表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/254

ナメクジ解体

「ふむ……」


 まあ、ここにいる連中はなんていうか色々とタフな奴らばかりだから気にしなくても良いのか。


「それで絆さん。解体をしておきますか?」

「そうだな……解体の条件稼ぎにやっておいて損はないだろうな」


 数を稼ぐのも重要だけどそれ以外に、見知らぬ解体にも挑戦しないと上位のスキルの条件を簡単に満たせない。

 あ、でも同じ敵を倒し続ける事でも解放できたりするっぽいのでケースバイケースか。

 どうにもこの辺りのシステムは把握しきれない所がある。

 あくまで俺達はこうして多種多彩の未知に挑むことで強くなって行けばいいって事だな。

 と言う訳で早速ナメクジの解体をすることにした。

 適した解体武器は……ケルベロススローターだな。冷凍包丁だとそぎ落としてしまう。

 冷凍包丁辺りから若干型落ち感が出てきているが解体に関してまだ使えるだろう。

 ただ、ロミナに頼んで強化をしてもらうのも良いかもしれない。

 今度必要素材辺りを教えて貰おう。


 ズブッとナメクジの解体を行う。

 感覚だと何に似てるだろうか? ゼリーとも微妙に異なる硬さと切った感触だな。

 ただ、カタツムリと似てるからか大きい貝を切り分ける感覚が近い様な気がした。

 手に入ったのは大ナメクジの肉と粘液か。それとナメクジの結晶って言う体内に生成される物質の様だ。

 結晶は……調剤とか何かの作成に使用可能な代物っぽい。

 ただ、武具には使えそうにないな。

 食料に出来そうだけどこんな肉を好んで調理する必要はない。


「こんな所だな。解体の条件は……10匹くらいやれば良さそうだ」


 ブラウンビッグスラッグを10匹解体すれば経験として一種とカウントされる。

 こうして種類多く解体をすることで上位技能を習得するための条件を満たせるって感じの様だ。

 ちょっと面倒だけどやって行かないと色々と限界が来るのはわかるからしょうがない。

 まあ、釣った魚もバリエーションよくやって行かないといけないのと同じだな。

 そういう意味では釣りと解体のスキル相性は非常に良い。

 魔物だけじゃないのだから。


「それじゃ次に行こうか」

「ええ、ついでに絆さんが釣りをするのに良さそうな場所も見繕いましょう」

「おー!」


 って感じで俺達は湿原で出てくる魔物の討伐クエストを進めて行った。

 次に出てきたのはジャイアントパープルトード……俺たちよりも大きいカエルだな。

 ボス魔物って訳じゃないし、強さも今の俺達なら倒せない相手じゃなかった。

 もちろん解体を行ったぞ。

 こっちは毒袋に皮、骨に肉と用途の幅が大きそうな素材が結構手に入る。

 肉は説明テキストによると腿の歯ごたえが良くて鶏肉の代わりに使用できるっぽい。

 今度みんなにそっと出してみるのも良いかも。


「割と順調に倒せるね。50匹討伐もそこまで時間が掛からないかも」

「そりゃあ良いな。所で未確認の魔物ってのはどうするんだ?」

「問題はそっちなんだよね。一体どの魔物を指してるんだろ?」

「クエストを受ける時の話だと湿原の奥の方に行った村人が行方知れずになり、探しに行って帰ってきた人が恐ろしい物を見たと言っていたとか……」

「よくあるクエストフレーバーだろ」

「そうだねー具体的なのが何一つわからないもんね」


 よくわからん魔物がこの湿原に居て、そいつを倒して来いって事なんだろうけど一体どこにいるのやら。

 って訳で俺達は湿原の奥へと移動していくと……靄が濃くなって来るのが確認できた。


「見晴らしが悪いな」

「ですね……」


 なんか出てきそうな雰囲気だな。

 そう思っているとバシャッと大きな水音が響き、靄の中で大きな影が湿原の水の中を泳いでいるのが確認できる。


「何かいるな。件の大型の魔物って事で良さそうだ」

「ジャイアントパープルトードじゃないの?」

「カエルとは動きが異なる、それと……言うまでもなくカエルに尻尾なんてあるか?」


 シルエットには尻尾らしき代物が確認できた。

 間違いなくジャイアントパープルトードじゃない。


「さて、何が出てくるか。闇影、先制攻撃は任せたぞ」

「承知でござる!」


 こういう時の一番槍は遠距離攻撃持ちの闇影に限る。

 おのおの武器を出して戦闘に備えつつ、闇影がドレインを間合いを図っていた魔物に向かって放つ。


「グウウウウ!」


 バシっとエフェクトが出ると同時に靄から……泥を纏った、両生類……5メートル程の大きなサンショウウオが悶えながらこっちに突進してきた。


「行きます! ただ……場所が場所だけに動きづらいですね」


 硝子は騎乗ペットが水に対応していないので降りて出てきた魔物に対処すべく扇子を構えて逸らしながら攻撃する。


「大きいイモリだねー」

「……サラマンダー」


 しぇりるがポツリとつぶやく。


「どうやらしぇりるが当たりだな。名前はミストマッドサラマンダーって名前みたいだぞ」


 霧泥のサンショウウオって事か?

 ドバァっと水しぶきを立てながら水弾を発射して俺たちに攻撃してきた。

 おっと危ない。

 距離が離れていたから騎乗ペットに指示して小舟で移動して攻撃を避けれたけど下手したら当たっていた。


「中途半端に水に足を取られて動きづらいです」

「ちょっと誘導して木の橋がある所まで引き寄せようか」

「それが良いかもな」

「わかったでござるよ」

「はい」


 機動性の悪さを判断したみんなはすぐに戦いやすい場所へとミストマッドサラマンダーを引き寄せにかかる。

 が……木の橋の方まで誘導しようとするとミストマッドサラマンダーは近づくことなく離れて、一方的に水弾と泥をこっちに発射を続ける。


「どうやら戦いやすい場所へ引き寄せるのは対策されているみたいだね」

「厄介でござるな」

「しぇりるさんにお願いする? 水場での戦闘とか得意でしょ? お兄ちゃんも」


 えー……ここで俺に頼るのか?


「それを言ったら闇影だって乗り物が河童なんだから機動性は十分だろ」

「確かにそうでござるが……」


 いや、待て……あるじゃないか、こういう時に便利な装備が。


「絆さん、何を私達に着せようとしているかわかりますので言わなくて結構です」

「じゃあ装備してくれるのか?」

「それとこれとは別です」

「残念だな、闇影」

「なんで拙者だけでござるか! 絆殿も仲間でござるよ!」


 く……河童になるのがそんなに嫌かみんな!


「俺と闇影、それとしぇりるで遠距離攻撃合戦をして削り倒すか?」

「それが良いかと……むしろ絆さんお得意の武器でどうにかできないんですか?」

「最近お兄ちゃん戦闘でも釣り竿使うもんね」


 ああ、まあ……そういうてもあるか。

 糸を頑丈な奴に変えてルアーを青鮫のルアー<盗賊たちの盗人>に……ミストマッドサラマンダーの遠距離攻撃を騎乗ペットの動かす小舟で巧みによけながらキャスティング!

 スパァっと良い感じに斬撃エフェクトが出る。


「グウウ!」


 あ、攻撃を受けてミストマッドサラマンダーがちょっとよろめいたぞ。


「ドレインドレインでござる!」


 闇影も負けじと怒涛のドレインを使いまくって注意を向けさせている。

 しぇりるは回り込む形でカワウソの騎乗ペットでミストマッドサラマンダーの背後に。

 アクヴォルには出来なかったけどできるかな?


「グウウウ!」


 プクゥっとカエルみたいに喉を膨らませたミストマッドサラマンダーが闇影に向かって水弾を放った直後、俺は釣り竿を上にあげてルアーをミストマッドサラマンダーの口に引っかける。


「グウ!?」


 思わぬ拘束にミストマッドサラマンダーが俺の方に頭を向けたぞ。

 よしかかった。

 モーターリール作動! エレキショック!

 バチバチバチ! っとエレキショックがミストマッドサラマンダーにかかる。


「グ……グウウウ!」


 おお? 何となく効きが悪い。

 やはりマッドって部分からして水場の魔物でも雷には耐性があるのかもしれない。


「後は一本釣り!」


 とはいえ、俺の引き寄せでミストマッドサラマンダーのその大きな体はこっち方面に転がった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 釣竿での戦闘は鞭のマスタリーとかがあればいい感じにシナジー有りそうな感じがしますね。
[一言] ウーパールーパーですぞ
[一言] オオサンショウウオって可愛いよね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ