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お風呂


「アルトに水陸両用で使えそうな個人騎乗ペットが売ってたりしないか探させるか」

「……」


 しぇりるがじっとこっちを見てる気がする。


「まあ……小舟も便利だけどな」


 ここはフォローを入れねばいけない。

 小舟で行けない所とかで使えたら便利ってだけだ。


「籠は先に設置しておくか」

「そこは妥協しないんですね」

「当然だ。だって籠があるから釣りをする時間を短縮して硝子たちと一緒に行動できるんだからな」


 釣りが今の俺のソウルライフな訳で、だけど硝子たちとも一緒に行動したいという妥協ができるギリギリのラインなのだ。

 幸いにしてアルトから補充分のカニ籠は受け取っているので設置するとしよう。

 とりあえず……アクセスがよさそうな町からほど近い湿原に設置しておこう。

 設置設置と湿原の設置できそうなところに仕掛けて置く。


「他プレイヤーがあれを目視出来たら雰囲気が台無しになること請け合いでござるな」


 カニ籠に関してなんだけど設置者のパーティーメンバー以外は見ることができないらしい。


「お兄ちゃんが限度を知らない設置をしてるのはわかるとしてよくお兄ちゃんの設置数にゲームが対応してくれてるよね」

「考えてみればそうでござるな。この手の代物は上限とかありそうなイメージがあるでござるよ」


 確かに俺も最初は上限とかあるんだろうかと恐る恐る設置したがそれらしい様子はない。

 設置したらトコロテンの要領で最初に設置した奴が消えるとかも検証したが今の所それらしいものは確認できていない。


「ロード」


 しぇりるがなんか言ってる。


「君主……領主だからでござるか? 確かにあり得るでござるな。いや、どちらかと言えば大量に必要であることを前提にしたゲームだからこそなのかもしれないでござる」


 なんかしぇりるのセリフを察して闇影が推測をしている。

 まあできるもんなんだから良いだろ。

 カニ籠を出してポンと湿原の水辺に沈める。

 これで一定時間後に取りにくれば何かが引っかかっているって寸法だ。

 ちなみに結構な確率で外れが混じっているのはご愛敬だな。

 流木に始まり単純にゴミってアイテムなんかも手に入る。

 ゴミに関しては何か使い道があるらしくアルトが引き取って職人に処理させるとか言ってたな。

 あれって何に使えるのかよくわからん。


「よし、設置完了、新しい街へと行くぞ」

「はい!」

「未知が拙者たちを待っているでござるよ」

「あの町では何があるかなー」


 って感じで俺達は新しい中継地の町へと立ち入った。


「近くに湿原があるからか、土台がしっかりと舗装された場所みたいですね」

「みたいだな」


 なんか石畳の土台が立てられていて、基礎がしっかりした……陸地なのに港を連想する町だ。

 民宿っぽい宿を取る。


「ガラガラで景色がよさそうな宿に簡単に泊まれるのが良いでござるな」

「そりゃあ私達が一番乗りだもんね」

「まだ前線組はここまで来れないからな」


 おそらくお祭りをしている中継地で前線組は寝る間も惜しんで受注クエストをしている所だろう。

 それも定期的にビザ更新と申請時間があるので、ここに来るのにもう少しかかる。


「効率が良くて、金が稼げて、人がいない場所ですね。まだここも」


 それは解体の秘密を秘匿する際に硝子たちと話し合った狩場の条件の話だ。

 けれど俺達は今までそれをずっとし続けている。


「そうだな。思えば遠くに来たもんだ」


 解体に関しちゃ今では見聞きしているプレイヤーが多くなり、パーティーメンバーに一人は所持しているなんてのが当たり前になっていたりする。

 ちなみに魔物の場合は死体を持ち運ぶって事は出来ないので解体屋って店は開けない。

 あくまで現地での解体しかできないのが難点だな。

 魚とかはできるんだけど。

 罠とかで捕まえた動物も可能なんだったかな。アルトがその辺りを情報屋として聞いてもないのに教えてくれた。


「じゃあ部屋を取って、各自好きに休もう」


 と言う訳でみんな部屋を取ってその日は休むことにした。


 宿の前で俺達は騎乗ペットから降りて収納する。

 日も大分傾いている。

 湿原に沈む夕日がなんとも雰囲気を出しているなぁ……まあ、海でも見慣れた太陽だけどさ。


「今日は疲れたのでお風呂に入るのが良いですね」

「そうだな。魔王軍と戦ったその報酬をもらった足で来た訳だし……じっくりと息抜きしたい」


 ディメンションウェーブで入浴などは必須の項目ではない。

 けれど町などでは銭湯などの設備があって、銭湯に入ることができる。

 ちなみにディメンションウェーブは健全なゲームなので銭湯に入るとみんなタオル巻きの姿になる。

 体は洗わなくても良いけど意識的に洗うことも可能、ただし、タオルは脱げても下に謎の水着が着用されている。

 その下は他プレイヤーには見えないようになっている。


「おっふろー! お兄ちゃん覗いちゃだめだよ」

「紡殿……基本混浴でござるよ」


 そう、このディメンションウェーブの風呂はプール扱いに近いようで男女が分かれる事はない。

 これは俺みたいなネカマなどを想定した作りなのかもしれない。

 正確には男コーナーみたいな看板はあるけど垣根が無い。風呂の壁に男と女って書かれてるだけで丸見えなのだ。


「そもそも絆さんを男湯に送り出すのはどうかと思うのですが……」


 みんなわかっているけど俺のアバターは姉妹の所為で美少女だ。

 そんな美少女が中身男だとわかっていても男湯に交じるのはどうなんだ? って意見である。

 気まずいのはなんとなーくわかる。

 けど中身男が女湯に来るのも気まずい。

 ……まあ、宿の設置自由コーナーにドラム缶とか大桶を置いて個人風呂とかすれば良いんだけどさ。

 オープンネカマってこういう所が苦労するよな。

 TSしたのを周囲が知ってるアニメとか漫画だとこういう気まずい感じになるんだろうか。


「水着でお風呂に入るようなものですし、あんまり気にしなくても良いのではないでしょうか?」

「硝子って結構、この辺り大雑把だよね」


 鼻の下を伸ばす俺とかを見て別々です! とか気にする感じの流れではないのだろうか?


「確かにそうですね。これで絆さんが男性のお姿だったら気にしたのかもしれません」

「うーん……あれだ。みんなが入浴したらみんなのおっぱいを揉み始めて、揉めば揉むほど大きくなるんだよ! とかセクハラをすると追い出される感じだな」

「なんでそんな具体的な……揉みたいんですか?」

「揉みたいか揉みたくないかと言われたら男だから揉みたいけど、自分の胸とかでどうにかなる……訳でも無いか」


 美少女だけど胸がペタンこだもんな。俺の外見。


「胸、大きい、邪魔」


 ここでしぇりるが不快そうに言う。

 ああ……お前もあんまり胸大きい方じゃないもんなー。


「大きい方が良いでござるよ!」


 逆に闇影は胸が大きい方に肯定か。


「そうだよ! 胸は大きいに越したことはないよ!」


 紡も便乗してる。お前の胸って別に小さくはないだろ。

 硝子はともかく、この場じゃしぇりるが異端……なのかな?

 ツルペタをしぇりるは気にしているのか……それなら最初からボンキュボーンなアバターにすれば良いだろ。

 紡はさりげなく現実より大きい様に設定しているというのに。

 闇影もそうなんだろうな。


 ……ん? もしかしてこの理屈だとしぇりるが不快にしているのは……どっちなんだ?

 硝子があきれるように俺を見てる。


「さすがにここは道徳の範囲で目の保養にする程度で済ませるさ」


 なんだかんだみんな美女な訳だし、一緒に入浴ってだけで充分だ。

 まあそもそも普通のゲームだし、健全な形になっているだろう。

 最終的な所まで突き詰めればお風呂なんて入らなくてもゲームなので健康的な状態を維持出来る。


「それともほぼ貸し切りだろうから俺だけ別で入るか?」

「……なんでしょうね。絆さんが男性であるというのを時々忘れますし、一緒に入っても気にならない気がしちゃいます」

「それは誉め言葉として受け取っておくよ」


 姉妹の作った自信作のアバターのおかげだな。


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― 新着の感想 ―
その下は他プレイヤーには見えないようになっている。 その下は、|他プレイヤーには《・・・・・・・・》見えないようになっている。 ………………!
[一言] リアルしぇりるは巨乳なのかな、巨乳さんは割と本気で苦労してるし… 逆に巨乳支持者は…( ゜д゜)ハッ!
[一言] 発言的にはしぇりるはリアル巨乳 …ところで、リアルでどれくらい経過してるんだろう?とか、リアルの肉体はきちんとあるのかとか気になる。あと、体に精神が引っ張られないかとか。
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