第六都市
ポーンと紡を個人指定でチャットっと。
「もしもし? お兄ちゃん? いきなり連絡来たけどタイミング的に第六都市の開拓に呼ばれてたの?」
「やーやー紡ー? 俺の友達の領地みるー?」
「紡ー私の友達の領地見る―?」
姉さんもチャットに追加参加している。
おいやめろ。完全に同じ会話パターンじゃないか。
「今度はアンタを仲間はずれにしてやったわ! プギャー!」
「ちょっといきなり来て言う事ソレ?」
確かに……姉さん、誘わなかったこと根に持ってたんだなー。
「硝子さん達、お兄ちゃん居なくなって探してたよ? すぐに開拓地に呼ばれたんだろうって結論になったけどね」
「まあね。俺もすぐに硝子に連絡取ろうとしたら姉さんが紡に連絡入れろって言うからさ」
「そうよーアンタ以外にこんな会話送るわけないじゃない」
「だからっていきなりプギャーって……」
これから顔文字さんを見る事になる伏線だろうか。
意外と細やかな配慮……ではないな。
「お姉ちゃんを仲間はずれにしたのはお兄ちゃんでしょうに」
そうだね。
まあ姉さんをあそこで誘ったら何言われるかわからないからだけどね。
「良いのよ! 私は絆よりアンタの方がむかついたのよ」
「というか、なんで呼ばなかったの?」
「一度呼ぶと呼べないらしいのよ」
「ああやっぱりそうなんだ? そうなんじゃないかって推測はしてたよ」
さすがゲーマー、みんなよくわかってるな。
説明しなくても以前出来た事が出来ないって事はフラグが関わっているとか考えてくれる。
「ただ、アルトさんの例があるからどうなのかわかってなかったよ。いるの?」
「いや、いない。少なくとも呼んでないってさ。その件のアルトは帰ってきたか?」
「ぜーんぜん」
ふむ……アルトは相変わらず行方知れずのようだ。
一体何処に行ったんだ、あの死の商人。
「ロミナさんが育ててたペックルを取られた言ってたよ」
「そこは謝る」
「そこまで困って無さそうだったよ。定期的に返してはくれてたし」
ロミナのペックルは常時呼んだりせずに定期的に帰還はさせてたからな。
これは簡易的な連絡手段でもある。
「硝子はそこにいるか?」
「ううん。私一人でお出かけしてた所にチャット来たからいないよ。硝子さんに連絡しようと思ってた所」
それは何より。
紡と硝子が一緒だったらちょっと気まずい状況になる所だった。
「そんじゃ姉さん。紡への連絡はしたから硝子達に連絡して良いよね?」
「良いわよ」
そんな訳で硝子へとチャットを飛ばす。
「絆さん!」
お、すぐに反応が返ってきた。
「おっす硝子、いきなり居なくなって迷惑を掛けたな」
「都市解放からすぐと言う事はやはり第六都市の開拓地に呼ばれていたんですね」
「まあね。そっちの調子はどう?」
「色々ありましたので説明するのが大変です」
まあ、そりゃああるよね。
俺もこれまでの事を全部話すのは時間が掛かりそうだ。
とりあえず……俺が一番気になる所を硝子に聞いておこう。
「それで硝子、早速で悪いんだけど確認して良い?」
「なんですか?」
「アップデートで行けるようになった水場のヌシはどうなってる?」
俺の質問に硝子は若干の間が発生する。
「アンタ、常時それよね」
後ろで姉さんが何か言ってるけど気にしない。
「絆さんが開拓地に呼ばれた際は行きたくても行けないのだろうと、せめて私に釣り上げて欲しいと思ってそうだと思いまして各地で挑戦しましたよ」
「ナイス! 俺の事分かってくれて嬉しいよ」
親指を立てて感謝の言葉を投げつける。
「しばらくして絆さんのファンクラブの方々が心配してくださいまして、事情を説明したら各地の釣り場に適した仕掛けの助言もして頂いて、時々ですがヌシを釣りました。第四都市の釣り場のヌシは私が最初に釣っておきました」
うっ……あんまり関わりたくない連中だけど硝子に協力してくれた件は感謝をするべきか。
話を聞く限りなんだかんだで良い奴等なのかもしれない。
ノリが良過ぎるって奴なんだろう。
「第四都市を開拓してた方々は釣りはしてなかったようです。後でどの釣り場で何が釣れるのか教えますね」
「ありがとう。持つべきものは心の友の硝子だね」
「なんだか少し引っかかるような気もしますが満足してくださって良かったです」
いやー割と本気で助かったよ。
どこの誰とも知らない奴に釣られる位なら硝子に釣って欲しかったからね。
「硝子さん、絆は本当、釣りしか考えてなくてね。仕事はちゃんとしたけど後はずーっと釣りをしてたのよ? 終いには砂漠やマグマで釣りまでし始めてね」
「……それ、釣れるんですか?」
「もちろん釣ったぜ! まだ釣りきれてないから後で挑戦するよ」
ダンジョンのマグマにいる魚にはまだ挑戦してないもん。
とりあえずラーヴァブルーギルを硝子に見せてやる。
どうだ? これがマグマで釣れる魚だぜ硝子?
「ファンクラブの方が考察にあげてましたけど既に絆さんが釣り上げてるんですね」
ふ……釣りに関しちゃ時代の最先端でありたいものだ。
「ネズミ釣りはしてませんよね?」
「してないよ!」
サソリ釣りはしてしまったけどね。
「まあいいや。とりあえず合流しようか移動する道具があるからカルミラ島にすぐ行ってこっちに来て観光しようぜ」
「わかりました。じゃあ皆さんを呼んでおきますね」
「おー!」
って事で一旦チャットを終わらせる。
「そんな訳で俺はみんなを連れてくるね」
「わかったのじゃ。島主を無断で借りたことを謝らねばならんからのう。茶の準備をしとくのじゃ」
「おー硝子の嬢ちゃん達もここに来るのか、賑やかになるぜ」
「そうねー! 今日は派手にパーティーしましょう!」
顔文字さん達の許可を得てから俺はカルミラ島への帰還の書を使って帰還する。
ちなみにクレイさん達は外で委託していた部下にチャットで連絡しているようだった。
ゲーム内でも商人として顔が広かったみたいだからなー……これからはライバルって事になるのか?
いや、アルトがいないしロミナに相談する事になるか。
なんて思いつつ懐かしのカルミラ島に帰還した。
なんか大砲とか各地に設置してあるような?
ペックル型のグッズもある。
「ただいまー」
「おかえりなさい、絆さん」
「絆殿が帰ってきたでござる!」
「帰還……」
硝子、闇影、しぇりるが出迎えてくれた。懐かしい面々だな。
「お兄ちゃんおかえりー!」
「帰ったわよーちゃんとご飯食べてたのアンタ?」
で、紡と俺が連れてきた姉さんが再会していきなり姉面で接している。
確かに内のパーティーの料理担当が抜けてしまったので穴が恐い所か。
「そこはロミナさんのツテで料理は貰ってたよ」
「ですが絆さんと奏さんがいないと寂しい食事でしたね」
なんとも嬉しい反応をしてくれるね。
それで……装備に変化があるのかと思って見たけど……あんまり変わってないぞ?
「みんな装備更新してる?」
「してますよ。ただ、見た目装備が大分広まっていて、気に入った装備を重ねて使っているんですよ」
「ああ、やっぱりそうなんだ? 俺もやっとの事サンタ帽子から卒業出来たよ」
ずっとクリスマス装備ってのもね。
って喜びを伝えようとしていたのだけど硝子が何故か顔を逸らす。
「時々で良いからサンタ帽子を見せてくださると良いと思いますよ」
「なんで? 硝子、顔を逸らさないで? お願いだから……何が理由なのか教えてくれないかな?」
割と本気で気になる。
それとも俺はサンタコスプレがそんなに似合うのだろうか。
「あー絆ちゃんだー! 絆ちゃんが帰ってきたでござるー!」
闇影じゃないござる口調の奴が遠くで俺を指さして叫んだ。
「緊急! 緊急! 絆ちゃんの帰還を確認! ギルドの皆に報告!」
……絶対にファンクラブの連中だ。
間違い無い。
これで連絡が行き届いてしまうのか。
「絆殿は有名で人気が高い事がいなくなって判明したでござるからな……拙者達もいろんな所で聞かれたでござるよ」
「……そう」
闇影としぇりるがメチャクチャ遠い目をしてる。
なんでそこまで俺に人気が出るわけ? 本気で理解出来ない。




