呪われた武器
「リザルトを確認するとマップ解析率。施設使用率は大分私が稼いで居るみたいです。とはいえマップ解析率は7割と言った所のようですが」
「あんまり寄り道しないで来ちゃったからな……施設利用率……ショートカットは減点なのか加点なのか」
「加点っぽいですね」
へー……加点なのか。
「やはり戦闘関連は絆さんが飛び抜けてますね」
「ゲームを始めた頃には考えられない戦績に俺も驚かされてる」
俺がここで活躍するとかね。
知恵を駆使して上位に差し込んでいたのにごり押しが多いよ。
「それより絆さん。大丈夫でした?」
「うん。呪いを受けたけど……スキルを習得させられた」
「どのようなスキルですか?」
「カースダイノってスキルでエネルギーと呪いのゲージを消費して影から恐竜を出して攻撃する種族スキルらしい。自動習得でマナは消費してないけど外せない感じ」
「試し打ちは出来ますか?」
「えーっと……習得したばかりでゲージが溜まって無い」
ゲージが新しく出てるけど溜まってないのか使用出来ない。
これってどうしたら溜まるんだろうか。
時間経過か? それとも特定の動作で溜まるのかこの辺りは検証しないといけない。
ただ……この呪いゲージって貯めて大丈夫なのか?
色々とペナルティが発生しそうでイヤだな。
「大丈夫なのでしょうか?」
「うーん……能力低下とかの効果がありそうだけどそこは検証しないといけないかな」
俺は呪われてしまったって感じだ。
「ノジャさんが聖なる魔法を習得してますので解呪が出来るかも知れません」
「確かに」
専門家が俺の友人に居て良かった。
「ですが呪いですか……逆に呪いを所持したままだと普段起こらないイベントとかもありそうですね」
「ああ……そう言った要素がゲームによってはありますね」
非常に悩ましい要素だね。
「俺はそう言ったイベントに興味無いので解呪出来るならしちゃうかな」
「あらま、絆さんは現実的ですね。奏さんも効率主義なので似てますね」
ロマンを求めるのは紡かね。
俺もロマンは求める方だけどあくまで害が無い範囲で遊んでると思う。
「さて……クエスト報酬の獲得アイテムとかあるかな」
「あるようですね。私は……呪術書・恐竜魂というアイテムです。魔法書系列みたいですね。他に素材のドロップもあるようです」
「お? 結構良いモノが貰えてそう」
「絆さんの習得したスキルもここにあったりするかも知れないですね」
そう言った簡単な代物だったら良いなー。
で、俺も確認っと。
――所持している武器の一つが太古の恐竜王骨の剣(呪)に変化しました。
ちょっと待て!
恐る恐る確認すると……白鯨の太刀が見知らぬ武器へと変化している!?
勝手に変えられると困るんだけど? ボス特化で愛用していた一振りなんだぞ!?
しかも何その(呪)って露骨過ぎない?
太古の恐竜王骨の剣(呪) ユニーク
太古から人々を呪い続けた恐竜の王の呪詛が宿って居る禍々しい一太刀。
肉切り包丁を媒介にして変質した一振り。
固定スキル 闇属性 ボスダメージアップ30% 復讐の力 大型特攻3 出血付与 古の呪い 呪具 魔力大幅増加 ダイノバイト 血の渇望
※譲渡及び売買不可
なんか嫌な感じのパワーアップをしてる。
武器チェンジをしてみると……白鯨の太刀の姿は何処へやら、無骨で大きな骨包丁へと変質している。
「あ、それがドロップですか?」
「一応そうなるのかな……白鯨の太刀が報酬の呪いで変質しちゃってこんな姿に……しかもユニーク化した挙げ句譲渡も売買も出来なくなってしまった」
長く使ってた武器だから良いんだけどさ。
攻撃力は下がってるなぁ……スキルは据え置きで色々と増えてるから総合火力は増してそうだけど呪いって所が色々と不穏だ。
逆に火力が下がるって可能性は大いにある。
何にしても呪いの武器である事は変わらない。
「それは……困りましたね」
「まあ、青鮫の冷凍包丁があるから場合によって持ち替えれば良いんだけどさ、元々狩猟具って特殊な装備もあるし」
「外せない訳じゃないのでしたら場合によって使えば良いですね。後は――」
っと、話をしていると地響きが聞こえてきた。
「この流れ……領主になった時と同じ流れかなー」
ゴゴゴゴゴ……と地響きが強くなり遠くでガラガラと音まで聞こえてくる。
それと同時にガラガラと俺達が来た道が崩落して部屋の奥側に洞窟が出現、その先に日の光らしきものが差し始める。
「あそこに早く行きなさいって事みたいですね」
「そうだね」
「ああ……もう少し恐竜の都市を調査したかったのですが、こう言ったアドベンチャーでは遺跡が崩落するのはお約束ですか」
「ミリーさん、割と心の底から楽しんでましたよね」
「ええ」
笑顔で肯定しないで欲しいなー。
「じゃあ脱出しましょう」
「うん。どうにか脱出出来そうでよかった」
って感じで崩落するダンジョンを走って脱出口……光が差し込むところまで行くと、足場の岩の下からブシューッと間欠泉が飛び出し、光が伸びていく所まで打ち上げられた。
「おっと」
一瞬視界が真っ白になったかと思うと、外のフィールドに出られて足場の岩が綺麗に着地する。
ガゴン! っと音がして……間欠泉は収まったようだ。
露骨に出口って事かな。
あ……砦から結構離れてるけど目視できる距離だ。
なんて思っていたら砦から一筋の大きな光が空に伸びる。
連動するように俺達の方も光が伸びて――空に大きな雨雲が発生。
ザーッと雨が降り始めたかと思うとすぐに止んだ。
やがて……ぴょこぴょこと砂漠の各地から植物が生え始め辺りを緑一面へと変えて行く。
まあ、砦の周りや化石が取れそうな岩場とかは砂漠のままのようだけど。
「おー……」
「なんとも綺麗な光景ですね」
「復興ペン! この地の禍々しい気配は散ったようペン」
なんかクリスが現われてそんな事を俺の側で言う。
「砂漠が緑に覆われていく……けど一部は砂漠が残るのかな?」
「そのようですね」
ミリーさんとそんな光景を見る。
本当は硝子や闇影、しぇりると見たかった光景だけどしょうがない。
何より、これで開拓も終わりだろうし再会出来るはずだ。
「よし! 置き去りにしたヌシの所へ早く行こう!」
「ふふ、絆さんからしたら隠しクエストよりもヌシが大事なんですね」
何を当たり前の事を言っているのだろうか。
俺は急いで騎乗ペットを呼び出して一直線に向かったのだけど……ヌシは影も形も居なくなっていた。
「く……消滅してしまったか!」
設置とかしていた訳じゃ無いし誰も周囲に居なかったからかもしれない……くっそ。釣り損にはならないけど素材が手に入らなかったのは非常に惜しかった。
「くっそー!」
「ご愁傷様です」
ミリーさんの合掌が非常に印象深い出来事であったのだった。
こうして俺とミリーさんのプラド砂漠改めプラド草原の開放クエスト時の隠しクエスト攻略は終わったのだった。
「やっぱ絆の嬢ちゃんから目を離すとよくねえな」
イベント達成後にみんなと合流してミリーさんと一緒にシークレットクエストを攻略した事を説明した後、らるくがそう言った。
「ねー! てりすも付いて行けばよかったー!」
「そうじゃな……僅かに可能性があるかもしれないとは思っておったがここまでとはわらわも思いもせんかった」
「発見してもすぐに入るとか無いと思ったんだけどね」
「クレイ、絆さんと私、暗い迷宮で遊んでいましたのよ。若い子って元気で素敵よ」
「ミリーさん、誤解を招くような説明はやめてください。娘さんとの設定に関してもう少しすりあわせした方が良いですよ。クレイさんも」
そもそもあなたはそこまでの歳じゃないでしょう。
娘さんの年齢的に。
「ははは」
クレイさんは苦笑してるけど、冗談にして良いネタじゃないと思う。
「俺は悪くねえ!」
「アンタもその返事が既にネタに走っているでしょ」
俺の否定に姉さんが突っ込んで来る。
しょうがないじゃないか。
暇だから釣りしてたのに妙なクエストが発生しちゃったんだからさ。




