……」
ロミナ、別に解説しなくて良いから。
しぇりるもパッと出てこなくて小首を傾げてたけどね。
「子供部屋おじさんはともかく、絆の嬢ちゃん達って本当、芸人みたいな一族だな」
らるく、なんでそうなるんだよ。
ここには居ないアルトの美味しい役所を再現してやっただけだろうに。
「彼なら素でやり遂げる位には商人であるのは否定のしようがないね。確かに居ないのが惜しい所ではある」
「個人的には教えないでほしいでござるな。アルト殿のリアルで関わると面倒そうでござる」
闇影もその辺りは理解して居るのね。
「まあ、アルトの代わりにうちのギルドの管理をクレイさんに委託お願いして良いか? 闇影」
「良いでござるよ。こういう管理も好きなのを知ってるでござる」
金勘定も趣味なのね。クレイさん。
アルトの抜けた穴がどんどん塞がっていくな。
もう死の商人はお払い箱となるか。
早く帰ってこないと冗談じゃ済まなくなってくるぞ。アルト。
「少し話は戻るけど、そうだね。絆さんを含めてエクシード家の者たちにはリアルで私の企画に参加検討しても良いとは思ってるよ?」
「ち、父上!?」
闇影がクレイさんの言葉に驚きの声を上げる。
「それくらい面白い所を持って居ると思っているだけさ、具体的には顔文字さんと絆さんで田舎生活をさせてみるとかね」
「……」
闇影、深く考えなくて良いから。
「確かにそれだけの能力があるのだったら編集次第で上手く行くかも知れないでござる」
「納得しちゃうのかー」
俺は農家になる気は無いんだけどなー。
「のじゃ?」
「ノジャの農業欲求が尽きてなければ行けるんじゃないの?」
「俺はー?」
「アンタの根気が尽きると言う概念は無いわ」
そこまでじゃないと思うのだけどなー。
「話が脱線してるけど闇影、お前は今後はどういった方針で行きたいんだ?」
「そうでござるな。出かける時は相談して場合によっては一緒に冒険したいでござるが常時じゃなくてもイイでござる」
「その心は?」
「父上と母上も休暇が必要でござる。拙者の相手だけをしてるとそれはそれで疲れてしまうと思うでござるよ。休暇の意味でこのゲームをプレイしているでござるからな」
おお、なんか随分と配慮が行き届いた考えだな。
子供らしくない返事とも言える。
「そんな訳だから必要だったら何時でも誘ってくれて良いからね」
「そうね。出来れば一緒に遊びましょうね」
「うん……」
闇影が演技をせずに両親の言葉に頷いている。
本当に子供なんだなー。
……ある件に関してとりあえず闇影に手招きをしておこう。
「?」
闇影が小首を傾げながら俺に近づいてくるので内緒話をするように耳打ちを行う。
「とりあえず闇影、お前の設定したキャラクターをあの二人は演じているのはわかったな?」
「うん。父上と母上をイメージモデルに作ったでござる」
「その件で母親のキャラ造形にちょっと口出しするぞ? 主に妖艶って所。ミリーさん、絶対に間違って認識してるからその辺りのキャラ設定はしっかりと話し合っておけ」
と、俺は闇影にミリーさんと二人きりになったときの悪乗りに関して報告しておいた。
クレイさんは聞き流してたけど今後の事を考えると非常に悪い事になりかねない。
「わ、わかったでござる。後で母上にしっかりと話をしておくでござる」
「それと母親はかなりの恐竜マニアだな。楽しみにしてろよ?」
きっとこれから闇影はミリーさんに博物館に案内されて色々と化石談義を聞かされるぞ。
システム以上に詳しいから間違い無く化石マニアだ。
思えば中々面白い家族をしてるな闇影は。
「そこは知ってる。家に恐竜の本がある」
ああ、そうなのね。
「何にしても一件落着だな。みんな自己紹介をした後、今度ともよろしくお願いする」
「なのじゃ」
「ええ、よろしくお願いしますね」
って事で俺達は改めて自己紹介をした。
同盟関係なんで移動に関しちゃそこまで不便じゃ無いな。
「そんじゃ絆の嬢ちゃんのところの連中とも合流したし、パッと派手にパーティーをしようぜ。社長夫妻と娘さんの再会に乾杯! ってね」
「もー、らるくったら……ま、私も良いと思うわよ。闇影ちゃんとクレイさん達の為に頑張っちゃうわよー」
「ま、面倒な娘さんがサクッと見つかって良かったわ。それじゃ私たちが料理するからやって行くわよー!」
そんな訳で俺達は再会記念と言うわけで開拓地にプレイヤーが来ても城で賑やかにパーティーを開催したのだった。
もちろんプレイヤー達も到着し新たな街での出来事を堪能し始めた。
同盟都市なのでアクセスが良く設定されているとか。
「おー! これがウサウニーか」
「素直に可愛いデザインしてるー」
「ペンギンかリスかウサギか……」
ペックルからウサウニーの雇用に鞍替えするプレイヤーは結構多いらしい。
まあ、その辺りは個人の好みかな。
で、来訪したプレイヤーは……多いと言えば多いがカルミラ島の頃よりは心なしか少なめだ。
「思ったより人が来てないな」
「まだまだ各地を探索しているプレイヤーが居るからでしょうね」
「カルミラ島は中継地としての側面が強かったのが大きいと思うよ。第四都市も似た感じで思ったよりプレイヤーが来てなかったし」
ふむ……その辺りは色々と問題としてあるのかな?
「カルミラ島も人の出入りは安定してきましたよね」
「でも四天王との再戦ダンジョンがここにもあるんでしょ? カルミラ島は行きづらいって感じでバランス取ってるみたいだし」
「一応な。カルミラ島にはそう言った難点があるのか」
後で確認しなきゃ行けなさそうだ。
「ならいずれ来ると思うよ。他にも行ける範囲が大幅に広がるのが分かってるし、今は行ける所が多すぎになってるだけだよ」
そんな物なのかね。
世界は冒険で溢れてるって事でよさそう。
「お兄ちゃん! 私たちも四天王の再戦ダンジョンに行ってみたい」
「俺は島主だから行けなかったんだよな。後で行こうか」
「ええ、是非とも連れて行って欲しいです」
硝子と紡も色々と堪能しているようで何よりかな。
「それじゃあ皆さん。この草原の名物になる博物館を案内しますねー」
ミリーさんの案内で俺達は博物館へとやってきた。
俺は時々出入りしてるので目新しい要素はあんまり無いけどね。
顔文字さん達は各自別行動で見てまわるそうだ。
「当博物館へようこそピョン。あ、領主様のお友達ピョン? ではフリーピョン。どうぞお楽しみにピョン」
受付のウサウニーがそう答えて俺達は博物館へと入る。
「博物館か……」
「一応博物館だけど展示物には植物館のコーナーも併設してるな」
顔文字さんが育てた野菜なんかも博物館のコーナーの半分を占めている訳だし、正確には博物館なのかというと怪しい所は大きいか。
あ、てりすの発掘した鉱石も展示されているので……カルミラ島よりもコレクション類は大きいかも?
そういやカルミラ島にも小さな博物館があった気がする。
島でしか採掘出来ない鉱石の展示とか島の歴史とか。
郷土資料館扱いだったのか?




