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蕎麦


「さて……素材は手に入ったけど、ロミナに会うまでは倉庫入りかなー……」

「アクセサリーの材料に出来ないかしら?」

「クレイに頼んで薬などの材料になるかもしれんぞ」

「ああ、その辺りで良いか。古代魚素材って化石で代用できるし、必要なものがあったら使ってくれて良いよ」

「島主の装備はヌシ由来が多いと聞くがこのようにして装備を揃えておるのじゃな」


 顔文字さんの質問に頷く。

 俺の装備って大半が釣って手に入れた素材をロミナに加工して貰ったものだ。


「生憎、武器は難しいが防具の一部はブレイブウサウニーに頼めば作ってもらえるからそっちも確認すると良いかもしれん」

「へーブレイブウサウニーって防具作れるのか」


 ブレイブペックルが細工と付与を使えたけどブレイブウサウニーも同様に技能持ちなんだな。


「奴は裁縫ができるぞ。だから服飾系は完備じゃな」

「じゃあ細工の時に一緒に居たらコンボ発生しやすくなるかもね」


 確かに、技能的にてりすがやりたがってる細工関連に融通が利きそう。

 ブレイブペックルと仲が良いらしいしコンボは発生しやすそうだ。


「難点を言えば作れる防具の種類が服限定でアクセサリーも一部といった所じゃが……しかもワンピース等一部の服ばかりしか作れん」


 種類がそこそこ限られてるか、まあ利用しない手は無いかな?


「俺が着てるのはエンシェントドレスだけど何が作れるかね」

「後で確認じゃな」

「その場合、同種の装備だからなー……性能が似たり寄ったりなら誰か他の人に回すのが無難だなー」


 誰に装備して貰うのが効率的かね。


「装備効果にフィッシングパワーが付いてるけど基礎性能は高めだったかな」


 今だと少し型落ち感は否めないけど強力だ。

 バランスアシストとか運動神経系へのサポートもあるし水泳もできる。


「服限定でしょ? となるとノジャちゃんかてりす、クレイさんとミリーさんかしら」

「戦闘で使うのなら被弾しそうな者が使うのが好ましいのう」


 硝子が最近、釣竿を武器に使い始めたので選択肢として渡したいけど……仮に硝子が居ても着物を好んで着てるから難しいかな?

 らるくと姉さんはー……一応、戦闘時は鎧装備か、姉さんは着ぐるみ着用が一番防御力上がるけどさ。

 ……ウサウニー着ぐるみとかもいずれはできるのだろうか?


「装備効果だけで見たら実用性は劣るけどな」

「そこは基礎性能で割り切るのも大事じゃぞ。装備に凝り固まるのは限度さえなければいいのじゃ」


 お、どこぞの自称前線組とは異なり顔文字さんは結構大らかな認識のようだ。

 効率だけが全てじゃない、すべてを楽しむスタンスは好感が持てる。

 さすがは本物のトッププレイヤーだった人だ。


「そもそも島主の活躍を考えて装備に拘る次元じゃなかろうて」

「そうねー絆ちゃんの防具、基礎性能結構高いように見えるわよ。被弾を考えるとノジャちゃんかしらね。ヒーラーが倒れると困るでしょ」

「その辺りは相談してからで良いのじゃ」


 って形で軽くヌシ素材の使い道を話した後の事。


「島主のわらわたちへの認識はこの際、気にしない事にするとして……明日はどうするかの。収穫も一区切りじゃ」


 強化合宿によって作物を確保はある程度出来た。明日は残った作物を収穫するだけだがそれもすぐ終わる。

 で、強化合宿の見積もりの最終日で時間が多少余裕がある段階だ。


「そのまま帰るでも良さそうだけど何かあるのかしら?」

「俺は別に帰っても良いと思うけど?」

「せっかくじゃし最下層のボスを倒して帰るのはどうかの? エレベーターで一瞬じゃ」

「え? この面子で倒せるわけ?」


 俺と顔文字さんとてりすの三人でダンジョンのボスを倒せるのだろうか?

 まあ……カルミラ島のダンジョンのボスであるドラゴンゾンビは硝子と紡の二人でも倒せたから難しい相手じゃないのかもしれないが。


「大丈夫じゃよ。わらわが注意を引く。てりすが魔法を使い、島主が適度に攻撃すれば倒せるじゃろう」

「そっか」

「ダンジョンのボスって何かしら?」

「デビルズドラゴンじゃな。ドラゴンゾンビの亜種のような魔物じゃったぞ」

「へー、ドロップや素材も似た感じ?」

「うむ」


 なるほど、そこまで脅威じゃないに手ごろな土産って事で良さそうだ。


「それじゃ明日の収穫が終わったら行って帰ろうか。帰るだけだから……顔文字さんが日記を書き終わったら翌朝の出発時にてりすが日記を書いて交換日記は終了だね」

「了解なのじゃー」

「快適すぎて思ったより長く滞在しちゃったわ。てりすも結構、細工が出来たし文字通り強化合宿だったわね」


 ちなみにダンジョン内での細工とかは手に入る経験値に補正が入って少ない。

 実は釣りもそうだけどそこは数で誤魔化す感じだな。

 顔文字さんがやっていた農業系の技能も同様だけど、上手く行ってなかったのでLvも低かったそうでそこそこ上がったらしい。


「農業って傍から見ると大変そうねーてりす、お百姓さんに感謝しなきゃいけないわ」

「まあ……手抜きでやるのにお勧めの作物も無くはないんだけどね。お手軽な奴」

「なになにー?」

「そんな簡単な作物があるのかのう?」

「蕎麦。アレってそこまで手がかからず成長が早い便利な作物なんだ。弱点は湿害くらいなもんかなー」


 深く耕す必要もなく、成長も早い。

 雑草とかを処理しなくても結育つ。

 時期の合間に小麦とか植えられる。


「ほら、観光地ってどこも蕎麦屋があるでしょ? アレってどこでも育つから材料が仕入れやすいって所があるんだよね」

「そうなんじゃな」

「なんか奏ちゃんが言いそうな気がするんだけど、絆ちゃんに農業任せて蕎麦があったらそれだけ作ってそうよね」


 てりすが俺のことを分ったように言ってくる。

 まあ……効率だけ考えたら蕎麦畑を多めに作るのは間違いないかな。


「蕎麦もある程度は悪くないがずっとは困るのう」

「奏ちゃんの話だとカニバイキングの元締めは絆ちゃんって話だしねー。妹ちゃんが飽きるほどカニを食べさせられたって話を聞いたわよ」

「まあ、栄養偏ってもゲームだから死にはしないし」


 ずっと魚を食べてたことだって俺にはあるからなぁ。


「極端なところがあるのは本当、奏ちゃんの弟さんなのが分かるわー」

「じゃな。ともかく、島主には今後も色々と教えてもらいながら色々と農業をしていくのじゃ!」


 って事で俺たちの時間は過ぎて行ったのだった。



 14日目・わらわ。

 苦情を入れたが誰が子供部屋おじさんじゃ! 島主はもっと相手を信用すべきだと思うのじゃ。

 っと注意するのはこれくらいにしてやっと稲の収穫が出来たのじゃ! 地上に戻ったら脱穀をしてお米にするんじゃな。

 今から楽しみじゃ。

 本当、米を作るのは大変なことなんじゃな。

 わらわだけで農業をしようとしても中々うまく行かないもんじゃて。

 作物は大分出来上がったのう。これで当面はウサウニーたちを動かすことができると思うのじゃ。

 他の階層はそれぞれ四季が異なるので今度はそっちで強化合宿をするか考えねばならん。

 まあ……ここはわらわが独自にするとしていくのが良いかの。

 ともかく判明した事は、後作に相性の良い作物を植えると品質や成長が早まるボーナスがあるようじゃ。

 後は島主の言う通り農薬は大事という事じゃ。無農薬では収穫量に圧倒的な差がある。

 そして品質も安定して良いものが多かった。

 実に有意義な合宿じゃったぞ。

 子供部屋おじさんと言われた意趣返しとしてここに島主は己の事を男だと思っている幼女と思う事にするのじゃ。


 15日目・てりす

 そんな訳で最終日はてりすね。今、ノジャちゃんが最後の収穫をしている所を見ながら書いてるわ。

 いやー日記外でも言ってるけど快適な生活だったわ。

 きれいな水晶湖でのやりたいことだけやる生活ってのも悪くないスローな生活よね。

 魔物を相手に戦うとかクエスト探しに夢中になるのも良いけどこういったゆったりとした時を楽しむのもこのゲームで大事なところね。

 地上に戻ったら細工をもっとしていく予定だけどー……後は何をしていけばいいのかしらね。

 家作りとかカルミラ島にあったような作業の手伝いはする事になると思うけど、この調子なら思ったより早く開拓は終わるかもしれないわね。

 さてと……この後は最下層でボスを倒して帰るって話だし、強化合宿の感想をここに書いておくわ。

 楽しかったわよー絆ちゃんたちの事を知れてよかったわ。

 子供部屋おじさん扱いされたてりすから絆ちゃんへの仕返しは絆ちゃん、本当に男の子なのかしらね?

 それくらい、一緒に居て男の子っぽさが無かったわー。

 実はネナベじゃないのー? って煽っておしまい。


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― 新着の感想 ―
[一言] 去年、再生二期作というものが発表されまして。 気温変化のない地下の田んぼなら、この技術が使えるのではと思い書き込ませていただきました。
[一言] 蕎麦畑最大の欠点であるニオイについて何も言わない絆は鬼なのでは?
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