友好都市契約
「他のプレイヤーが侵入出来るか試したけど上手く行かなかったね。メモリアルクエストになるのを待つしか無さそうだ」
「種族スキルと武器のユニーク化ね……アンタ、つくづくこのゲームだと運に恵まれてるわよね」
「接待ネトゲじゃ無いから! 信じて!」
「開発者の癖というか歯車がかみ合ったのかしらね。クレイの話だと色々と変動が掛かるみたいだけど」
俺の望んだようなイベントじゃなく、結果的に得になっただけでしかない。
そこだけは譲れないぞ。
「とりあえず姉さんが使えそうな剣が手に入ったからどうぞ」
「はいはい。地味に優秀そうな剣だし、みんな使って無いから貰って置くわよ」
よーし、これである程度話題はそらせたよな。
俺としてはヌシを解体出来なかったのはかなり痛い損失なんだぞ。
「それで呪いじゃったな」
「うん。顔文字さん治せる?」
「ふむ……ちょっと島主の状態を確認させて貰うのじゃ」
顔文字さんが俺の状態を確認している。
が……少しして頭を横に振る。
「ダメじゃな、わらわが解けるようなシステムの呪いでは無い様じゃ。どちらかと言えばイベントフラグに近い固有効果のようじゃ」
「うわ……」
解呪が難しいタイプか……あり得るとは思ったけど、案の定か。
「武器の方は専門じゃ無いからわからん」
「ロミナに再会したら相談してみるよ」
「それがよいじゃろうな。検証して便利じゃったら使えば良いのじゃ」
「そうさせて貰うよ」
ただ、呪いってのはどうにも気持ちの悪い要素が付いてしまったなぁ。
「何にしても帰ろうじゃ無いの。やっとここから出られる事になるんでしょ」
「そうだね」
やっと硝子達と合流出来るし新天地の釣り場に行けるぞ。
マグマ釣りも出来るし出発前にダンジョンのマグマで釣りはする予定だけどね。
こうして俺はみんなにネタにされつつ拠点の城へと戻った。
「よくぞ魔王軍を退かせたピョン! しかも大地の奥深くに根付く呪詛さえも取り払い、砂漠化の根本的な原因まで解決するなんて凄いですピョン。魔王軍が原因だと思ってたけど他にも理由があってボクも驚いたピョン」
ってサンタ帽子ウサウニーが城に戻るなり立て続けに説明を始めた。
ここでみんなの視線が再度俺へと集中する。
「この地が遙か昔の緑溢れる地になったのは領主達のお陰ピョン! 魔王軍を退かせるより緑が溢れたピョン」
「表でわらわ達が活躍している裏で島主は隠しクエストの達成じゃな」
だーかーらー原因は俺だけじゃなくミリーさんにもあるでしょうが。
うう……後は気楽に釣りだけしてれば良いと思ったんだけどなー。
「これも全て、みんなのお陰ピョン! 完成式典が催されるピョン!」
「後はワラの嬢ちゃん。ちゃんと拾わねえとな」
「わかっておるのじゃ」
サンタ帽子ウサウニーに向かって顔文字さんやらるく達が凝視してる。
開拓完了を喜ぼうよ……とは思うけど俺の被っている頭装備の性能が欲しいのだろう。
顔文字さんはウサウニー使いとなる訳だし、この地に来た段階でペックルを使って居た人はウサウニーにコンバートされちゃうそうだから。
されないのはペックルの雇用主である俺くらいなものか。
ペックルとウサウニーだったらユーザーはどっちを選ぶんだろうなぁ。
外界だと現状はペックルと……確かリスーカか。
どれが人気になるものかね。
やがてサンタ帽子ウサウニーがするっと帽子を脱いで王冠を取り出す。
ポロッと地面に帽子が落ちたな。
「今じゃ! ゲットー! わらわも帽子ゲットじゃー!」
顔文字さん。もう少し空気を読んで静かに拾ってくれない?
さっそく被らなくて良いから!
「ボクはここでクラスチェンジするピョン! カルミラ島のペックル達もありがとうピョン!」
「ペーン!」
クリスが元サンタ帽子ウサウニーのキングウサウニーとハイタッチをする。
専用モーションっぽいなー。
「この都市への道も既に作られている……これでやっとこの地も外界との繋がりが復活すると思うピョン!」
この辺りはカルミラ島の開拓完了時と変わらないかな。
どうにか開拓が完了して良かった良かった。
「それでここからは商談の話ピョン! 領主様はこの地の殆どの権利を持っているピョン。それはこれから来る来訪者達を歓迎し、彼等がこの地の設備を使う事で使用する金銭の一部を貰える権利でもあるんだピョン」
「領地持ち特権って奴だね」
「ただ、カルミラ島の島主と共に開拓をしたのでその収益の一部は支払う事になるピョン。友好都市契約も結ぶことが出来るけどするピョン?」
ん? なんか違う台詞が出てきたな。
「友好都市なんて設定も出来るのか」
「どんな事が出来るのかのう?」
「物資の交易が可能になるピョン。カルミラ島でしか手に入らない品を含め交流で得られる品にボーナスが入るピョン」
あ、説明故に色々と細かく答えてくれるようだ。
顔文字さんと俺に各々ウィンドウが表示されている。
ちょっと面倒なのでクレイさんに送って確認して貰おう。
「ふむふむ……どうやら友好都市の関係を結ぶ事で色々とメリットが発生するようだよ。高速便なんかも建築出来る様になるね」
「へー」
「悪くないのではないかの」
「交易限定で入手出来るアイテムも発生するようだし、悪くは無いね」
なるほどな……俺も参加した意味がここで行われるのかな?
「本来は友好都市にするには色々と面倒な条件をクリアしないと行けない様だけど、開拓時から携わったお陰で特例で友好都市に出来るようだね」
ほう……となると第三都市カルミラと第四都市ノースフェラトは友好都市になるには時間が掛かるって事か。
「その前に仮とは言え、領主様の仲間達にはギルドを設立して欲しいピョン。さあ、玉座に座るピョン」
「あれ? ギルド設立?」
既にギルドシステムは実装されていて顔文字さんはギルドを所持して居るはずじゃなかった?
開拓時に解散されるのか?
「顔文字さんギルドマスターじゃ無かったの?」
「あー……マスターではあったのじゃがな、奴等がわらわを罵倒した際にマスター権限を寄越せと言うので面倒になって渡したのじゃ。その後すぐに姿を消しての。わらわも除名されておった」
と言う事は顔文字さんはフリーな状態だったのね。
「んじゃ改めて設立する事になるわけか」
「ノジャ子は有名だから開拓が終わったらすぐに人が集まるわね」
そう言った姉さんに対して顔文字さんは困った様に苦笑しながら首を横に振った。
「いや、さすがにわらわも大規模ギルドの運営はこりごりじゃ。ギルド管理をするとしても小規模で行こうと思っておるよ」
「そうなのか」
「うむ。正直、島主くらいの親しい者たちとエンジョイ生活をしたいと思っておる。もちろん島主達とも一緒にの」
まあ、ここで知り合ったのも何かの縁、顔文字さんクラスのプレイヤースキルを所持した人が居れば頼もしい限りか。
「もしくはクレイに一任じゃな」
「私はギルド管理はしてないのだけどね。あくまで商人組合としてグループを独自に作ってるだけだよ」
「ここで商人ギルドとしてやるかの?」
「少し考えさせて貰って良いかい? とりあえずノジャくんのギルドには所属させて貰うつもりではあるけどね」
クレイさん達の目的は娘を見つける事だからね。
城の持ち主と親しい関係で居たいのが本音なのだろう。
「うむ。最初の話通り城が欲しいのなら好きに使ってくれて良いのじゃ」
「ありがとう。じゃあ話を進めるけどギルド名はどうするんだい? ノジャさんが固定化されているようだよ」
「そうじゃな……何が良いかのう」
「『m9(^Д^)と愉快な仲間達』はどうかしら?」
姉さんがそう提案した。




