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ラブリー親衛隊扇子


「ぺーん!」


 引っ付いたダンボルをブレイブペックルは他のダンボルに投げつけて同士討ちをさせていた。

 なんか妙なギミックを持っているな……とりあえず今は居なくても良いからとブレイブペックルを休養指示を出しておく。


 さて……一応一種類ずつダンボルの解体を軽くしたのだけど、ダンボルの欠片とかダンボルの皮ってのが手に入るな。

 ぶっちゃけ……段ボール紙一枚って感じで使い道はつなぎ合わせて段ボールにするしかないだろう。

 ロミナに後で聞いたところ、ミカン箱のテーブルと言う家具とか収納ボックスが作れるとかなんとか。

 現実の段ボールと異なり水には多少強いそうだけど……強度はお察しって感じだった。


 なんて思いながらダンボル草原を巡っていると……ハート柄の……なんか大きなダンボルがいる。

 しかも無数にダンボルを連れてて……取り巻きって感じだ。


 名前は……ラブリーダンボル。

 俺でも勝てるとか言ってたけど……大丈夫なのか?

 念のために白鯨の太刀を取り出して大きなダンボルに向かって突撃!


「おー!」


 ピョーンと俺の騎乗ペットは高らかにラブリーダンボルに向かって走り出し、俺は白鯨の太刀を構えて切りかかった。

 ズバァっと一太刀で取り巻きのダンボルを仕留め、二撃目がラブリーダンボルに命中。

 ドッス! っと深々とラブリーダンボルに白鯨の太刀が食い込んだ。


「クレーバー!」


 まだ動き出しそうだったので解体スキルを発動させて強打する。

 ドン! っと衝撃が走ってラブリーダンボルが弾けてしまった。

 攻撃が強すぎたか?

 確かにボスっぽいのに弱い魔物だったなー。


 と思っているとラブリーダンボルの体というか顔がヘロヘロと地面に落ちる。

 近くにイチゴと……結晶が落ちているので拾う。

 ショートストロベリーとラブリーダンボルの魂結晶ってアイテムの様だ。

 ボスドロップって奴かな?


 念のためにラブリーダンボルの体を解体できるか確認。

 ……ダンボルの皮しか手に入らないか……。

 とにかくもったいないから持ち帰ろう。

 そんな感じでダンボル草原で俺はダンボルを狩り、限定解除の条件を満たした。

 30分して集合地点に戻る。


「どうだったお兄ちゃん?」


 なんか紡の頭に羽を模した髪飾りがついてる。


「あ? これー? ダンボルのボスが結構高めにドロップする奴だよ。デザインが良いから初期は人気があったんだ」


 どうやら紡達はボスを見つけて速攻で仕留めてしまったっぽい。


「解体は不要か?」

「ダンボルを解体しても皮というか段ボールしか出ないでござるよ」

「ボスを解体したら何か出そうなのにねー。気になるならこっちー」


 と紡たちは消える前のダンボルのボス……羽の形の段ボールが付いた子供のお遊戯会とかで作られてそうなダンボルの死体へと案内してくれた。

 確認のために解体……やはりダンボルの皮だな。

 一応翼の模様がついている。ただの収集品か。


「それでお兄ちゃん。さっきも聞いたけどどうだったー?」

「確かにただ走って回るだけで良い場所だったな」

「これでダンボル系は大体網羅したと思うよ。中ボス系も私たちが倒したし……ラブリーダンボルはお兄ちゃんが倒したんだっけ?」

「ああ、簡単に倒せたな」

「開始当初はちょっと強い魔物って感じだったんだけどねー。今の私たちからしたらこんな所なんだろうね」


 インフレって程じゃないだろうな。

 Lv5くらいが適性の場所でLv30で来たら圧勝出来るだろうし。


「ショートストロベリーってイチゴとラブリーダンボルの魂結晶ってのが手に入ったぞ」

「どっちも確率そこそこのプチレアだね。ショートストロベリーは確かデザートとかの材料だったっけな? ラブリーダンボルの魂結晶って確か最初のアップデート後にドロップするようになったスピリットの媒介石の素材らしいよ」

「となると俺達向けのか」

「問題は趣味用品って位の媒介石になるそうだけどね。詳しくは知らなーい」


 まあ……そうだよなー。

 あとでロミナに聞いた所だと戦闘系の技能が低いほど性能アップっていう救済系の媒介石だそうだ。

 ただ、上限は言うまでもなく低く、実用的かというと無理な類のネタ装備に等しい代物だ。


「硝子もここで戦って稼いだのか?」

「少しだけ戦いましたけど、歯ごたえが無くてすぐに次の場所に移動しました。あ、でも扇子はここで出た物をしばらく使ってましたよ。ラブリーダンボルのドロップでしたね」


 硝子は戦闘センス高いもんな。

 あまり長居はしてないけど扇子はしばらく使ってたのね。


「どんな扇子?」


 硝子がサッと扇子を俺に見せてくれる。


「えー……なんか恥ずかしい装備ですね」


 LOVE! と書かれたハートマークな模様のある扇子を硝子は見せてくれる。

 ラブリー親衛隊扇子と書かれているなぁ……。

 完全にネタ装備だ。

 ちなみに俺が解体で得たラブリーダンボルの皮でも作成できるネタ装備らしい。

 武器としての効果はクリティカルで相手をわずかにスタンさせるとかそういう代物だそうだ。

 硝子なら的確に使いこなしていたんだろうなぁ。


「使っていた頃の硝子を見てみたかったな」

「やめてくださいよ。今だと結構恥ずかしいんですから」

「確かにこれはねー。お兄ちゃんのファンクラブに転売したら売れるかな? 絆ちゃんが確保した応援扇子だよー! って感じで」

「おいそこに繋げるのやめろよ。アルトじゃあるまいし」


 ちなみに後日判明してアルトに注意する事なのだが俺の持ち帰ったラブリーダンボルの皮で作られた扇子と羽織りがファンクラブに転売された。

 死の商人は売れる物なら何でも売りやがるな!

 アイドルのライブじゃないんだぞ。


「それじゃダンボルの次はクローラーの方に行こうか、今日だけでも回れるところは全部回るよー!」

「そんなスパルタをしなくても良いんだがー」


 むしろ俺としては今まで行ってない釣り場の方が気になるんだけどな……。


「良いから行くーお兄ちゃんはついでで硝子さんと闇ちゃんの底上げが目的なんだから」


 足を引っ張るなって言いたいのか?

 エンジョイ釣り勢を捕まえてスパルタな事で。

 とはいえ、エネルギーとかマナの底上げをしておけば行けるところは増えるから良いか。

 一応解体技能の限界突破条件も似た感じに種類をこなすのが増えているもんな。

 ま……やって行くか。

 って感じで初心者用の狩場を俺達は文字通り駆け抜けていった。

 正直に言えばパーティーで必要数を狩って行くのでかなり効率的に動けていたのではないかと思う。

 そんなこんなで……俺達は夜間にしか入れない常闇ノ森へとまたやってきた。


「常闇ノ森……拙者が絆殿達と出会った場所でござる。懐かしいでござるな」


 闇影と遭遇したのは確かにここだったな。

 ドレイン特化なんて微妙なビルドでやっていたソロ忍者とは……よくやるとは思っていた。


「ここってお兄ちゃんを含めて闇ちゃんもここの雑魚もボスも戦ってるんだよね? なら無視する?」

「紡、お前は大事な事を忘れてるぞ」

「何? お兄ちゃん」

「ここには釣りポイントがあるそうだ」


 俺の言葉に紡が呆れるように肩を落とす。


「まあ、絆さんはここで釣りをしたいですよね」

「お兄ちゃんらしいと言えばらしいけどー」

「夜だし、なんならみんな宿に戻っていても良いぞ。俺はそれでも釣りに行く」


 今の俺ならここの魔物だって遅れを取ることはないだろう。

 ごり押しでだってきっと勝てるはずだ。


「リザードマンダークナイトはまた出ているでしょうか?」

「もう人気の無い狩場になっちゃってるからねー解体とドロップ品目当てじゃないと張り付いている人はいないと思うよ」

「そこまで優秀な装備でござるか?」

「一時期は優秀だって狩られてたけど、今はもっと強い装備があるからどうなんだろ?」


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[一言] さすが死の商人
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