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奏爆弾


「やあ、絆くん、おかえり」


 で、若干お疲れと言った様子のロミナもやってきた。

 いや……ゲームのアバターなんだから表面上は分からないはずなんだけど分かった。

 きっと声に元気が無い所為かな。


「ただいま。ロミナ、悪かったね。ペックル借りちゃって」

「そこは問題無いよ」

「それは良かったけど……なんか疲れてる?」

「まあね。アルト君が抜けた穴というか尻拭いに追われててね。子飼いの連中に任せてしまっているのだけど各部署でいろいろとね。鍛冶にもそこまで打ち込めなくてさ」


 色々と困っているみたいだな。

 なんだかんだでアルトも必要とされていたって事なのかね?


「そもそもアルトの奴、本気でどこに行ったんだろうな? いい加減帰って来てると思ったのにな」

「開拓地……では無さそうだと私も最近思い始めているよ」


 そうだよなぁ。

 開拓地に呼ばれるのにも条件があるみたいだし。


「まあ何はともあれ第六都市の開放をしたからみんなで遊びに来てくれよ! 色々と手土産もあるしさ」


 出来ればロミナに呪われた武器に関して見てもらいたい所ではある。


「後はそうだな……ロミナがアルトの代わりに管理して疲れてるならあっちの管理担当に手伝いをお願いしても良いかも知れない」

「ほう……それは助かるね。誰だい?」

「アルトのライバルで有名な人らしいよ」

「ああ、あの人か。確かに彼なら人柄も良いし信用もあるから委託するのは良いかもしれない。むしろアルト君より信用出来るかな? いい加減彼の代行も面倒なんでね」


 ロミナがまたアルトの所為で病み始めている。

 アルトの居場所を最低限守るのもそろそろ潮時か。


「みんなの方は何かあった?」

「ここに来る途中で見たと思いますが、カルミラ島と第四都市で四天王の襲撃イベントが発生しましたね」

「ああ、やっぱり? こっちでも来たんだよね」

「開拓中でも発生してるのですか?」

「そう、しかも解放クエストの邪魔までされて四天王討伐をしなきゃいけなかった」


 俺はまだやっていないクエストだけど、こっちでやらなきゃいけないんだろうな。


「何にしてもプレイヤーが来るまでの間に第六都市を見に来てくれよ。最初は砂漠だったけど復興した瞬間草原になって緑に覆われてるからさ」

「わかりました。じゃあ皆さん行きましょうか」

「わかったでござる」

「そう」


 硝子と闇影、しぇりるは同意してくれた。


「ちょっとした息抜きと委託がお願い出来るか相談するか」


 ロミナにクレイさんを紹介しないとね。


「あら? もう行くの?」


 姉さんと紡が移動を決めた俺達に声を掛ける。


「まあね。姉さんと紡はどうする?」

「行くに決まってるよお兄ちゃん。ねえ何か目新しい強い装備とかある?」

「品揃えそこまで差は無いと思うぞ? メモリアルクエストで四天王素材を稼ぐとかじゃないか?」

「なるほど、確かに欲しいね!」


 ロミナに作って貰うことになるだろうけど、きっと強力な品になるはずだ。


「とはいえプラドで戦ったのはダインブルグだけどね」

「あー硝子さんが大活躍した相手だね。ちょっと素材足りなかったし行っても良いかも」

「そう言えば……セン地方って所、みんな知ってる?」

「はい。絆さんが居なくなってから第四都市が開放された所でプレイヤー参加の解放クエストであっさり開かれました。第五都市ですね」


 わー……だから第六都市なのかプラドは。

 拠点のうま味ってあるのかよく分からないな。


「ただ、やや辺境風味で皆さん狩り場として厳しい感じです」

「そうなのか」


 とりあえず世界が開けてるって程度なのかな?


「難易度が高いところに行けば厳しくなるとは思うけどね」

「ま、後で行くとして早速案内するからな」

「ええ」


 と言う事で俺達は合流後、早速プラド草原へと飛んだ。




「ここが絆さん達が呼ばれた開拓地なんですね」


 プラド草原に飛んだ俺は硝子達を連れて町へと案内する。

 まだプレイヤー達が到着していない空いている今だからこそゆっくりと説明出来る。


「うん。どう?」

「緑がどこまでも続いていて素敵な場所ですね」

「元々は砂漠だったんだけどね。今でも一部は残ってるけど、ほとんど草原になっちゃった」


 ここまでガラッと変わる開拓地も中々凄いのではないだろうか。


「町も幻想的ですね。カルミラ島も参考にしますか?」


 砂漠に合わせて作られたから無骨な石作りの建物が多いけど草が生い茂ったお陰でそれはそれで味のある町になったと思う。


「リニューアルオープン」


 しぇりるがなんか言ってる。

 うーん……それも良いとは思うけどかなり面倒な作業になるぞ。


「ここの開拓生物はウサウニーでござるか」

「ああ、俺は変更出来ないみたいだけどな」

「絆さんのギルド員はペックルから変更出来ない様ですよ。変更したい場合は他のギルドに行かないといけない様です」


 ああ、そう言った制約があるのか。

 リスーカ辺りで検証されたんだろうな。


「相変わらず絆さんはここで釣りをしていたそうですが、どうですか?」

「色々とヌシを釣った。一番乗りだぜ。後で水族館で説明するよ」

「はい。私も絆さんの代わりに釣ったヌシを説明しますね」

「おう!」


 硝子は俺を理解してくれるように努力してくれて嬉しいな。


「ここの開拓だと俺は戦闘担当にさせられちゃってさ。俺のプレイヤースキルと運動神経で戦闘とかお笑いだよな」

「アンタがそれだけ馬鹿火力だからでしょう」

「お兄ちゃんが居なくなった瞬間、強くなったら居なくなるフラグって話したよね」


 やっぱり言ったか!

 死ぬか裏切るんだろう。


「そうでござるな、ここで絆殿が居なくなるとかお約束も良い所でござった」

「そう」


 闇影としぇりるも同意か。


「じゃあ俺の火力に大分みんな追いついた感じ?」

「どうでしょうね。個人的にはまだ絆さんが勝ってると思いますよ。そのまま上げていたのでしたら」


 あー……狩猟具のスキルは戦闘で条件満たしたのであげてるんで倍率は少し成長してるな。


「何にしても俺は釣りがしたい」

「絆さんは相変わらずで何よりです」

「池と……畑が目立つね」

「ああ、ここじゃ農業がメインで行われてる開拓地なんだ」

「絆は農業に詳しいのよ」


 ここで姉さんが補足してきた。


「確かにちょっと仰っていた事がありましたね。どれくらい詳しいのですか?」

「農家をやれるくらいには詳しいわよ、この子」

「イヤでござる! 俺は働かずに釣りをしたいでござる!」

「拙者の真似をしつつアングラなネタを言わないで欲しいでござる!」


 だって農業は俺のやりたい事じゃないもん!

 顔文字さんに徹底的に教えた後は丸投げしたんだもん。

 実際、顔文字さんも法則さえ理解したら上手くやってたしさ。

 やっぱりこういうのってやりたい人に任せるのが一番なんだよ。

 その方が覚えるのも早いしな。


「姉さん、あんまり弄るとあの件を広めるからね」


 ケミカルアシッドボムトマト……通称奏爆弾の事をね。


「言ったら転がすわよ? 絆」


 ふっ……姉さんに脅しは通じないか。

 むしろ言ったら俺の方がやばいかもしれない。


「なになにー?」

「アンタには絶対に教えないし知ったら転がすから覚悟しなさい!」


 紡に対して風当たりが強いなー……まあ、スピーカーだもんね。

 次のディメンションウェーブとかで絶対に姉さんからかわれる事になるだろう。

 それくらい便利すぎる野菜になった。


「えー……酷いなー。私だって冗談で済むか判断するよ?」


 確実に冗談の範疇だろうな。

 つまり知られると弄られる事になる。

 あの温和なクレイさんやミリーさんまで使っているネタなんだぞ?


「大抵の事を冗談で済ますアンタには知られる訳にはいかないのよ」

「ひどーい」

「まあまあ」


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